家族愛
僕には2つ年下の妹がいる。
妹は生まれた時から体が弱く走ることもままならない程の体だった。
小学3年生の時だった。
小学1年生に上がったばかりの妹を学校で任せるわよと母さんに言われて登校する時、下校する時も一緒に学校へ向かった。
休み時間などはなるべく妹の傍にいて「体の調子はどうだ?」とか
「学校でいじめられてないか?」とか心配してよく聞いていたが、妹は「ありがとう。大丈夫だよお兄ちゃん」
と笑顔で返される。
妹は週に1回、学校を早退して検査する為に病院に行くことがあった。
俺は早退出来ない為、変わらずに授業を受けていた。
俺が小学6年生のある時、学校の友達に「シスコン野郎」という肩書きを付けられた時からだ。
俺は妹を少しずつ避けていき非難するようになっていた。
その妹を避ける行為は学校の他に家に帰った後も続き、妹が俺に話しかけてくると、「ごめん今忙しい」とか
「俺の部屋勝手に入ってくんな」とか言ってしまうようになるんだ。
俺は妹のことを今まで甘やかし過ぎたんだ。
これから学校の友達に変な肩書きを付けられないようにしないと、ということが頭でいっぱいになりそんなことばかり考えていた。
小学6年生の冬の12月20日。今日。
徐々に妹が週に病院に行く回数が増えていき
俺は不安に思っていた時だった。
授業中に教室の扉が突如大きい音を立て開いた。
俺のその不安は現実になって現れた。
「授業中にすまない!○○くん君の妹が倒れた!」
妹のクラスの担任である先生の声が俺の耳に木霊した。
俺は一気に血の気が引き。
瞬間椅子から立ちあがり教室を後にした。
頭の中は妹のことで一杯だった。
このまま死んでしまったらとか、俺があんな態度を取っていたせいでとか…。
妹はかかりつけ病院で様態を見てもらう。
心筋梗塞で呼吸が出来なくなっていた。
夜になっても覚める気配はなく母さんと父さんは妹の寝ているベッドの隣で恐怖、不安に顔を顰めている。
俺は昔、小学3年生の時に母さんに言われてた事を不意に思い出した。
『妹のことを学校では任せたわよ』
あの時の母との約束を思い出したのだ。
俺はきちんと守れたのか。…そんなの俺が1番よく分かってるじゃないか。
気づいたら俺は泣いていた。
母にすがりつくように泣いた。
「ごめん母さん。俺、妹を守ってやれなかった!」
母はそんなことないと言うも俺は一晩ずっと泣き続きていた。
気づけば朝だった。病院の個室の窓からは日差しが差し込んで冬だというのに凄い暖かかったのを覚えている。
母と父はというと寝ていないのか分からないが、目を覚まさない妹の隣で願がけを行っていた。
俺はそれマネして同じように妹が目を覚ますようにと神様に願った。……。
昼頃、母と父を少しだけ休むとだけ言って、病室の座椅子に腰を下ろし、仮眠を取っている。
俺はそんな母と父の分も俺が精一杯妹の隣に居てやった。
「今度は絶対に嫌な重思いなんてさせないからな。俺がお前を絶対に守るから」
と言った時のことだった。
妹は目を覚ました。
「ありがとうお兄ちゃん」
それは昔のように俺が妹に心配してよく聞いていた時と同じように同じ笑顔で返してくれる妹の姿があった。
薄暗い一室で俺は目が覚めた。
「ゆ、夢…。」
両親の方に顔を向けるとそこには妹の名前を涙を浮かべながら呼ぶ姿があった。
俺はようやく現実に戻ってきたんだと思った。
妹の顔には白色の四角い布が被さっていた。
「なんだよ…これ」
…いや、気づいていたじゃないか俺は…。
今さらのように気づいた。
妹は俺のせいで死んだ。
・真実を語る
・何も語らない
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