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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
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プロローグ

初投稿です。学園物も考えましたが、(私自身が)感情移入し易いように主人公を社会人にしました。ご意見、ご感想お待ちしております。

 ニュースでは汚職がどうだ、あの芸能人がどうだと騒がせる中、何の違和感も無く異世界の話題が挙がり続けるここ、ジャパン。神谷晶は今日も今日とて朝から慌しく家から駆け出す。テレビの中では今も政治家たちが難しい顔をして、最近発見された異世界についてあーだこーだ意見を飛ばしあっている。が、そんなもんかんけーねぇ!と。晶にはテレビの音声を聞く猶予すら残されていなかった。…単刀直入に言うと、寝坊して会社に遅刻しそうなのだ。


 ---異世界。漫画とか映画とかでよく見る、剣とか魔法とか、モンスターとか神様とか…ようするにこの世界では有り得ないことが跋扈するような世界が発見され、約2ヶ月経つ。

 きっかけは異世界側からの介入だった。未開の地、南アメリカのギアナ高地に確認されたゲートは、それを皮切りに世界各国で発現した。

 無論ゲートが開いた諸国は大わらわ。慌てに慌てテンパった挙句、核をぶちかまそうとする首脳が出る始末。しかし突如現れたゲート騒動は、またも唐突に現れた一人の人物によって一端の落ち着きを取り戻す。


「マテリアルの世界の皆さん、はじめまして。アストラルの世界、キュートス国の国王、キート=ベイン3世と申します」


 現れた異世界の、それも耳と肢体で一発でわかるエルフの国王によって、あっという間にこっちの世界…マテリアルの世界と、異世界…エーテルの世界の和平は決まった。よくわからないけど、不可侵の条約だか何とかを締結して割とあっさり会合は終了してしまったらしい。こっちの世界の外交問題もこのくらい綺麗さっぱり解決して欲しいもんだ。

 ちなみにエルフの他に巨人ジャイアントとか、妖精フェアリーとかドワーフとか…色々いたと某掲示板で祭りになっていたが、興味の対象はやはり妖精だった。巨人が実力行使に出たとか根も葉もない噂も多々あったが、そんなことになってたら今頃全面戦争だ。裏はわからないけど、平和的解決、大いに歓迎じゃないか。僕には関係ないことだ。


 それからゆっくり、本当にゆっくり、双方の歩み寄りが始まった。後々明らかになったことだが、次元とか事象とか、そういう物を隔てている壁のような物が歪んで破綻してしまったらしい。それで元々こっちの世界の存在を知っていたあちらさんがどうせならと穴を空けてきたらしい。何たる無茶苦茶。

 だがこれに近い干渉は昔からあったらしく、それが今に伝わる伝承や御伽噺に残ってるらしい。怪物とか妖怪とかUMAとか、そういった未確認な物もあちらの世界の住人さんと言うから驚きだ。こんな棚ぼたに世界の謎が解明されて良いのだろうか。ある意味夢が無い。

 そういったことも含めて、今は話を詰めている段階らしい。絶対利権問題とか出てくるからね。


 いい歳になってそういう事大好きな晶だが、目下の問題は世界なんかじゃない。ここで遅刻しようものなら、自分を取り巻く世界が地獄に変わる。向こうには地獄に似た世界があると言う話だけど…と現実逃避もそこそこに、法定速度をピリオドの向こう側に置き去りにして愛車を爆走…もとい暴走させる。パトカーが来たら一発で免取りだが、幸いこんな田舎の山道で滅多に遭遇するものではない。とはいえ、山道だからこそ細くて危険なのだが。無駄な所に命がけである。


 そして普段は30分以上かかる道を半分近あまりで到着した、そこそこに立派な建物に広い土地。県下で知らない者はいない神谷コーポレーション。晶の父が一代で築いた「城」である。晶はその弱電部品製造部の検査官を務めている。世間の目は「親のコネ」と写りがちだが、一応きちんと一般採用を潜り抜けた叩き上げである。「七光り」を嫌う父は自分から口外することなく、雰囲気でバレるまでは互いに人前での接触すらほとんど避けていた。…バレた原因は父の弁当を晶が届けに行った事なんだが。


「…ふぅ、危ねぇ。遅刻したら親父に何時間小言言われるかわかんねぇ」

 朝礼が終わり、着替えてほっと一息つく。なんとかギリギリ間に合った。低血圧なことは親父も知ってるんだから、親父の権限とかで僕だけ免除して欲しいもんだ。

「ギリギリだ馬鹿タレ」

 ビクッと身を竦めるが、決して振り向かない。断固!振り向かない。同僚のニヤケ顔が代わりに目に入るが構うもんか。今振り返ったら、絶対

「イダダダダダッッッッ」

 決心虚しく、耳という人体急所を捻り上げられ、あっさり観念する。昔から、親父には敵わない。色んな意味で。

 ---そして視界には、案の定眉間に皺を寄せたわが社の代表取締役社長、神谷剛三が鬼神の如くオーラを放っていた。いや、鬼神って実在するんだよなぁ…向こうの世界で、と早くも本日二度目の現実逃避をするも、同僚の前での羞恥プレイは絶賛公開中だった。


 虚ろな瞳でその日の業務を機械的に消化すると、帰りはノロノロと車を走らせる。今度は渋滞的な意味で町中だと迷惑かけそうな速度だが、ここは山の中で滅多に車は通らない。大した距離ではないがポツンと忘れ去られたように煌々と明るい自動販売機で休憩を取る。荒んだ心に炭酸ジュースが染み渡る。


 ---キラッ


 ぼんやりした視界の端に、鈍く輝く小さな物を見つけた。ノソノソと寄って見ると、蒼と白の装飾が施された指輪だった。


「指輪…か」

 何の気なしに指に嵌めてみる。計ったようにジャストフィットした指輪だが、困ったことに今度は抜けなくなった。


「ちょっ…えっ、いやいや」

 孤軍奮闘する中、タイミングとしてほんの数秒後、背後に気配を感じた。人の気配などでは勿論無く、そうあれは…


「ゲー…ト?」


 テレビで見た、異世界と繋がる、アレ。ゲートは徐々に拡大し、晶の身長と同じ位の大きさになったところでその成長を止めた。



 異世界の存在がようやく世間に認知された今日この頃。神谷晶の日常は今日、今この瞬間ゲートの渦に巻き込まれていった。

改めましてはじめまして、白カカオです。乱文ではありますが寛大な心でお付き合いください。しっかしいきなり読みにくいよなぁ…処女作なのでっていう免罪符でどうか…ダメ?ともかくよろしくお願いします。

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