5.実はすごいんです!
ここだけの話ですが、ノアがメガネをかけているのは私の好みです。
お話には何にも関係ありません… とっても残念ですが…
「わあぁ! 本当にここが私のお部屋なんですか!」
「ルーナ! ここすごいよ! お城みたいだよ!」
「はい! 我が国自慢のお城ですから!」
数日前には『いつになったら私は貴族らしい部屋に住めるのだろう』と夢見ていた部屋が、想像以上の形でやってきたわ!
水を飲むのも恐ろしい高そうな絨毯! 髪を乾かすのをサボって寝られない寝台! 絶対に武器を落とせない大理石の床!
「ここは、お城ですか?」
「はい! お城です!」
2人揃って同じことを話したのに、わざわざ返事をしてくれる優しい侍女付き…!
ノア殿下ありがとうございます…!
「キーラ! ここ、本当に素晴らしいわ!」
「ルーナ様に喜んでいただけて私も嬉しいです!」
か、かわいい…♡
私の専属侍女をしてくれることになったらしいキーラは人懐っこくて、本当にかわいい。
さっきも、
『キーラ様、よろしくお願いしますね。』
なんて言ったら、
『様なんてつけないでください! あなたは王太子妃となられるお方ですし、自分の主人から様付けされるのは、距離が遠くて悲しいです。』
なんて言ったのよ!
オレンジっぽくもあるふわふわした茶髪を揺らしてこちらを見るキーラが、あまりにもかわいい子犬に見えて、なでなでしたくなる腕を必死に抑えていたのですから…!
「で、なんでレイはここにきているのかしら? 部屋は別になったはずだけど?」
「やっ、俺は一応護衛枠だから、多分こっちの方が居心地いいんだろうなぁって思って… 来ちゃった!」
「来ちゃった! って、せっかく部屋用意してもらったのに!?」
「だいじょぶだいじょぶ! もし王太子様が来たら、パッと消えるから!」
そういう問題かしら…?
まあ別に、私は気にしないからいいのだけれど。
「急に部屋に来客があった時はどうするのよ。」
「俺の部屋はどうせここの護衛用の部屋だろ? だったら扉で続いているはずだし、こっちに来ていても違和感ないでしょ!」
「確かに、レイ様には護衛用の部屋を使ってもらうようにと聞いています。」
「ほらやっぱり!」
「このお部屋には護衛用の部屋が三つ、侍女用の部屋が二つ扉で続いております。護衛用の部屋を丸々一つ使っていいそうなので、結構広々としていますよ!」
「マジ!みに行ってくるー!」
レイはいつものようにふわりと浮くと、カーテンを吹き飛ばしかねない速度で部屋に向かっていった。
私には見慣れている光景だけど、キーラは初めてだったらしく、呆然としている。
「ルーナ様? 彼は上位精霊と聞いているのですが、上位精霊とはあんなに元気なのですね。もっと厳格な、国の重鎮のような方がいらっしゃるのかと…」
「びっくりよね。ちなみに、レイは精霊の中でも5本の指には入る魔法の実力者よ。」
「えっ」
キーラが明らかに『あれで…?』という顔をしているけれど、それは私も常々思っていることだから深くは掘り下げない。
さらに言うなら、私も長い間気づかなかったのだけれど、実はレイはこの世界で最も神に近い存在と言われている大精霊の1人らしい。
大精霊と言っても、争いを好まず自分の仕事のための魔法しか使わないような大精霊はたくさんいて、上位精霊でも大精霊の強さを超えていることもあるらしいから、ものすごく強いことは公表してもいいのだけれど…
…流石に『大精霊を従者にしてます』なんて言ったら、ものすごく面倒なことになりそうだから言わないでいる。
(そしてさらに隠さなければいけないのは、私が修行の結果、レイの加護をもらわなくてもレイに勝てるようになってしまったこと…!)
久しぶりに戦闘訓練(今思えば、聖女に癖に何をしているんでしょうか)をしたら、まさかのレイに勝ってしまった。
レイはあの性格だから、『すっげぇー! 俺に勝っちゃった!』とはしゃいでいたけれど、なんでもサバイバル精神で乗りきっていた私が、久しぶりに青ざめた日だったわ。
大精霊越えの強さが戦争に使えるとなったら、各国はそのために喜んで戦争をする。
私のことが大っ嫌いだった実家も王家も、私を手放さなくなったでしょうからね。
今はこうして解放されて、めちゃくちゃ嬉しいわ!
『ルーナー! マジで部屋広いわ!』
遠くからレイのはしゃぐ声が聞こえる。
「レイはものすごく強いけれど、それ以上に遊ぶことが大好きな子だから、キーラもかまってあげてね!」
「は、はい! お任せください!」
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