第3章 魔王襲来 第1節 勇者エリザの部下として
無事試験を終えて俺は晴れてエリザの部下となるわけだが、さすが王国の魔導騎士となると精鋭ぞろいである。スキルレベル5はたくさんいて最低でもスキルレベル4であった。
そのなかで俺はスキルレベル0である。浮かないわけがない。俺は力を隠すのも大変だなとおもった。周りがいくらスキルレベル4以上であったとしても、関係なくそれを超えている。
浮いているからと言ってみんな変にプライド高いわけでもないし、バカにしてくるわけでもない。自分のことを大事にして余裕があったら他人に気を回すという余裕ぶりであった。
さすが精神的にも成長してるなと思った。
さて今回勇者としてエリザが国王から任された任務であるが近隣の村でモンスターが暴れまわっており、その対応に困っておりモンスターの討伐がメインとなるものであった。
かなりの強力なモンスターであり、腕利きの兵士も手を焼いているそうであった。そこで白羽の矢がたったのが俺たち精鋭ぞろいの魔導騎士団であった。
魔導騎士団は精鋭1000人からなる騎士団で勇者をはじめそれを支える団長がいる。俺たち騎士団はエリザの言葉に耳を傾けていた。
勇者の時のエリザはちょっと遠くの存在に見えた。勇ましくそして誇らしい存在であった。まさに勇者といってもいい威厳を持っていたのであった。
そんな勇ましく誇れる存在の女勇者に憧れや惚れるという者も騎士団には多くいたのであった。
モンスター討伐であるがこの精鋭ぞろいの1000人からなる集団を総動員するというわけではない100名ほど選抜して中隊で動くものであった。
俺はエリザの推薦でその中の一人に選ばれたがどうも空気がおかしい。そりゃそうだ勇者の推薦であったとしてもスキルレベルで実力をはかる社会だ。いくら剣や魔法がすごいから
といって威張れるような社会ではない。俺はこのスキルレベルという社会環境にうんざりした。
しかし、空気がおかしいのはどうもスキルレベル0のせいというわけでもなさそうだ。勇者の推薦でしかもスキルレベル0なのにどうしてこんなに実力があるのかという空気だった
のである。それを証明するかのように騎士団のみんなは俺にたいしてやさしく接してくれていた。どうやら騎士団のみんなは俺が本気で戦ったらどれくらいの実力があるのかという
好奇心でいっぱいだったのではないだろうか。しかし実力を見せるわけにはいかない。本気で戦ったら騎士団のみんなも巻き込んでしまいそうだし、なによりもあたりいったいが灰塵
になってしまうからである。毎回手加減をするのも大変であった。モンスターの強さにもよるがもしエリザがひざまずくようであれば俺は盾となり前にでて全力で戦うだろう。
「エル準備はいい?これから初陣だから緊張しないでね。」
「大丈夫だよエリザ。心は落ち着いている。先輩と同僚たちは俺の力に興味津々みたいだけど絶対手加減するよ。」
「そうね。モンスターの強さにもよるけどエルなら一人でも多くの騎士団員を守れるって信じてる。」
「大丈夫俺もそのつもりだよ。それにエリザが危ないときは俺が前に出るから。絶対エリザ俺が守るから。」
「それって告白?」
「あ!なんていうのかな幼馴染だから?みたいな?」
「あわててるところ見るとなんか違う気もするけど。まあいいわ。そういうことにしといてあげるでもちょっと私に好意を抱いてるんだなっていうところはわかったからうれしい。」
「ま・・・まあそれはともかく俺が守るよ。」
「期待してる。じゃあ私も準備あるからいくね。」
「わかった。」
俺はエリザに危うく恋心を抱いていることがばれるところだった。たぶん本人にはきづかれているとおもうけどまあ内心ばれる寸前のところがスリルがあって楽しいかもと思っていた。