表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余命3か月のニート  作者: koyubi
1/2

27歳、独身女、ニート

 いつもと変わらない朝。いつもと変わらない景色。そして、毎日少しずつ老けていく私。


 中西あや、27歳。引きこもるようになって早5年。外出することはめったになく、衣食住はすべて親に任せっきりだ。学生時代、周りにならって大学に進学し、周りと同じように就職活動をした。しかし、私だけがうまくいかず、ひとり取り残されてしまった。その差はいったいなんだったのだろう。この5年で散々自問自答してきた。そのうち考えることもやめた。どうせ考えたってわからないのだから。悲しくなるだけだ。

「あや、ごはん出来たから下に降りてきなさい」

夕飯の時間だ。スマホの時計を確認して部屋を出る。一日中カーテンを閉めきっている私の部屋は、朝なのか夜なのか、まるでわからない。

下に降りると、いつものように父が大音量でテレビを見ていた。父の好きなクイズ番組がやっている。今日は水曜日のようだ。テレビの音は、家の気まずい雰囲気を多少緩和してくれるので、ありがたい。

「何か届いてたわよ、病院から。この間の人間ドックかしら」

ああ、そんなものを受けていたなと思いながら青い封筒を受け取った。我が家では人間ドックが毎年の恒例行事になっている。健康志向の母の勧めだ。

「あらやだ、お父さんコレステロールの値がよくないってよ。お酒ひかえたほうがいいんじゃない?」

「そうか。ひかえるほど酒は飲んでないと思っていたがな。年齢には抗えんな」

両親の会話を適当に聞き流しながら、黙々と箸をすすめる。

「私は再検査っぽい。来週にでも行ってくるわ。」

少し心配そうな顔をした母をよそに、夕飯をさっさと済ませた私は再び自室へと戻った。


 再検査だなんて本当に面倒だ。どうせ、いつものように異常なしでした、良かったねで終わるんだ。

そのために服を探して顔を洗って、外に出なければいけない。ああ、本当に面倒くさい、憂鬱だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ