第2節 魔族の弱体化
さて、いよいよ俺たちの軍は魔王軍のいる魔王領まで進軍を開始しているわけであるが、その途中でモンスターに遭遇することもある。魔王領に近い村はモンスター
に襲われており、国境の精鋭の警備隊がそれを死守していたのであった。戦争もはじまるということでその国境の精鋭部隊は近隣の村人を王都まで護衛の任務がくだり、
王都へと村人たちを誘導していたのであった。
「よかった。警備兵の人たちが迅速に村人を非難させてくれたことに感謝だよ。」
「そうだな。被害がでたらえらい騒ぎになる。ところでフェリスこれから同族と戦うことになるけど大丈夫か?」
「何を言うのかと思えば、主様よ。私もそれは主様に仕えると決めてから覚悟はできていたこと。どうもおもっておらん。」
「そうか。それならいいんだ。」
「それよりも主様よ。言い忘れていたが、モンスターをあやつる魔族がおる。精霊の兵士を使役するように、魔王軍側にも同じようにモンスターを使役する魔族がおるのじゃ。」
「なんでそんなだいじなこと作戦前にいわなかったんだ?」
「それはの。このことを話したところで魔族を集中的に倒せばいいということを恐れたからじゃ。モンスターを使役する魔族だけを倒したとしてモンスターが暴走を起こし、魔力爆発を
おこすのじゃ。」
「魔力爆発?初めて聞く言葉だな?なんだそれは?」
「それはの。精霊とモンスターの違いから教えておくかの。精霊は使役している人間が死んだとしても魔力飽和となって消えるだけじゃが。モンスターはその逆で自然の魔力を暴走させて
つくっているからつねに爆弾をもっているということなのじゃよ。」
「でもそれ逆につかえないか?モンスターの暴発で周りのモンスターも巻き添えにできるってことだろ?魔族をピンポイントで狙えれば逆にそれが戦術としてもつかえるはずだ。」
「それなのじゃが。魔族はなにせ手強い。精霊の兵士を操っている魔導士の戦力を3とすれば魔族は魔導士3人分の魔力でやっと倒せるレベルなのじゃ。」
魔導士3人分で魔族1匹となると厄介である。俺はなんとかその点を克服できないか魔法で探ってみたが手がないわけでもない。俺のエーテル魔法で魔族を弱体化することはできる。
しかし、それをきずかれずにやるのにはちょっとリスクが高すぎる。直接魔族を弱体化させることはできるがやはり規模がでかすぎてすべてに神経が回らない。
まてよ?エーテル魔法は無属性魔法だったな。それにこちらの世界では無属性魔法は属性魔法に探知されない。ということは大規模な弱体化術式を組んで魔法陣を展開すればいいだけ
じゃないか。俺はさっそくもっているエーテル魔法の知識を総動員して術式を組み立てていった。あとはフェリスにモンスターを構成する術式を教えてもらえばモンスターは無属性
魔法で爆発を阻害できるはずだ。俺はさっそくフェリスに術式を聞き、モンスターが爆発しないような爆発疎外の術式も組んだのであった。