ばけもの子供の物語 愛
あるところに、ばけものの子供がひとり。
ひとりぼっちでいました。
家族にすてられて、町の中をさまようばかり。
おなかはすいても、誰もご飯をつくってはくれません。
ねむたくなっても、誰も建物の中にはいれてくれません。
なぜなら、ばけものだから。
普通の子供のようには、扱えないのです。
ばけものは、とても強くて、簡単に人をきずつけてしまうから。
しかし、そんなばけものに手をさしのべてくれる人がいました。
ばけものの子供は、新しい家にたどりつきます。
そのばけものは、小さな家の中で、人の子供と一緒に育てられていきます。
その世界で生まれたばけものの子供は、虐げられる運命にありましたが。
ばけものの子供を拾った者は、とても愛情深かったのです。
「ばけものも、人も、同じ命だからよ」
そう言って、子供たちに分け隔てない愛情をそそぎます。
ばけものには最初、爪が鋭かったり、牙がとがっていたりしたけれど。
それらは、その家で過ごすうちに、すっかり丸くなっていきました。
だから今ではばけものは人と同じ見た目に。
最初はトラブルばかりだったけれど、ばけものも人と過ごせるようになりました。
だからばけものの子供は感謝します。
「この家に拾われてよかったな」
ばけものを人との同じように扱ってくれた愛情に。