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15.上位精霊の魔力量を舐めてました……!

「いっちご〜さっくらんぼ〜まっすかっとぉ〜♪」


エユリール王国の王城に戻り現在、大量の果物を抱えながら謎の果物の歌を口ずさみ、空中をふよふよと漂うのは、私の使役精霊兼、一応護衛であるレイだ。

何してんの?と真顔で問いたくなる彼、その正体は五大精霊という、世界で最も神に近い存在だ。


全ての精霊の頂点に立つ精霊王は、その五大精霊から選ばれる。定期的に交代するため、レイも2000年くらい前までは精霊王をしていたらしい────うん、すごい。


一般的な上位精霊は、特定の場所で、世界を有るべき姿に保つために働く。ロゼッタがブルーメ山脈の花の世話をしているようにだ。


中級精霊も同じようなものだけれど、上位精霊のように特定の場所で仕事をするわけではない。

世界各地をふよふよと飛びながら、風を吹かせたり、蕾を咲かせたり、雷を落としたり、鉱山に宝石を作ったり……

中級精霊は使役されない限り姿を持たないため見ることはできないが、身近な存在だ。

─────ちなみに、一般的な魔法使いの使役する精霊は中級精霊だ。王宮魔法使いクラスになってやっと、上位精霊を使役する人が片手で数えられるくらいらしい。

つまり私が大精霊を使役できているのは本当にレア、というか歴史を遡っても見つかるかわからないレベルなのです!


下位精霊は魔法を行使することはできない代わりに、人間が魔法を行使するときに、一時的に力を貸してくれる精霊。

人間の魔力では魔法を行使することはできないから、魔法を行使するためには、精霊の魔力が必要。そのために、下位精霊の魔力を使わせてもらうのだ。その代わりに自分の魔力を、借りた分よりも多く返す─────そうすることで、たくさん魔力を人間に貸した下位精霊は魔力を増やし、長い時間をかけて中級精霊になる。


私はレイに魔力を借りることが多いから、あまり下位精霊の存在を感じられないのだけれど……

精霊と契約するときには膨大な魔力が必要になるから、そもそも精霊を使役する人は少ない。

私のように、生まれた時からレイが主人と認めてくれる魔法使いはなかなかいないから、下位精霊は実はものすご〜く大切にされているのだ。


中級精霊はたくさん魔法を行使し、その働きを精霊王に認められると上位精霊になる。要するに、

『君は頑張ってるから、爵位と領地あげるよ〜』

というわけで、人間の新興貴族と同じですね!


ただし、上位精霊はどれだけ仕事をしても、人間に魔力を貸しても、大精霊になることはできない。

大精霊は()()と呼ばれてはいるが、実際には神の体から生まれた神の一部。

そもそもの生まれ方が違うからだ。

確か大精霊自体は100柱くらいいた気がするが、その中でも特別に大きな力を持つのが五大精霊──────自作の果物ソングを口ずさんでいるやつ……私の使役精霊だ。


ちなみにこれでも仕事中で、魅了のバラの色を、『どっかで見たことあるんだよなぁ〜この色』と悩んでいた。さっきまで。


つい最近王城に一緒に帰ってきたロゼッタが、

「私はブルーメ山脈でコスモスばかり咲かせているから、花の上位精霊だと思われていますが、実は緑の上位精霊なんですよ。私も定期的に魔力を使わないといけないので、今フルーツを出しても良いでしょうか?」

というので、それは大変だと許可すれば………山のようなフルーツ。いや、本当に山だ。


レイはそれに目を輝かせ、ご機嫌でフルーツを頬張っているのである。

忘れがちだけどレイって可愛い顔してるから、フルーツを頬張っているのがとっても絵になる。

上からドサドサと果物を出すロゼッタは、優しそうで真面目な見た目からは想像できないほど雑なので、ちょっと面白い。


「ルーナ様、これ私たちだけで食べきれますか?」

「絶対に無理ね。レイだって、大食いの力はないもの」

「えっじゃあ、これどうすれば……」

「レイの空間魔法で収納してもらうか……いざとなったら城下に配らせてもらいましょう」

「早めに殿下に許可を取っておかないと、果物の山から海になってしまいますよね! ちょっと私行ってきます! あと、フルーツ好きな友達も連れてきますね!」

「お願いキーラ! そろそろ床が見えなくなるわ!」


目の前に広がる果物の量に危機感を覚えたキーラ、優秀な侍女さんがついてくれて、私は嬉しいです!

私の部屋、大国の王太子の婚約者というだけあって、今いる部屋だけでも無駄に広いのに、その床が見えなくなりそうな量なんて、相当なものよ。

少なくとも、実家のリーファのレースとフリルだらけの部屋の3倍はありそうなのに……

(私の実家、一応公爵家ですからね!!)

……さて、そろそろ私の避難したバルコニーの方にもフルーツが押し寄せてきて、ドアが開けられなくなりそうなので、とりあえず空間魔法使いますか!


私はこの魔法が苦手な方なのだけれど、もはやこんなことを言っている場合ではない。

私は上位精霊の魔力量を舐めていました、ごめんなさい!

そりゃあ、あんな広大な面積に色とりどりのコスモスやスミレを年がら年中咲かせているんだもの。

いくら魔力を比較的多く使う必要がある召喚魔法でも、ボウル一杯で収まるはずがなかった────!


「うわ! キーラ、これは想像以上の量ですね……!」

「殿下、なんとかできますか? そろそろ床が抜けないか心配で…… あ、ルーナ様はバルコニーに避難していますよ」

「ノア様。この量なら国中に配っても余りが出るかと……」

「こんな大量のフルーツ、夢みたい…!」

「もしかしてこれは頑張っている私への、精霊様からのギフトなのかしら…! そうよ、そうに違いないわ!」

「うおー! 俺の大好物がこんなにたくさん! 王宮騎士やってて良かったー!」


キーラがノア様とジェイクさんと、フルーツ好きな友達を連れて戻ってきたみたいね。

王太子殿下の前だというのに、欲望に逆らえずフルーツを頬張るメイドさんと騎士の方は、普段は殿下から怒られるのだと思うけれど、今はそんなこと言ってられない。

片っ端から声をかけたのか、十数人はいると思う皆さんが、手当たり次第にフルーツを頬張っている。


「ロゼッタ。3ヶ月くらいは使用予定がないから。王宮の小ホールを貸し出そう。小ホールと言っても舞踏会が開催できる程度だから、ここよりもゆとりがあるはずだ」

「え! ノア、本当によろしいのですか!」

「ルーナの部屋の床が抜けるよりは100倍マシです」


キラキラと目を輝かせるロゼッタ。

肩甲骨あたりまで伸びた桃色の髪の毛が、いつも以上にふわふわと動いている。

初めてみた時は頭の良い、おとなしい精霊だと思っていたけれど、意外と表情も変わるし、レイと気が合いそうな性格をしている。

うん、可愛い。


ノア様は手早く、背後の護衛騎士にロゼッタを小ホールに案内するように伝え、ジェイクさんに人を集めてくるように伝えた。

その後私の部屋は、数時間かけて全てのフルーツが運び出され、その日のうちに城下の全ての家に大量に配られた。

ロゼッタが出した魔素を多く含むフルーツだったからか傷ひとつなく、下の方にあったものも潰れていなかったらしい。


小ホールに着いたロゼッタは、私の部屋にいた時以上にたくさん召喚したらしいので、貧民街の方にも大量に届けられたらしい。

たった1日の配給、しかもお腹にたまらないフルーツだから気休めにしかならないけれど、それでもお腹いっぱい食べられたらしいから嬉しい。


とりあえず、ロゼッタがいつまで王城にいるのかはわからないけれど、次から魔力を消費するときには、城下で空からフルーツの雨を降らせてもらうことにしよう。

あのフルーツ、空から落ちたくらいではノーダメージでしょ!


ソファのクッションの隙間から出てきたイチゴを、羨ましそうに見つめるレイに渡しながら、私はそう誓った。

読んでいただきありがとうございます!

面白いと思ってもらえましたら、ブックマークと評価をしていただけると嬉しいです!


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世々原が連載中の「歴代最悪の魔女とか言われてますが、そもそも私は魔法が使えませんよ?」も、ぜひ読んでみてください。

昨日第一章が完結いたしました!

……と言っても、たった6話だけなので少し覗きに行っていただけると嬉しいです(●´ω`●)

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