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クリエーター  作者: 如月灰色
《第五章 終焉の時》
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~第九十六話~晶&ダービーVSサタン&ルシファーその2

 サタンとの距離は、まだたっぷり十メートルはある。

 自身に治癒魔法をかけようとは思ったが、如何せんここまでのダメージを一瞬で回復出来るほどのレベルではない。

 さて、どうしたものか…。サタンは、一歩一歩着実に近づいてくる。悠然と歩いてくるようにも見えるが、その眼光には、下手な小細工はすぐ看破されそうな気がした。

 ぶっちゃけ、小細工をする余裕もなかったけど。


ーーーでも、まだ詰みではないはず…。考えろ、考えろ…。


 堂々巡りの思考の中、不意にポケットの中が動いた。


「…じ。…るじ。えーい!そなたは本当に鈍感かぁ!」


 瞬間、俺の体が一瞬にして回復…もとい、『復元』した。歯も生えている。

 俺には勿論そんな事出来るはずがないが、予想は着いた。


「全く…わらわをいつも足でまとい扱いしよってからに…」


 ローブのポケットから、よじよじと登ってきたチビバルゴー。

 ちょこんと俺の肩の上に乗ると、得意げに腕を組んだ。


「あぁ…すまん。助かったよ」


「ほぅ…癒し手、処女宮か。どれ、私の傷も癒してはくれないか」


「お前は怪我してないだろう、ペド野郎」


 ピキッと、サタンの額に青筋が走った。戦闘で昂揚して、『憤怒ラーズ』のリミットが緩くなったか?


「サンキュ。もう、戻っていいぞ」


 両手をダランと垂らし、二本の得物を創り出した。

 片方は薙刀。

 もう片方は偃月刀。


「いやじゃ!わらわも共に戦うぞ!もう、護られてばかりじゃ嫌なのじゃ…」


「でも接近戦で、お前を庇いながら戦える相手じゃないのはわかってるだろう?」


 俺が左手の薙刀を地に刺し、右肩のバルゴーを宥めるように撫でた。

 それでも、バルゴーはイヤイヤと首を振って譲らない。


「覚悟がなければ、どうやって巧妙に気配を消し、主が激しく戦闘をしている間必死にしがみついていられよう!わらわだって、主の役に立てるはずじゃ…」


 最後には目を滲ませ、嗚咽混じりで訴えてきやがった。ったく…俺が涙に弱いの知っててやがるな?


「…わかった。けど、保証はないからな」


 俺が呆れたように認めてやると、バルゴーの顔が華やいだ。…実際呆れてんだけど。


「おぅよ!わらわの力、とくと見るがいい!」


 …それ、敵側が言う台詞じゃね?


「もう…終わったか?茶番は」


 サタンの、踏み出した一歩がさっきより重い。…たぶん、俺のペド野郎発言でキレてやがるな?


「あぁ…いいぜ」


 一つ確認するように、指環に視線を落とす。『ナイアルラトホテップ』は実体化してるけど、『ダービー』はここにいるらしい。ちょいややこしいところだけど、そういうことなんだろう。

 なら、効力も効くはずだ。


「貴様に次のゴングはいらん!」


 サタンが一蹴りで間合いを縮めて来る。まさに、鬼のような形相だ。…見かけ通り。


「俺が勝つからな!『天国への扉(ヘヴンズ・ゲート)』!コール・オーバー(全開放)!!」


 急ブレーキしたサタンを埋め尽くす、数多の神々。バルゴーを除いた十二宮に、各神話の神々や天使…。まぁ、ダークサイドに堕ちた物は別として。

 うーん…八百万とはよく言ったもんだ。たしかによくわからない者もいるけど…トイレの神様とか。うん、アンタは大丈夫だから、トイレの紙切れないように守っててくれ。


「…コード『神々の黄昏(ラグナロク)』、アクセプト完了。悪く思うなよ?サタン」


「きっさまぁー!!」


 サタンが神々の軍勢に飲み込まれていく。

 神話と違いロキやフェンリル、お前につく神々はここにはいない。

 こっちはどんな手を使ってでも勝たなきゃいけないんだ。悪く思うなよ?サタン。




 主がいる辺りが眩い光に包まれた。我の左手の指環ダービーが共鳴している。

 我はナイアルラトホテップであり、指環の精、ダービーでもある。…まぁよくわからないが、ラトホテップの人格と、ダービーの性格を持つと思ってくれ。

 それが何を意味するかと言うと…。


「コード『旧神の印(エルダーサイン)』!!」


 我の周囲に光の五芒星が出現し、執拗に蹴りを入れ続けていたルシファーが飛び退いた。

 そして参上したのは、旧神エルダー・ゴッド…かつて地球を支配していた悪しき神性、『旧支配者』を封印した者達。

 我の弟、ヨグ=ソトース…は微妙に違うが、

 『燃ゆる者』ヴォルバトス。

 『眠りの神』ヒュプノス。

 生贄を好む血なまぐさい『猫姫』バステト。

 『旧支配者の裏切り者』ウルタール。

 そして…。


「そなたらも来てくれたか、クタニド!ノーデンス!」


 旧神のリーダー、クタニド。

 『偉大なる深淵の主』…または『大帝』と崇められた人類の『救世主』ノーデンス…。


「ノーデンス、クトゥルーはもう大丈夫なのか?」


「あぁ。『ある者』に任せてきた」


 色鮮やかな、しかしどこかくたびれた様子の戦車チャリオットに乗る、ノーデンスが目を細めて笑った。蓄えた髭と皺に隠れ、深い戦いの傷が垣間見える。


「人類の危機ならな…馳せ参じる準備は出来ている」


 旧神のリーダー、クタニドが笑う。リーダーらしい、優等生な回答だ。


「しかし…貴様が旧支配者(クトゥルー)に気を回すとはな。何を隠している、《トリックスター》」


 ウルタールが、胡散臭そうに目を細めた。…まぁ無理はなかろう。こやつは『旧神』にして、『旧支配者の裏切り者』。こやつの狂気…もとい闘争本能は、あの頃と変わらん。


「…心境の変化というものだよ、ウルタール。それに…」


「トリックスターだからこそ(・・・・・)だろう?」


 クタニドが含み笑いをする。本当にこやつは…抜け目ない。


「知らない…僕はこんな者ども知らない…」


 間合いを取ったルシファーが戦慄いている。

 それもそうだろう。こやつが『知っている』のは、己が仕え、そして裏切った神のみ。

 旧神は、『ソレ』に勝るとも劣らない神格達ばかりだ。流石に分が悪すぎると見たのだろうか。


「悪いが、形勢逆転だな、堕天使」


 首をフルフル震わせながら、ルシファーが後ずさる。

 多勢に無勢で悪いが、ヒーロー物でも結局は多勢に無勢なのだ。そこは諦めてくれ。

 俺達が前進したその時、後方から叫び声が聞こえた。


「ルシファー!!」

途中かなり厨二臭いセリフがありましたが、自分でもびっくりしましたwまぁ今更ですが。そんで『人類の』救世主、ノーデンスと、人類『の』救世主、キーランス。なんか似てません?裏設定なんて全くありません、ただの偶然ですwwwクトゥルー好きですが、完全に意図外です。そして結構神性弄ってますが、気に障った方は大変申し訳ありません。

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