結構気だるげ蛇皮だらけ
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初詣に来たぞ!テンションあがるなぁ〜!
え?初詣なんて寒くて眠くてあんまりテンションあがらないって?チッチッチッ、なぜなら今日の俺はそう!絶賛片思い中の幼馴染の秋華ちゃんと一緒に初詣デートだからさ!
ぐふふふ……ああそうか、君たちにはまず俺と秋華ちゃんの出会い、そしてどうやって俺が秋華ちゃんを好きになったのか話さないといけないね……あれはある春の日……
え?前置きなんてどうでもいい?馴れ初めなんて興味ない?尺が収まらなくなる?作者の書く手間がかかりすぎる?はぁ……まあしかたない、こういうときはこれ、かくかくしかじかで俺は絶賛秋華ちゃんに片思い中というわけだ。
……うーんなんかこれだと俺の想いが薄っぺらく感じる気が……え?しない?どうでもいい?さっさと物語を進めてくれ?起承転結の起に時間かけすぎだろって?はいはいわかったわかった。
てな訳で、俺と秋華ちゃんの初詣デート開始……!
え?やっぱり尺が収まらないから巻きで話してって?それ!まいたけまいたけ!ぐるぐるぐるぐる!
○ ○ ○
「初詣なんて私久しぶりだよ〜お正月なんていつもこたつで寝ちゃってるからさ〜」
ああかわいいすごくかわいい。振り袖姿とか見れちゃうんじゃとか思ったけど生足制服も最高。制服が一番エロいからね。風邪だけ引かないよう、俺の羽織っているコートをいつでも肩にかけてあげる準備ならできている……
「ほんとそれな〜ばあちゃんが作ってくれたお雑煮食べてお年玉もらってお菓子食べてバラエティみながらこたつで寝るのが最高だよな〜」
テンションの高さゆえ、饒舌になってしまう
「……なんか後ろのほうが騒がしくない?」
秋華ちゃんが変な事を言い始める。
「どうしたんだろう……わ、こっちに人が走ってくる!!」
ちょっと慌てている秋華ちゃんがかわいい。いやいやそんな場合じゃない!
「ど、どうしたんですか!?」
「蛇だよ!蛇が出たんだ!警察の人が来るまで向こうには行かないほうがいいよ!!」
「へ、蛇ですか!?やだ……私蛇苦手だから怖いなぁ……」
すごいかわいい怖がってるのもかわいいもう全部かわいい。でも、こんなかわいい秋華ちゃんを怖がらせる蛇なんざ、俺が許しておけない!
「俺、ちょっと様子見てくるよ」
「えっ!?ダメだよ危ないよ!?」
「蛇年早々に本物の蛇が見れるなんてラッキーだよ!ちょっと離れて見てくるだけだし、大丈夫、大丈夫!」
「まっ、待って夏斗くん危ないよ!?それフラグって言うんだよ!!このままじゃ作者の思う壺だよ!?」
えっ、今、秋華ちゃんが俺の名前呼んでくれた……!?イヤッホウまた関係が一歩進んだぜ!
「ほら、蛇が夏斗くんの目の前に!!」
え?
「うわ!前から蛇が!」
瞬間、飛びかかってきたのは真っ白な蛇。
そしてその蛇と俺の頭が衝突して、俺と蛇はその場に倒れた……
◆ ◆ ◆
目が覚めると、なんだか視点が低い気がした。否、実際に視点が低いのだ!!な、なんだこれ!?
「な、夏斗くん大丈夫!?」
秋華ちゃんがこっちに駆け寄ってきた。
いや、ほんと申し訳ない、俺がフラグを立ててしまったばっかりに……秋華ちゃんに心配をかけてしまった。これはすぐに謝らない……と…………!!????
俺の真上を秋華ちゃんが通過していく。いや、目線が低いことも相まって、なんというかこう……上を見上げると、純白の清らかなる布が見えていたのだ…………
これって……ああ、秋華ちゃんのパ
「夏斗大丈夫!?ねえ、夏斗!?」
ああああ!秋華ちゃんが俺の事を呼び捨てに…………!!?いやさ……もうすっごい嬉しいのなんの、今まであんまり名前で呼ばれてなかったからさ……キミとかお前とか……いやそれでもなんか悪い気はしなかったんだけど。
そんな秋華ちゃんに応えなくては!!覚悟を決めろ夏斗!!ここで秋華ちゃんを呼び捨てで読んだらきっとかっここいいはず!
ああ、秋華……心配かけてごめんね……もう大丈夫さっ……
なーんて、よし!漢を見せろ夏斗!ここで声をかけるんだ!!
「…………シャー」
舌がペロペロ揺れる。
顎がなんかすごい開いてる感覚がある。
???
「きゃあ!蛇!!」
あれ、秋華ちゃんがなんか怖がってるぞ……?
そうか蛇か!あの蛇がまだ近くにいて怖いんだな!よし、俺がそばで守ってやるから、安心しろ秋華!
そう思い、俺は秋華ちゃんに近づいたのだが…………
「ひゃあ!!来ないで!!!」
「あ、警察の方ですか!?あっちです!あの女の子の近くに蛇が!!」
「あらほんとだ。こりゃ明らかに外来種の蛇ですね〜じゃけん捕獲しましょうね〜」
なんだなんだ!?秋華ちゃんは怖がってるし、なんか知らないおっさんが俺に近づいてくるし!?
なんだこのおっさん、巨人すぎるだろ!?超大型巨人ってレベルじゃねえぞ!?
あっぐっ……掴まれた……!!離せおっさん!!俺が秋華のそばにいてやらなくちゃならないんだ……あ待って待って力強い痛い痛い折れちゃう折れちゃう!肋骨折れちゃうって!!
あっという間に、おれは超大型巨人の檻に捕まってしまった。
ひどい!秋華は俺がついてないと…………
そう檻の外を覗くと、俺は絶望した。
安堵した表情を浮かべる秋華が抱きついているのは…………
気だるげそうに舌を出している、俺だった。
○ ○ ○
檻のまま何処かへ運ばれた……もうなんだか更に嫌な現実が突きつけられる予感がする……
「にしても……こんな白色な蛇なんて、流石に野生じゃないですよね……?」
「ああそうだな。近くの動物園と、ペットの脱走がないか、近隣住民に聞き込みだな……幸い、牙は抜かれているみたいだから、まともな所が飼っていた蛇だと思うが……」
どうやら俺は、蛇になっていたらしい……それも、このおっさんからの話を聞く限り、俺が倒れる直前に飛び出してきた蛇の外見に一致している……まさかとは思うが……あのとき俺と蛇の中身が入れ替わって…………!!??そんな古典的な入れ替わりが……!??
嫌だあああああああ!!認めたくない、なんで蛇なんだ……!!かわいい女の子でもなくて、こんな…………
こんな君の名は。は嫌だ。どんなの?
好きな人が嫌いな、蛇と入れ替わってた
大喜利すなー!
まったく……俺は蛇として生きていかなくちゃならないのか……!?
「はい。ええそうです。ああなるほど、分かりました。では今からこちらに来ていただくことは可能でしょうか……?はい、はい了解しました。はい、はーいでは失礼します……」
なんだ?電話か?
「先輩、今冬田が聞き込みをしていたところ、蛇のペットの脱走が発覚し、そこのお宅の方とお話ができました」
「おお、それで受け取りに来てくれると」
「はい、そのようです」
「了解した。じゃあ飼い主が来るまで餌は与えなくていいな。変な物でもあげて、攻められたら敵わん」
え、餌?そういやさっきからお腹が空いているが……
「よーしじゃあ解散解散!飼い主が来たら受け渡しの手続きだけするからそんときにまた呼ぶわー」
「はいっす!」
おっさん達、たぶん保健所か警察かなんかの人が俺の入った檻を部屋に残したまま、退出していった……
two years later……いやほんとにそんなかかってないけど、俺の中ではそれぐらいに感じたんだって!!この空腹の中、俺の飼い主とかいう人が来るまで餌ももらえず……
ついに、その人が来た。
「ペパちゃん!?ああペパちゃん……本当によかったザマス……ペパちゃんがいなくなっているのに、警察の方々が来るまで気づかないなんて……本当に、寂しい思いをさせてごめんザマス……さあ、帰るザマスよ……」
俺の飼い主は、ザマスだった…………
○ ○ ○
そのまま、ザマスの家に帰宅。かなりの豪邸で、俺の他にもペットがたくさんいるようだ。
「さあ、ペパちゃんのお部屋ザマス……ケージの中は狭かったザマショ……」
そう言うと、俺を檻の中から出して個室に解放してくれた。
このザマスは俺の近くに住む豪邸の家の主人で有名だったが、まさか蛇まで飼ってるとは……
ちなみに、ザマスというのはあだ名であり流石に本名ではない。上鳴電気とか庄田二連撃とかの名は体を表す系ではない。
「お腹空いてるザマショ?すぐにご飯を持ってくるザマス」
ご飯か……蛇が食べるものってたしか…………ネズミとかカエルとかか!!?
嫌だ!!そんなの食べたくない!!助けて誰か!!さすがにネズミもカエルも食べてしまっては、本当に人間じゃあなくなってしまう……ヘルプミー!!
「はーいペパちゃん、卵持ってきたザマスよ〜」
え?卵?
出されたのは、普通のウズラの卵。
ぶつかる直前に見たあの蛇なら、蛇の中でもまあまあ大きい部類だと思っていたが…………
卵がものすごく大きく感じる。
いやいやいや!?こんなでっかいもの、流石に口に入らないって!!
「ペパちゃん、どうしたザマス?お腹空いてないザマスか……?うーんでも、タマゴヘビは卵しか食べないはずザマスが……」
タマゴヘビ?俺はそういった品種なんだろうか。
牙の感触もないし、警察の人が言ってたみたいに抜かれているものだと思っていたが……
うーん、そういう品種なのか。まあ所詮警察だってそんなこと知らないよな……
食べます食べますから!そう強く思って顎を目一杯開けてみると……
ミシミシミシ
なんかイヤーな感じが下顎から……いやいや、考えない考えない……
そのままウズラの卵を……丸飲み。
正直言うと、すごく苦しい。でもそれ以上に、卵を丸飲みとか、すげー気持ち悪い…………なんか、飲み込んだはいいものの、ずっと腹に違和感しかない。まるでそう、お腹が卵の形に膨れているような……
ああ、早く人間に戻して!!
○ ○ ○
しばらくして、お腹の卵の感触も消えたころ、俺は一つ計画を立てていた。
そう、脱走計画だ。
ザマスの家と俺の家は近い方だ。……人間の距離感で。
一旦この家を抜け出して、元の俺に会いに行く。
もしあのときみたいに衝撃で中身が入れ替わってしまったのだとしたら、元俺の頭に俺が勢いよくぶつかれば……元に戻れるかもしれない。
ザマスは俺の餌やりが終わると、他のペット達に餌をあげるため、キッチンとこの付近をうろうろしている。この餌やりタイムが終わって、離れてくれれば……脱走計画開始だ。
一度脱走したことのあるこの蛇なら、もう一度脱走するのなんて容易いはずだ。
俺はこの蛇眼で、ザマスの行動をジッと観察し続け……
今だ!
ザマスがペットの部屋から離れたこのタイミング!今なら脱走できる!
まず、近くの大きな窓から。身体を押し当てれば、この窓の鍵ぐらい開けられそうだが……
おっと、鍵の部分がガムテープで塞がれている。流石に対策しているようだ……
ん、いや待て、この大きな窓の更に上、換気扇がついている……
うーん、ちょっと怖いが……やるしかない。
もしあそこを通っている間に換気扇が動き始めたら……
そのときは、俺の人生もとい蛇生はおしまいだ……
でも、このまま蛇として生きるくらいなら、死んだほうがましだ!
ええい!やってしまえ!今だいけっ!ゴーゴーゴー
もうこの家なんかこないからねー
結論からいうと、特になにもなく、普通に換気扇から外に出られた。
ふぅよかった……まあさっきのは生存フラグだったかな?トイ・ストーリーだったら全然換気扇が動いてた気がする……
さてさて、脱走できたなら次は俺の家を目指す!近くの住民に見つかるとまた絶対捕まる……2回も脱走したとなると、今度はケージの中で飼われることになるだろうな……
ワンチャンスしかない、絶対に見つからないで俺の家まで辿り着かなくては……
○ ○ ○
巻きでお願いされているので、結論から話そう。
俺は今、近隣住民に追いかけ回されている…………
「ザマスの蛇がまた脱走してるぞ!」
「捕まえろ!」
「警察に連絡だ!」
ひいいいい俺はなるべく目立たない道を通ったつもりなんだが!?
こうなっては仕方ない、まっすぐ俺の家まで直進だ!!
○ ○ ○
また結論から言おう。かくかくしかじかで、俺は俺の家に辿り着いた……いや、住民がポンコツで助かったのだが……警察まで来られたら、一巻の終わりだ。それまでに早く元に戻らないと……
俺の家の庭に忍び込み、庭の窓から俺の家を覗き込む……
っ……!!俺がいる!!そして……秋華ちゃんも!!?
「……ねえ、夏斗ほんとに大丈夫?さっきからずっと様子おかしいよ?」
「シャー」
俺がアホ面で舌を出し、ペロペロしている。
あああああ!見てられない、なんかすごく人間としての尊厳を破壊していて……本当に、俺の中にはこの蛇が入っているのか!?
これは一刻も早く元の身体に戻って誤解を解かないと……
「なにか食べたいものとかある?取ってくるよ」
「たみ゜ゃぁコッ」
「た、卵?」
喋れるようになったばかりの赤子のような、拙い発音で俺が喋っている。
ああああ!もう、ほんとに!見てれば見てるほど、俺が倫理的に崩壊している……
「えっと……冷蔵庫にあった卵だけど……そうだ、これ使って私が料理作ってあげるよ。何が食べたい?卵焼き?オムレツ?」
あ、秋華ちゃんの手料理ィ!?くそ、あいつめ!俺だってそんなのまだなのに!!くぅ~お前のこと、ずっと恨むからなぁ!!?
そうやって秋華ちゃんの手料理に憤慨していると……元俺が、秋華ちゃんが持っている卵に……食いついた。
ま、まさかあいつ!?俺の体で卵を丸飲みしようと!?やめろ!!それは今度こそ人間として終わってしまう!!それも好きな人の前でなんて……ああああ!止めないと!!!
「え、ええっ……?夏斗くん……?」
「あがあが」
無理だから!人間の体で殻ごと卵丸飲みは無理だから!!最悪、そのまま喉に詰まらせて窒息死する可能性すらある。急いで俺の家に侵入しないと……
「な、何してるの?卵はそのまま食べれないよ!?」
あった!換気扇……ここからまた部屋の中に……!
「の、喉詰まっちゃうよ!?早く出して!」
「ご……こ…………」
換気扇のファンの間から、体を捻りだして、ついに侵入に成功した。
「え……きゃあ!またあの蛇!!」
「…………っ!!!」
元俺の目線が、俺に釘付けになった。……卵を咥えたまま……
待ってろよ俺の体!すぐに戻ってやるからな!!
勢いよくぶつかるため、俺の頭より高い位置を探す。あそこのタンスの上なら!!
スルスルと、タンスを這い上がる。
もうこの体の扱いに慣れてきている自分になぜだかゾッとするが……
この位置、この高さ、あとはここから勢いがつけられれば……
ふと、体の違和感に気づく。まだ入れ替わって半日ほどでしかないが、それでもわかるくらい異常な感覚だ。
なんかこう……全身が痒くて……ムズムズして……ナニかがいまから溢れ出しそうな、あの寸止めナンチャラのときみたいな……ギリギリの感覚。
もしかして……これって……!!
すべての運が、今俺に味方している!!
このワンチャンにかける!!これがダメならもう人生を諦める……!!頼む神様!俺の苦労を見ててくれ!
体から、メキメキという音がする。同時に、味わったことのないような、新たなナニかが飛び出す快感……
すごい……寸止めナンチャラとは比にならないほどに…………気持ちいい………………!!
……俺が何をしたかというと、そう脱皮だ。本当にたまたまこのタイミングで脱皮が始まるなんて奇跡だったが、俺はその脱皮を利用して、脱皮のときにかかった力をそのまま飛び出すときの勢いに使った。
枝豆を食べるときに押し出したらすごい吹っ飛ぶことがあるように…………いやこの例えはあんまりかっこよくないか……まあいいや。
まあそうやって勢いのついたまま、俺の蛇の頭と、俺の体の頭は衝突した…………
◆ ◆ ◆
目を覚ますと、変わらず目線は低いままだった。ああ、失敗したのかな……地面がこんな近くに……
……いや待て、これは地面じゃないぞ?ふかふかで、モチモチで、つるつるすべすべで……ぷにぷにで。
目線を動かしてみる。上を見上げると……わあ、空が半分しか見えかった。
なんだろうかこの二つにそびえる巨峰は。
「あ、起きた」
もしかして……これって…………
「ひ、ひぢゃみゃくり゜ゃ!!?」
戻る前の俺みたいな、拙い発音で叫び、飛び起きてしまった。
「ちょ、どうしたの?まだやっぱり様子おかしいよ……」
ああ、この手、足、自由自在に動かせる……
人間に……俺の体に……戻れたのか!!?
「いーや大丈夫だ秋華。もう元に戻ったよ。そして俺、秋華にずっと言いたいことがあったんだ」
やっと俺の体に戻れたこと、蛇の中身が俺の体でさんざんやってくれたこと、いろいろ感情が爆発したけど、なにより今は二人きり。こんなシチュエーションでアレだけど、もう止められないんだ。
「俺……秋華のことが………………」
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。無視だ無視。
「秋華の……ことが…………」
ピンポーン
「す…………」
ピンポーン
「……えっと……私、出てこようか……?」
最悪だ。
「ごめん……俺が出てくるよ……」
玄関のドアを開ける。そこにはあの警察のおっさんが。
「すみません突然、僕ら警察なんですが……あ、いえいえ逮捕とかじゃないですよー安心してください。先ほどこの近くでペットの蛇が脱走したと通報がありましてね……近くのお宅で聞き込みをしていまして……」
「ああ、うちにいると思いますよ」
「……!?」
リビングに戻ると、あの白い蛇がクッションの上に置かれていることに気がついた。
もしかして、はぁ……強いな秋華ちゃんは。苦手だろうに、蛇をそのままにせず、ちゃんと介抱してあげるなんて……
「あらまほんとだこの白い蛇ですよ〜ご協力感謝します。……でもーどうしてこんな所に?」
「えっとまあ……かくかくしかじかで……まあそんなことより、この蛇を飼い主に返すとき、適切な餌やりを心がけることと、また脱走することのないよう言いつけておいてください!こういう蛇って換気扇とかから抜け出すんですよ〜」
「……?へぇ〜そうなんだ。まあよくわかんないけど了解したよ」
そういっておっさんは蛇をそのまま掴んで連れて行った……
あーもう駄目だ絶対言える雰囲気じゃあなくなっちゃったよ…………
やっぱり俺はこのまま何も進めないのかな…………
いや違う、思い出してみろさっきまでの蛇生を。
秋華ちゃんに怖がられても、檻の中に閉じ込められても、ひどく空腹になっても、卵を丸飲みしないといけなくなっても、換気扇から脱走しないといけなくなっても。
俺は諦めなかったじゃないか。だからこそ俺は今俺の体でいられる。
だからもう少しだけ、諦めずにいれば……
「ねえ秋華ちゃん、その……今日はいろいろ大変だったし……迷惑もいっぱいかけちゃったと思うからさ……もう一回、初詣に行かない?ああいや、2回目は初詣じゃないか……二詣?」
「ふふっなにそれ、いいよ。だってまだおみくじも引いてないし」
「たしかに。じゃあさ、今度いくときは振り袖がみたいなーなんて…………」
「ふーん、いいよ」
「えっいいの!?だったらさ、俺もあの服着てみたかったんだよね______
終
いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、
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