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異世界風土記〜諸国漫遊が仕事です〜  作者: 木桶 晴
1章 見知らぬ国と人々について
8/11

6. 疑問

 こんにちはー木桶ですー。連続投稿二日目です。今回は短いですが、楽しんでいってねー。

「神様に会ったことはありますか?」


 スキルとは凄いもので、使ってみたらこのおじいさん以外の皆さんは、私のことがお嫌いだということが判明しました。生まれてこの方、ここまで人に嫌われたことはありません。

 で、その唯一嫌われてないらしいおじいさんに呼び出され……。


「いいえ……」


 これはどうしろと。

 テーブルに乗った果物や肉は、あまり手につかない。というかこれ昼食と読んでいい代物じゃない。生の果物と肉だけってどんな組み合わせだよ。


「そうですか、では……いえ、申し訳ありません。混乱させてしまいましたね」


 はい。というか、そもそもこの世界で神に会ったことのある人間とは、どんな扱いをされるものなのだろう。絶対数が少ないなら、希少性からの誘拐とかの危険も考えておいたほうがいいのだろうか。


「いえ……」


 人族には信じられてるってあの神様は言ってたけど、確かめてみるまでは信用し切らないよう気をつけないと。


「それでは改めて。こちらの世界に来たときに、なにか今までの自分になかった力を得ましたか?」


 まあそりゃあ、はい。こうして学んだこともない異世界の言葉で話しているんだから。いや、でもここの人はこっちの人にはスキルがないとかを知らないのかも……なわけないか。過去にこっちの世界の人が召喚されてたんだろうし。


「はい、まあ。身体がよく動くようになったり、知らない言語でも話せるようになりましたね」


「なるほど。それはどのような経緯で得たのかはわかりますか?」


 あまり情報を出したくないんだが、そういう世界間移動とかが普通はどういうふうに起こるのかの知識があまりにも欠如しているから、どう誤魔化していいのかもわからない。流れに身を任せるかあ。


「…………いえ、すみません。あまりにも突発的だったので、あまり覚えていなくて。私の世界には魔法がありませんでしたから、多分覚えていても理解できなかったと思います」


 魔法じゃなくても同じことができるのかもしれないが、まあ現代科学じゃまだ無理だし、世界間移動は魔法の領域なのを前提として話してもいいだろう。


「そうでしたか。実を言うと、あなたのように彫刻(スキル)を持って召喚された異世界人は初めてなのです」


「え?」


 先が少し不安になる。自分が異端者だとするともしかしたら、待遇が天国か地獄の二択になりかねないわけで……。日本に外国ばりの差別はまだ少ないとはいえ、頭の中の歴史の知識からか、『異端者』という言葉だけで背筋が寒くなる。


「えっと、そもそもあり得るんですか? そういうスキルを持った異世界人というのは」


「前例がありません。おそらくはそのうち説明を受けることになるでしょうが、本来の貴方がたには、()()()()のです」


 魂がない……? いや、逆だ。こっちの人間には()()()()()()()()()()()()()()? そして、もっと大事なのは―――


「魂とはどんな存在なのですか?」


「魂は……いえ、あなたには思想的な理由で見栄を張っても意味がありませんね。我々は、魂がどんなものなのか未だよくわかっていないのです」


 よくわかっていないって。まあ仮にわかっていることを説明されても、意味がわからなかっただろうが。


「スキルがそこから発生しているのは間違いないんですよね」


「ええ、神の言葉だけによるものですので学術的な証明は未だ成されていません。しかし、信憑性はあります。また、あくまで迷信の範囲ではありますが『心』や『感情』の源ともされています」


「では、わたし達はこの世界に」


 心も感情もない化物に、居場所なんてあるのだろうか?

 何故、あの神は。


「完全に安心して過ごせるような場所は、まずないでしょう」


 あいつは、俺に何をした?


「私の場合は……」


 魂を作ることで、俺の居場所を作ろうとしたのか? いや……


「全くの未知です。前例が一切存在しませんので、悪意を持った何者かによって危ない目に合わないとも限りません」


そんな甘い話はない。じゃあ何?


「…………そうですか」



 神は俺に、何を求めているんだ?

 いかがでしたでしょうか? 物事というのは、大概に理由があります。でもそれが誰かの意思だったり、そんなことなかったりします。もし誰かの意思によって意図せぬトラブルが起きたなら、まあ迷惑な話ですよね。それではー。

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