隊長達
エスカーと握手を終えた後、周りを見渡すアレンに五人の者たちがそれぞれ言葉をかける。
まずはじめに口を開いたのは、先ほどまで口喧嘩をしていた大木のような男であった。
「よりにもよって剣の隊とは、お主運が悪いのう。ワシは斧の隊 隊長のガダン。ガダン隊長とでも呼んでくれ」
斧の隊というだけあり屈強な戦士達が揃っており、戦の際には最前線で斧やハルバードといった武器を振るう前線部隊である。
とククルが説明をしたところで
「先ほどは見苦しいものを見せたな。すまぬ。拙者は槍の隊 隊長のサリオンだ。よろしく頼む。」
口喧嘩の時とはうってかわって律儀な口調で自己紹介をしたのは槍の隊 隊長のサリオン。
槍による攻撃を得意とし、各個撃破に優れた傭兵達が揃う槍の隊。
「けっ、こんな野郎のどこに目を付けたんだ?どこにでもいそうなガキじゃねぇか。おい!お前のせいで死ぬのはごめんだぞ」
喧嘩口調で話しかけてきたのは弓の隊 隊長のニグルという男らしい。
後方からの援護射撃ということで、戦場では非常に貴重な隊ではあるが何故か彼の隊には素行の悪い男達が多いようだ。
「こんにちは、お兄さん。ウチは魔の隊 隊長 ユリエルよ。ククルの下に付くらしいけど…お兄さんさえ良ければ魔の隊に入れてあげても良いのよ?よろしくね」
色っぽい口調で話しかけてきたのは魔の隊 隊長ユリエル。
後方から陣を作り大量殲滅魔術とやらを使用する集団であり、敵に回すとこれ以上なく厄介であるが味方となると頼もしい隊である。
またユリエルは魔術士として適正が高いとされる青髪の女性であり、隊員からの人気も高いという。
「術の隊 隊長のアリエフスキだ。戦術を担当している。よろしく頼む。」
最後に口を開いたのは術の隊 隊長のアリエフスキ。
紫髪に眼鏡をかけたおおよそ傭兵とは思えない人物に驚くアレンであったが、隊一のキレ者と総評するククルの言葉から只者ではないことを理解した。
「さぁ!皆、自己紹介は終わりだ!後はククルに任せる。百人殺しはいかがなものか、楽しみにしているぞ」
エスカーがそう締めくくるとククルとアレンは一礼しテントを後にするのであった。