第3節 開戦
俺たちの軍が魔王領国境に近づきいよいよモンスターたちを迎え撃つというところまできていた。
「さぁいよいよ魔王軍の領地に本格的に進行ね。これで徐々に兵を進行させて魔王を討伐しましょう。」
「エリザよ。覚悟しておくことじゃ。魔族の操るモンスターはこれまで戦ってきた敵とは一味違うぞ?」
「ええわかってるはフェリス。モンスターの力も雰囲気も魔力のながれてる循環が違うってわかる。魔族が操ってるっていうだけでこんなにちがうのね。」
二人の会話を聞いている横で俺はこっそり魔王領土全土に魔族弱体化のエーテル魔法を施した。規模がでかいけどまあちょっとした魔力操作でこと足りるからいいけど。
「あれ?魔王軍の魔族の様子がおかしい。」
「どうしたのエリザ?」
「なんていうのかなさっきより魔力が弱く感じられるんだけど?」
「え?気のせいじゃないかな?油断は禁物だよ。冷静に対処していこう。」
あっぶね。まさかきずかれるとはおもわなかった。さすがエリザだちょっとした魔族の魔力の変化でもきずくんだ?と思っていた俺であったがフェリスも俺の横でニヤっとしていた。
フェリスにはきずかれているみたいだ。さすが元魔王、同族の魔力変化にも敏感なのだということがわかった。
付け加えておこう。この魔族弱体化の結界は魔王にはきかない。なぜなら魔王は魔族の存在からしたら神であり、効果はない。まあそう都合よくはいかないということだ。
魔王軍が目の前に見えてきた。お互いの緊張が俺の皮膚を伝わってヒシヒシと感じてくる。これが戦争か。経験もしたことない俺だが、やはり村に現れているモンスターを退治するのとは
わけが違う。これは戦争なんだ。いくら俺がチート級の能力を持っているからと言って自軍の兵に魔法を当てないようにしたり、仲間をかばって背中を預けるという重荷も背負っている。
エリザも同じ気持ちだと思う。エリザも戦争の初陣で焦っている表情が見てわかる。
モンスターと魔族の群れが俺たちに襲い掛かってくる。それを迎え撃つため魔導騎士団と魔導士は精霊の兵隊を召喚して対抗したのであった。
実力は拮抗しており、俺が魔族の弱体化をしなかったら不利になっていただろう。
エリザは魔力を魔導士たちに供給するようにして俺の施した術式によって無尽蔵の魔力を取り込み力を与えていた。一方フェリスは楽しそうにモンスターや魔族をその狂暴なまでの
殺戮で切り裂き、八つ裂きにしていたのであった。俺も前線にでることにした、モンスターや魔族たちを切り伏せて進んで行った。
戦況は俺とフェリスがいることにより若干ではあるが魔族の勢いが衰えてきたのであった。エリザは好機とみて兵士たちに一斉攻撃をたたみかけるのであった。
その結果モンスターと魔族は撤退をよぎなくされたのであった。こうして俺たちの初陣は勝利に終わった。しかし、魔王城まではまだ進軍しなくてはならない。後続の兵士や魔導士も
合流し、兵力はますます大きくなっていったのであった。