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異世界風土記〜諸国漫遊が仕事です〜  作者: 木桶 晴
1章 見知らぬ国と人々について
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8. 昨日の陽を愛すか

 こんちは。木桶でーす。今回はなんだか小難しい題名です。仕方ない。内容自体は難しいわけではないはずなので、楽しんでくれたら。

 今日は散々歩いた。城って何というか、かなり馬鹿でかいんだなあ。そりゃ権威と栄光の象徴なんだし当たり前といえばそうなのかもしれないが、実際に見ると思っていたよりも感動するものだ。

 部屋は……思っていたよりは多少マシだった。物見塔の寝室は長いこと使用されていなかったらしく、使用人さんが一通り掃除してくれた。まあ、話しかけられもしなかったし目すら合わせてくれないのは悲しくはあったが、掃除は面倒なのでありがたい。


「はぁー……」


 元々は物見塔からの見張りをするためのもので、攻城戦のなくなった今でも伝統的に建てられていると聞いた。使いもしないのに二組の家具が据え付けてある。本当に最低限寝るためだけの部屋みたいだ。

 今はただの展望台と言っていたが、普通は昼間にしか人が来ないので寝る分には支障はないらしい。ただ……この城が独身寮でもあるせいで、夜でも度々お熱い恋人共が集まるのだと聞いた。この部屋は、頂上からは1フロア分くらい開けて下にあるから……うるさくないと思いたい。

 眠い。いや、眠くはない。今日は昼近くまで寝ていたわけだし。これは……

何も考えたくないときの感覚だ。思いの外疲れているのだろうか。初めての場所で、異常な経験。そりゃあ疲れもする。


 正直言って、元の世界に未練などないように感じてしまう。少なくとも、『本当はあるのでは?』と思い悩むくらいには自覚がない。

 そんな自分はおかしいのだろうか? ……多分おかしくない。それが普通。きっとそう。そして多分―――どれだけ先かはわからないが、惜しくなるんだろう。

 不満はあっても、きっとそれに愛着があっていいはずだ。

 俺には大事な人がいて、大事な場所があって、たくさんの宝物があるはずだ。それがきっと普通に幸せであったはずの俺が抱くべき感情であり、この成長への返礼でもある。


 感謝。その単語が頭の中を反響して、ガンガン頭を殴ってくるような気がした。

 

 駄目だな、本当に疲れているみたいだ。一人になると頭が冴えるというのは本当ではあるが、その実余計なことを考えがちになる。どうしようもないんだから、そこに余計な未練を抱くだけ無駄なこと。その点で言えば、今の自分はいい傾向にいる。


「疲れた」


 思考を絵画とすると、眠気はそれに水を塗って溶かしていくように、今まで考えていたことをまどろみの中に沈めていく。

 わからないことだらけだ。考えなければならないことは山ほどあって、明日以降のことは全て不透明。今までの生ぬるい現状とは程遠い、厳しさが待つ世界が待っていないとも限らない。

 でも、うん。

 少しだけ、息をするのが楽になった。




 そうして、思考は無意識の渦の中に沈んだ。

 いかがでしたでしょうか? 色々やってたら、1000文字あってセリフが2つしか残りませんでした。ラノベっぽくはないような気もしますけど、持ち味ということで。ではー。

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