プロローグ
うるかの妄想世界へヨウコソ・・・
初投稿です。矛盾点・説明不足等は皆様の脳内補填でお願いします。
良い人生だった。
子供は自分の甲斐性が無かったせいで
作ることは出来なかったが、
良き妻と出会い、共に人生を歩むことが出来た。
妻は本当に良い女だった。
俺のやりたいことを理解し、50年以上という長い年月の中で1度も文句も言わずに・・・いや、文句はかなり言われたか。しかし文句を言いながらも、俺のやりたいことを否定せず。50年間没頭することを許し続けてくれた。
その男は知らない家のリビングで、冷たくなった死体を前にしているにも関わらず、幸せそうに微笑みを浮かべながら昨年亡くなった妻との思い出を反芻していた。
1年前に妻を亡くしたその男は最初の半年間、
何もする気が起きず、全ての色が灰色に見えるほどのつまらない日々を死んだ魚のような目をしながら過ごした。
しかし、半年前に突然その男は思い立った。
思い立ってしまった。
気付いてしまったのである。
最愛の妻も。大親友も。当然両親も。
迷惑を掛けたくない相手は誰一人
『この世にいない』ことに。
そしてその男に深い心の傷を、
未だに癒えることのない深い傷をつけた奴らの子孫が
『この世にいる』ことに。
その男は思い立ってから昨日まで、老体に鞭打ちながら半年の歳月をかけ、心に深い傷をつけた奴らの子孫24人を見つけ、全員を殺しきるまでに絶対に捕まることのない完璧な計画を立てきったのである。そして翌日ーーー
深夜にも関わらず、その男のいる家の周りでは
けたたましくサイレンが鳴り響いていた。
きっと数十台のパトカーが包囲しているのだろう。
「頑張った甲斐があったなぁ」
その男は標的全員を殺害し、思い出を反芻し終え、とても満足していた。24人もの命を刈り取って数時間程度しか経っていないとは思えないほど優しいほほ笑みを浮かべながら、そっと目を閉じた。
暫くして完全武装をした特殊訓練を受けた精鋭であろう警察の部隊が洗練された動きで一気に突入してきたのだが、その男は深呼吸をし、歳を感じさせぬ大声で
「俺の80年に一片の悔いも無し!」
と叫び、自らの手で人生の幕を閉じるのであった・・・
投稿しちゃった(はぁと