20.婚約披露会④
お久しぶりです
……どなた?
急に現れた青年に驚く顔をすると、青年は慌てたように笑った。
「あっ驚かせちゃった? ごめんごめん。でも、ここからは逃げた方がいいから……着いてきて!」
「えっちょっ! うわわっ!」
彼は私の腕を掴むと、少し強引に引いた。
マ、マナーがなってなくってよ!……って昔読んだ物語の登場人物が言っていたんだけど、使い方はあっているでしょうか。
人の少ない、会場の角の方に連れてこられたみたいですが、まだまだ視線は冷たいものが多いですね。
せっかくですし、一人くらいお友達がほしかったのですが……
「結構離れたけど、ここも視線がするどいね。君、数か月後には暗殺されてるんじゃない?」
「あっ……!?」
「俺の主人に変なこと吹き込まないでくださいよ」
「レイ……やっぱりレイは優し——————」
「後からビビッてめんどくさくなり、おれの仕事が増えるんで」
「レイッ!?」
レイ、
やっぱり君は、かわいいのは顔だけだったのですね。
そして青年よ。
君はいったいどこのどなたですか?
私、存じ上げておりませんの。なにせ引っ越してきたばかりでして。
「そういえばさ、あんただれ?」
レイ、ドストレートに聞くわね。ありがたいです。
「えっ僕のこと知らないの!?」
知りませんけどぉ!?
こちらからしたら、今のあなたは不審者でしかありませんわ!
「申し訳ありませんが、存じ上げませんわ」
「えっこの僕、デイモン・シアーズを知らないでついてきたってこと?」
「はい。そうですが……」
だって仕方ないじゃない。
私は一応パッティア王国のグラウプナー公爵令嬢でしたが、実際のところはただの冒険者ですから。
もしかしたら、平均的な冒険者さんよりも、過酷な生活をしていた可能性もあるくらいです。
貴族社会のことなんて、最低限のマナーと知識しか備わっておりませんわ。
——————ん? 彼、自分の名前を『デイモン・シアーズ』だとおっしゃらなかったかしら?
『レイ、彼の名前って……』
『もう忘れたの!? デイモン・シアーズってちゃんと覚えてあげない…と……』
レイも気づいたらしい。
あんなに適当に生きていて、発言も七歳くらいを相手にしている気分になることがあるとはいえ、大精霊。
意外と頭の回転は速いし、知識量もあるのよね。
ちょっと悔しいかも。
それにしても……ノア様から教えられた『要注意人物3選!』をコンプリートしてしまいました!
ローラット公爵令嬢様とは、ほとんど挨拶だけでしたが、パース侯爵令嬢もシアーズ侯爵令息も、かなり関わってしまったような気がいたします。
こんな予定じゃなかったのに!
三人とも挨拶だけしたら、そぉっと離れて関わらないでいるつもりだったのに!
ノア様、申し訳ありません。
早速言いつけを守れませんでした。
読んでいただきありがとうございました♪
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