熊と蛙と畑仕事
絵本として出したい
絵:秋の桜子さん
クマさんとカエルさん、仲良く二人で畑仕事。
クマさんが畑を耕し、カエルさんが種を一つ一つ埋めてます。
「力仕事は私の仕事」
「細かい仕事は僕の仕事」
クマさんとカエルさんは力を合わせて種を蒔きました。
種が芽を出し、大きくなる前に柵を作ります。クマさんが柵を作っている間、カエルさんは作物についた小さな虫を取って食べています。ついでに雑草を抜いたり苗の手入れも忘れません。
「力仕事は私の仕事」
「細かい仕事は僕の仕事」
クマさんの柵は大きな動物に食べられないように、カエルさんは小さな虫に食べられないように、お互い力を合わせて野菜の苗を守ります。
野菜の苗が大きくなり、ついに収穫の時を迎えました。二人は大喜びで仕事に取り掛かります。
クマさんは野菜を抱えて大きなお皿に次々と乗せていきます。カエルさんは一つ一つ野菜をチェックして、売り物は右の籠へ、傷付いたり不揃いな野菜は自分達が食べるようにと左の籠へ。
「力仕事は私の仕事」
「細かい仕事は僕の仕事」
二人は力を合わせて無事に野菜の収穫を終えました。
そして市場へと出かけ野菜が全て売れると、二人のケンカが始まりました。
「私の力仕事が良い働きをした。だからこのお金は私の方が多くもらうべきだ」
「いやいや、僕の細かい仕事のおかげさ。僕の方が多くお金をもらうべきだ」
二人のケンカは収まらず、結局来年の種付けは別々に行うことになりました。
クマさんとカエルさん、二人で別々に畑仕事。
「カエルさんが居なくたって平気さ」
「クマさんが居なくても一人でやれるさ」
クマさんはいつも通りあっと言う間に畑を耕しました。そして種を取り出し一つ一つ種を──
「むむむ、種が小さすぎて一つ一つ蒔けないぞ」
クマさんは結局適当に種を蒔きました。
一方、カエルさんはいつまで経っても畑を耕し終えません。時間が掛かりすぎたので、仕方なくいつもより遥かに少ない土地で種を蒔きました。
次に二人は柵を作り出しました。
「へへ、いつも通りさ」
「むむぅ……柵が重くて立てられないや」
クマさんはあっと言う間に柵を作り終えましたが、カエルさんはどんなに頑張っても柵を作る事が出来ませんでした。
そして次に苗についた小さな虫を取り除きます。
「……だめだ。苗まで取っちゃいそうだよ」
「へへ、コイツは朝飯前さ」
クマさんは細かい仕事が苦手です。幾つかの苗を潰してしまいながら、小さな虫を取り除きました。一方、カエルさんはいつも通り一匹残らず虫を取り除きました。
苗が大きくなり、収穫の時を迎えました。
クマさんの畑は雑草が伸びて虫に食べられ野菜も不揃いな物がいっぱいです。一方、カエルさんの畑は美味しそうな野菜採れましたが、元々の面積が小さい上に動物達に食べられて、残ったのはほんの少しだけです。
「食べられれば形なんて関係無いさ」
「売り物しか出来なかった。これじゃあ自分で食べる分がないや」
二人は市場へと出かけました。
クマさんのお店は沢山の野菜が置かれておりましたが、不揃いな野菜が多く、見た目も美味しそうに見えず、中々売れません。一方、カエルさんのお店はすぐに売り切れてしまいましたが、手にしたお金は僅かばかりです。
「困ったぞ。来年の種を買うお金が無い」
「困った困った。来年まで食べる物が無いぞ」
悩みながら歩いていると、二人は偶然出くわしました。
「あ、カエルさん……」
「やあ、クマさん……」
二人は笑って挨拶をしました。
「カエルさん、話があるんだけどいいかな?」
「勿論さ、きっと僕も同じ話があると思うよ?」
二人は次の年、力を合わせて畑仕事をしました。
そして沢山の美味しい野菜が採れて、二人は幸せに暮らしました。
読んで頂きましてありがとうございました!
(*´д`*)