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18/21

18.婚約披露会②

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

目指せ、6月までに完結!

「皆、今日は私の婚約披露会によく来てくれた」


敬語を使わない堂々とした姿で、私の隣に立ち登場するノア様。

眩いばかりの銀髪は優しい風に靡き、令嬢からの熱のこもった視線を受け取っている。


その後ろに飄々とした人好きのする笑顔で佇むジェイクさん。

ハネのある鮮やかなワインレッドの、少し長めの髪の毛を粗雑な印象にハーフアップにした姿は、こちらもやはり令嬢たちの視線を釘付けにしていた。


私の後ろに立つレイは若草色の髪の毛を整え、気怠気に伏せられる深紅の瞳で、令嬢たちの視線を攫っている。

少年のようにも青年のようにも見える容姿は、その正体が五大精霊の一柱ということもあり輝いていた。


私の周りの男性三人が令嬢たちの視線を三分している中、対して私はというと……

格家の御令嬢、そして御婦人型の視線を一身に受け止めていた。


いや、怖いって。


皆さんからしたら『どこの馬の骨ですのぉ?』と内心大嵐で竜巻でブリザードでしょうが、私だって気づいたら大国の王太子様の婚約者になっていたのですよ。

つい四か月ほど前まではサバイバル生活をしていたはずなのに、今は豪華なお部屋で上位精霊特製『最高級果物盛り合わせ』をムシャムシャ食べていますからね?


「人生とは、何が起こるか分からないものですね」

「急に何に目覚めたのですか?」


ノア様がにっこりと笑いながら私に問う。

声に出ていたみたいですね。びっくりびっくり。


ご令嬢とご婦人方からは『キャアァァァアアア』という、ノア様の笑顔とジェイクさんの吹き出す顔、そしてずっとムスッとしていたレイの笑みを見られたことによる歓喜の声が上がった。


同時に、『イヤアァァァアアア』と悲鳴も上がったけれど……


全くと言っていいほど歓迎されていないような気がしますが、あからさまに敵意を向けてくる方はいないように見えますね。

良かったです!!!




◇◇◇





「初めましてルーナ嬢。ローラット公爵が娘、ベッキーですわ。またすぐにお会いすることになりましょう。失礼いたします」


ローラット公爵令嬢は自己紹介だけすると、こちらの返事も待たずに去って行ってしまった。


いや、怖いって(本日二回目)


そもそも自己紹介だけというのはマナーとしてもダメなものだけれど、私のことを『ルーナ嬢』と呼ぶのは私を格下に見ているととれる。

確かに同じ公爵家の出身といっても、大国と小国では規模が違う。


しかも、もともと私が転移魔法を駆使して父の仕事を肩代わりしていたから、グラウプナー公爵家はギリギリ成り立っていたようなものだ。

私がいなくなった今、借金まみれになっている可能性だってある家が、大国の公爵家と同等なわけがない。


けれど、露骨に下に見られるというのは気分の良いものではないわね。


『あいつ、お仕置きする?』


脳内にレイの声が響く。一応は主従関係のある私たちは口に出さず、どれだけ距離が離れていても意思疎通ができるのだ。


『だ、だめに決まっているでしょう!? 公爵令嬢だし、私は余所者だから……』

『ちぇっ! あの女、ちょっと面白い精霊を従えてたから話してみたかったんだけどなぁ~』

『面白いって、どんな?』


精霊を従えている時点で、国内トップクラスの実力者ということはわかる。

そして自分が五大精霊というとんでもないものを従えている精霊付き魔法使いだからこそ、ほかの精霊付きがどんな精霊を従えているのかが気になるのだ。


『複属性持ちだね。しかも収納と保存の二属性』

『収納と保存ということは、影響範囲が狭いから中級精霊よね。変わったところがあるようには思えないのだけれど』


レイはローラット公爵令嬢の従えているらしい精霊を見ながら話し始める。

使役されている精霊は、主人が姿を見えないようにしろといえば、完壁に姿を隠せる。


『俺は光属性だけど大精霊だから、光魔法が完ぺきな代わりに他の属性が苦手なの知ってるよね』

『うん。精霊は人間よりも強い力を持つ代わりに、自分の属性しか使えない。自分の属性以外も使えるのが大精霊なのよね。苦手とか言っておきながら、一般的な人間の魔法使いよりは遥かに上手な癖に』


大精霊が特別な理由は、得意不得意はあれどなんでもできること。

私がレイに勝てた時だって、実際は光魔法を制限してもらっていたから、純粋な私の勝利ではないのだ。

だって、制限してもらわないと喧嘩にもならないもの。


『もしも自分の身に何かあった時、自分を守ってもらうためには強い精霊が必要。だから使役精霊は、火属性系列だったり、雷属性系列だったり、水属性系列だったり……攻撃のできる精霊が多いんだよ』

『なるほどね。だから使役されてる中級精霊は火の玉専門だったり、毒霧専門だったりしたわけだ』

『なのにあの精霊は収納と保存。商人とかじゃなく、名家のお嬢様がだ。おかしいと思わない?』


確かにそうだ。

わざわざ自分を守ってくれる精霊を選ばなかった理由は何?

仮にそれが役に立つのなら、何に使うの?


収納は便利だから分かるけれど、複属性の中級精霊の大半は、メインとなる属性に収納属性持ち。

だから、収納を持っていたらさらに良いというだけで、目的は保存のほうだった?


今日はノア様に『エユリール王国で生きる以上、交友関係を作らないといけないでしょうから、自分の目で見極めてくださいね』と言われている。


ローラット公爵令嬢はノア様に危険人物認定されていたから、関わるつもりはない。


関わらないべきなのは分かっているけれど、そのまま放置もできないわよね。


『メイニャ、いるかしら』


私は手のひらに極限まで小さくした魔方陣をこっそりと描きながら、友達の精霊を呼ぶ。

しばらく待っていると、手のひらが少し暖かくなり彼は現れた。


『久しぶりだねルーナ。僕を呼ぶってことは、何か怪しいやつでもいた?』


漆黒の髪の毛に、同じ色の瞳、そして服。

長い髪の毛は高い位置で一つにまとめられ、形の良い耳に付けられた大量の黒いピアスが光に反射する。

精霊ならではの美しい容姿は、少年とも青年ともいえて、私よりもほんの少し大きい身長も相まって、レイとほとんど変わらないように見えた。

全身を黒で覆っているため、その肌の白さが引き立てられていた。


メイニャは影の上位精霊だ。

うっかり砂漠に迷い込み、太陽の強さに衰弱しているメイニャを救ったときに仲良くなったのだ。

恩返しとして、自分を使役してほしいと頼まれたが、私にはレイがいるため『友達なら』と言ったら、『いつでもメイニャを呼び出して良い権利(明るい場所以外)』をもらった。


メイニャは影の上位精霊ということもあり、本気で隠れられたら大精霊でも探すのが大変だという。

影属性は光属性系列だからレイとは相性が悪いが、他の五大精霊の皆さんにメイニャを探すのはかなり難しいそう。

上位精霊には、光属性系列の一部以外からなら絶対に見つからないと言っていた。


人や動物の影に忍び込めば、操ることもできるため、不審者捜査にはぴったりなのだ。


『メイニャ。あそこの腰まで届く金髪と、チェリーピンクの瞳を持った女性と、その使役精霊について調べてもらえないかしら。とりあえず一週間くらい、行動を教えてもらえればいいわ』

『了解。彼女たちだけで大丈夫? 必要なら部下もつれてくるけど』

『今は大丈夫だけれど、さらに調べてほしい人が増える可能性は高いわ』

『じゃあ、声だけかけておくよ』

『ありがとうメイニャ』


メイニャは右手でピシッと敬礼をすると、私の影の中に消えていった。

さて、まだ婚約披露会は途中だもの。

友達を作らなくては!

読んでいただきありがとうございました(´∀`*)ウフフ

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