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五人のメイドと面倒な事件簿  作者: 杉村雪良
メイドがダックスフントを集める面倒な事件
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メイドがダックスフントを集める面倒な事件 4

4 

「旦那様に言われて見てたけど、結論から言うと、全然違ったわ」

「そうですか……」

 I海さんがアスパラのベーコン巻きを揚げる隣で、私は寸胴を覗き込む。キッチンにI海さんを訪ねるたら、パスタを茹でてくれと頼まれたのだった。我が家のメイド達は1名を除いてよく食べる。夕食がパスタの日は1キログラム以上は茹でるので、鍋の面倒を見るだけでも大変だ。

 

 昨日、子供たちが靴を飛ばして遊んでいるのを見た際、I海さんに言われて、下駄を飛ばす遊びを思い出した。I海さんも下駄を常用した世代ではないが、知識としては知っている。地面に落ちた時に、表になれば晴れ、裏返れば雨という、他愛もない占いだ。

 それで、私はA田が占い好きだということを思い出した。毎朝放送されているテレビの情報番組の占いコーナーが若い女性を中心に大変評判で、星座別に運勢の他にラッキーアイテムやラッキーカラーなるものを教えてくれると言うことである。

 私自身はそういったものとは縁遠い。そんなことのために早起きするのも面倒だし、それにそんなことをいちいち気にして身に着けるものを選ぶのも面倒に感じるのだ。しかし占い好きの人間にとってはとても重要な情報なのだろう。


 A田は、朝の占いで言われたラッキーアイテムやラッキーカラーを無理に身に着けているのではないだろうか。

 

 そこで私はI海さんに、それとなく朝のA田をチェックするように依頼したのだ。

「いつも早めに起きて、パジャマのまま朝食の準備を手伝ってくれるんだけど、確かにテレビをつけて、ちらちら気にしながらテーブルを拭いたりしてるのよね。それで占いのコーナーが始まると、食い入るように見ているわ。今日はラッキーカラーを言っていたみたいよ。でも、おかしいのよね。あの子、そのラッキーカラーの物を身につけていないのよ。彼女の星座のラッキーカラーはオレンジだけど、オレンジの物は今日何も身に着けていなかったわ」

「そうですか……」

「その番組はね、若い女性をメインターゲットにしているらしくて、ラッキーアイテムもラッキーカラーもそういう子たちが喜んで身に着けるようなものが多いのよ。だから、白とかピンクとかパステルカラーとか、あの子が元から身に着けているような色が多くて、最近身に着けるようになった紫とか黒とかそういうのはラッキーカラーに選ばれないわね」

「占いのラッキーカラーって、そんな風に決まるんですか?」

「さあ、占いがどんなふうに決まるか知らないけど、その番組ではニーズに合った色が選ばれているわねえ。というわけで、占いのラッキーアイテムを身に着けているっていう推測は、当たってないみたい」

 私は腕を組んで、今日のA田の服装を思い出す。オレンジは、リボンやアクセサリーなど彼女が身に着けていてもおかしくない色だが、確かに今日の服装にオレンジは思い当たらなかった。

「うーん……彼女、今日も昼に買い物に出たじゃないですか。その時に何かオレンジの物を買ってきたったことはありませんか?」

 I海さんはちょっと考えて

「ないわね。今日はオレンジの物は身に着けてなかったわ」

 占いに固執するというのは、A田の趣味から考えてあり得る話だと思ったのだが、振り出しに戻ったようだった。

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