表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

大事な人を拐われた勇者は

作者: らめる

大事な人を拐われた勇者は

それが誰かはわからないが

どこに行ったかは

心当たりがあったので

救い出さねばと思い

ひとり旅に出た


その人について

何も思い出せなかったが

とても良くない人だという

印象を抱いていた気がする

なぜそんな人が大事なのかはわからなかったが

会えばわかると高を括った


その人の元に行くまでの道中

そこには幾つもの罠があった

それも全て彼の癖や

考え方を知り尽くした人が

作ったようなものだった


彼が勇者だからか

いくつか罠にかかったが

まるで一度経験したことがあるように

いくつかの罠を躱して

彼女のいると思われる場所までたどり着いた


そこは悍しい魔王城

とかではなく

一つの小さな民家だった

想像していたのとはだいぶ異なり

勇者は面食らったが

意を決してそこに入ると

ひとりの女性がいた


ようやく会えたと喜び

一緒に帰ろうと手を掴もうとしたが

振り払われて冷たい目を向けられた

そして言われた


なんでまた来たの

二度と顔を見せないで

って言ったでしょ


勇者は意味が理解できなかった

ここには初めて来た気がするし

とても拐われたようには見えなかったから

そんなことを考えていると頭痛が襲った


思い出した


その人は自分の婚約者だった

そしてある日自分に愛想を尽かして

出て行ったことを


彼は絶望していた

大事な人を助けようとしていたはずが

彼女をさらに困らせているだけだったことを

そしてそれを今まで忘れていたことを


2度と迷惑はかけまいと

罠をいくつも足し

自分の記憶を操作して

会いに行かないようにした



彼が彼女の下から離れ

しばらく日が経ったある日

ふとその勇者は思った


助けに行かなきゃ


また誰だかわからない人を

助けに勇者はひとり旅に出た

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 何回も同じことを繰り返していたんですね。勇者といえど、完璧に記憶を消すことはできなかったのかなと思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ