beforeプロローグ 2
不良+異世界=はデータが消去されてしまったんで復活するまでしばしお待ちを(汗
その間こちらをどうぞ!
今は夕暮れ、落ち始める太陽が林立するビルの隙間から眩いオレンジ色の光を放っている、僕は少し急な坂道をゆっくりと下っている途中、学校も終わり特にやることも無い僕はさっさと帰路に着いているのだ。
そうしたかったのだ、本当は。
「おーい、表裏? ちょっと遅いで~?」
少し先を歩く糸目の少年、身長は高く黄色の髪と後ろにまとめた若白髪は今はオレンジ色に染まり炎のように見える、うーむ、彼に捕まったのが運のつきといったところか・・・。
あの妙な方言を持った彼は神切裁城、高校に入り二言三言話しただけなのだが、以来えらく僕を気に入った様子で、ああやって帰ろうとするたび捕まっては何処かへ連れて行かれるのだ。
で、今日は?
「何処へ行くんです? 裁城?」
「ふーむ、そやな・・・何処行きたい?」
「決まっていないのなら僕は帰りますよ、今日は疲れてるんです」
「あ~、いかんといてー! わいをおいていかんといてー!」
「くっ付かないでください気持ちの悪い!」
急に僕に抱きついて頬ずりするとは・・・背筋が凍えるような冷や汗が流れたのを感じる。
「あ、今思いついたわ」
「はい?」
「今日は夜の町にレッツゴー! や」
「・・・はぁ」
「なんや、コイツ馬鹿だな、面倒くさいな見たいな顔して?」
「そうですか、裁城は心が読めるのなら僕が一々一から十まで言わなくてすみます」
「ん? それどういうことや?」
「・・・どっちなんです? あなたは?」
「???」
「わからないならいいです、じゃあ早く行きましょう、その、夜の町というやつに」
「うっは~! 乗りの良い表裏は大好きやで~」
「その言葉、せめて僕の前だけで言ってくださいね」
誤解を招く恐れがある。
「もっちろん、表裏の前でしかいわんて~」
ニンマリと笑いながら僕と裁城は林立するビル群の方へと歩みを進めた。
ここは普通の国とは少し違う、いや、違うといってもここは日本である、間違いは無い、ただ僕たちが住んでいる場所に問題があるのだ。
東京から約1740キロメートル、硫黄島から約720キロメートル(ウィキ参照)から離れている絶海の孤島。
知ってる人も多いのではないだろうか、沖ノ鳥島。
ここはまさにそこなのである。
何時だったか、授業で習ったのはかなり前だから記憶にもあまり無いのだが、沖ノ鳥島はいよいよ島としての存在意義について各国から討論されることとなった、島とは自然に形成された陸地であること、水に囲まれていること、満潮時でも水没しないことと大きな三つの原則があるらしい、しかしだ。
僕は以前の沖ノ鳥島を見たことがあるのだが、あれは完全に岩・・・いや石だと僕は思うのだ。
そんな討論の末、排他的経済水域が危ぶまれた日本の技術はあらぬ方向へと発展した、すなわち。
『島を造っちゃえば誰も文句言えねぇんじゃね?』
いや、これはあくまで僕が説明しているから・・・多分こんなことは絶対言っていないと思う。
とにかく、日本は人工島創造計画といった、どこぞの小説に出てきそうなほどの計画名の下、その計画に着手した、能力者云々よりもこちらの方が数段驚く。
そして二百年以上の歳月をかけて完成させたのが、沖ノ鳥島である、島をとうにしただけというなんだかよくわからないネーミングセンスだがここで突っ込むのはやめにしていただきたい。
そして、現在というわけだ、大きさの規模は関東地方と大体一緒である、こんな巨大な島をどうやって造ったのだか・・・他国も認めているのだから随分とすごい技術力なのであろう。
「はぁ、この町は学生には厳しいな~」
「何処も同じと思いますけどね」
夜の町に繰り出した僕と裁城は八時以降何処の場所へ行っても追い出される始末、まあ、そんなところであろう。
後ろ手に縛った若白髪が揺れ、直ぐに顔が僕のほうに向く。
「なぁなぁ、表裏? どっか知らん? 学生が入れる怪しいところとか?」
「知りませんよ、てか、まず学生服というところでこの町から完全に僕ら二人は浮いています、帰りましょう」
「う~~~、しかたない! 今日のところはこれくらいにしたる」
何をだよ・・・。
僕と裁城は町の喧騒から離れるように歩みを自分の家へと向かわせる、裁城の家は僕の家とそれほど離れてはいない、走れば五分ほどで付いてしまう。
その時だ。
「おい、そこの学生二人、こんな時間に何してんだぁ?」
まぁ、すこーしはこの展開を予想できていた僕。
「ん? なんや?」
いつの間にか何処で購入したのか、フランクフルトを頬張りながら裁城が声をかけてきたほうへと振り向く、それに続いて僕もそちらを向いた。
案の定、すっごくヤンキーな不良共が五人と、後方にそのおこぼれに預かろうと群がる馬鹿十人ほど。
「少し俺らと一緒にいねー? おもしれーとこつれてってやるからよぉ」
「やって、どうするんや表裏?」
「僕に聞かないでください、ですが、丁重にお断りしておきます、僕たちは帰らなければならないんで」
「ふーむ、少し興味はあるんやが、まあ表裏が言うならわいもパス」
「そーかよ、それなら仕方ねぇな、金だけよこせ」
一番前に立つヤンキーのような強面がこちらに手を突き出してきた、元々それが目的なのだろう。
「出すわけないでしょう? そんな小説みたいな絡み方、いい加減自分がやっていて恥ずかしいと思わないんですか? ああ、馬鹿は文字は読めませんからそういうベタなパターンは知りませんか・・・」
「なんだとてめぇ!」
僕の安すぎる挑発にまんまと乗る馬鹿集団、と言っても僕は喧嘩というものがあまり好きではない、まあ、能力を使えば問題は無いのだが生憎そばには彼がいるから使えない。
「と言うことで、後は裁城、君に任せます」
だから今回は彼に頼むことにしよう。
僕は眠くなった眼を擦りながら、横に立つ糸目の少年の肩を叩く。
裁城はにぃ、と愉快に口元を歪める。
「表裏からの直々命令が下りましたんで、こっからはわいの出番や、別にかかってくるなとは言わへんけども、止めていたほうがいいとおもうで?」
「あぁ? てめぇらこそ状況わかってねぇのかごらぁ!!!」
先頭を切ったのは前の五人のうちの一人、ヤンキーは拳を裁城に向かって振るう、やはり喧嘩には慣れているのだろうが
ベギ!
―いやな音が鳴る―彼の敵ではない。
「うぎゃああああああああ!!!」
情けない泣き声があがる、見ると裁城に受け止められた右腕は変な方向に曲がってしまっている、あれは痛そうだ。
話は急だが、神切流と言う武術がある、裁城はそこの最年少にして師範言わば武術の達人だ、神切流は特殊であり、攻撃という動作がまったく無くて、相手の攻撃から自分の体を守る業のみしか存在しない、聞いただけでは護身術に分類されそうだが、それは違う、簡単に言えば受身の武術、守りは最大の攻撃とはよく言ったものだ。
先ほどのヤンキーのパンチを用いて説明するとすれば、裁城は微妙に角度をつけて拳を受け止め、前に少しの力で押しただけなのだ、腕から肩にかけて一番負担のかかる場所に反動の力を集中させ、相手の骨をへし折る。
つまりは相手の力と自分の力を利用する、防御武術なのである。
気がついたときには裁城の周りに五人ほどくたばっている、ほかの人は逃げ出したようだ、周りとの繋がりも吹けば消えてしまう程度に弱い。
「すまんなぁ、正当防衛やから、堪忍や」
痛みで唸っているヤンキーに誤る裁城。
「さっ、帰りましょう、顔を覚えられるのは嫌ですし」
「おーそやな~」
野次馬が群がる前に僕と裁城はすっかり暗くなった大人と裏の町から遠ざかる。
裁城の家への近道と言うことで誰も通らないような細い脇道を歩んでいたときだ。
「表裏、これなんやろな?」
壁に何かを見つけたようで裁城は僕に言う、僕はそちらへ視線を泳がせた。
「ああ、最近の噂の一つですよ、昔は相撲シールがあったように、これもそんなものです、なんであるか理由が不明みたいですよ」
僕の視界に映っているのは、複雑怪奇で幾何学模様をした魔法陣、随分と精巧に描かれたそれはスプレーなどでは到底作れぬほど緻密さを誇っている。
謎の魔法陣、誰がどうして何のためにこんなものを描いたのか、僕からしてみればどうでもいいことなのだが、僕の前の席の人がやたらと楽しそうに話すため、自然とそう言った噂は僕に入ってくる、まあ聞いてはしないからうる覚えだけれども。
先に行った相撲シール、それに加えて都心に目立つ落書きは己の存在などをアピールするために描かれ貼られている、しかし、これは違う。
この魔法陣は人気のない裏路地や人気の少ない通りの電柱などに小さく描かれているのだ、自分の存在をアピールするのではなく、描くが、まるで人目を避けているかのように。
「なるほどな~、随分と謎めいた代物っちゅーわけや」
「ま、僕にはどうでも良いですけど、さあ帰りましょう」
僕と裁城は魔法陣の横を過ぎ去って向かい側の通りに向かった、あの謎の魔法陣を背にして。
裁城と分かれた僕は自分の家へと帰る、見上げると中くらいのパッとしないマンションが目に入った、その中に僕は歩みいる。
僕は一人暮らしだ、親は東京に住んでいて、僕を独り立ちさせるためにもここは一つ沖ノ鳥島にある高校にいって来い! と言われ現在だ―そのとき付いてきたのが菜月と札札だ、菜月はこのマンションの近くにあるアパートに住んでいる、札札は確か近くにある式山にある神社だとか?―勿論親に逆らおうなどとは思わなかった、僕も一人が結構好きなのである。
が、まわりは僕を一人にさせてはくれないのだ。
僕は自分の部屋へと入る、電気はすべて消してあり中は真っ暗、僕は一つ一つ電気をつけていき自分の部屋へと入って制服を脱ぎ簡単な私服に着替え再びリビングへと向かう、あと僕に残されている行動は、夕食を作り適当に風呂へ入り、ダラダラゴロゴロした所で就寝、というパットしない普通の日常だ。
リビングに出る前に僕は自分の部屋を眺める、何かやり忘れてはいないかと言う最終確認が僕のいつもの癖だ、と、その時、僕の視線は自分の机の上にあるパソコンに注がれた。
そして、思い出す・・・。
気づけば僕は机に座ってパソコンをいじっていた、特にやろうと思ったことはない、しかし、今日聞かされた事が妙に僕の胸の中に疑心の渦を作り出している。
出るはずないじゃないか・・・たかが噂だ、僕は自分に言い聞かせる、しかし、一度その疑念を覚えてしまうと確かめずにはいられない、よく怖い話とかで主人公が行かなければ良いのに行ってしまうアレだ。
だが、いったいどうやって? 確か札札は急にパソコンの画面に出てくるとか・・・じゃあ僕がそのサイトにであるのはあまり期待できないのかもしれない。
そんなことを思っていると、腹の虫が妙に騒ぎ始めた、夕食が未だだったな、今日は適当に冷凍食品で言いか、など高校生にしか通用しない偏食献立を考えながら僕は自室を後にする、パソコンの画面はつけっぱなしのまま、少し経てばスリープモードに移行するから問題はない。
夕食を簡単に済ませた僕は、ほとんど冷蔵庫に物がないなと思い、明日買いにいこうとメモ帳に数日分の食材を購入と書いてかばんの中にしまいこむ、こうすれば何かの拍子にメモを見る機会があるかもしれないと言う僕の昔からの手である。
冷凍食品を乗せた皿と使った箸、茶碗を片付けて僕は風呂場へと向かう。
どこにでもあるようなひざを曲げて人一人入れる程度の浴槽にすでにお湯がたまっている、意外にもこのマンションは浴槽だけは最新鋭で予約が出来るらしいのだ。
僕は風呂場の電気を消して入る変な癖を持ち合わせている、なぜと問われても落ち着くからとしか言いようがない、僕の家族も全員浴槽の電気は消しっぱなしで入っている、電気代の節約も出来て一石二鳥と言うやつだ。
ブクブクブクとお湯の上辺に鼻の穴の寸前まで使った僕は気泡を漏らしながら湯船につかる、暗闇の中静かな浴槽に僕だけの音が響く。
能力者クラブ。
また思い出してしまった、ブグブグブグ。
誰が作ったのか、どうしてあるのか、能力者だけのサイト・・・か。
どうしてそんな物を作ったのだろう、僕は根本の疑問を掘り出しじっくりと考えてみる、たとえば能力者という存在を大々的に知らしめるとか、能力を使い世界征服だとか・・・いろいろ考えてみるがどれもちゃんとした答えは出てこない、当たり前だ能力者クラブ事態あるかどうかわからないのだから。
と、そんな天国と地獄はあるのか無いのかと言う倫理的な考えのドツボにはまった僕は。
「のぼせた・・・」
頭に氷の入ったビニール袋を乗せながら天井の凹の形にして電球を取り付けた白色の光を放つ天井を眺める、ついつい思考を働かせすぎてしまった、リラックスする場だとう言うのに、疲れてしまうとは・・・もう寝ようか。
僕は若干ふらつく足取りで自室へと戻り電気をつける。
ああ、そういえばパソコンをつけっぱなしに―――!
「っけほ!」
あくびをしながらパソコンの画面に目を向けた僕はあまりのことに咳き込んでしまった、まさか、一日でこんな簡単に?
僕の視線の先にはパソコンの画面、そして画面には。
『能力者クラブ』
そう・・・画面にある。
いやいやいや、待ってほしい、え? なんで? どうして!?
いや、落ち着け・・・じっくりと考える時間はある筈だ。
ああ、こういったときに何で札札の話を聞いておかなかったのだろう。
とにかく、とりあえずヒットしたのだから、いいのか?
僕はとりあえず落ち着きを払いながら椅子に座って能力者クラブと言う名の謎めいたサイトを観察する。
グラフィックは札札の行ったとおり血のグラフィック、子供や女性が見たら泣くぞ、これ。
そして謳い文句といったところか、あなたの能力を役立ててみませんか? とあり、その下には名前を書けば一員(本命必須)とある、となり空欄には傍線が一定刻みで点滅していて、すでに文字入力が可能だ。
どうしたものか、消すことも出来るみたいだけれど・・・。
あなたの能力を役立てては見ませんか・・・か。
どうすることも出来ぬまま、僕は静かにパソコンを閉じる。
サイトは消さず、その問題をパソコンを閉じると言う選択肢で逃げるといった、中途半端な解決策で・・・。




