剣の下へ
「銀翼傭兵団、だと?そんな傭兵団聞いた事ねぇよ」
「私達はここよりずっと北、アケドニア連邦での戦に主に参戦していた。あなたが知らないのも無理は無いわ」
「なんでまた、アケドニアにいやがった連中がこんな所に来たんだ?」
「レグナレス帝国は軍本部まで弱肉強食の風潮がある。強き者は上に上がり、弱き者は死ぬ。私達はレグナレス帝国の下で闘い、団長を大将軍にする」
そう端的に述べたククルは、アレンの首元に当てていたナイフを懐にしまい込む。
「へっ、そりゃまた大層なこった。レグナレス軍人百二十万人の中で四人しかいねぇ大将軍になれるってのかよ?その団長様は?」
「なれる。絶対に。しかし、その為には苛烈な闘いを制していかなければならない。その中で銀翼傭兵団の名を知らしめていかなければならない。あなたが必要よ、百人殺し。」
「おい、いい加減その物騒な呼び方はやめやがれ。アレンだ。アレン・アックスフォード」
「アレン、あなたを私の剣の隊の隊員にするわ」
再びククルの口から発せられたその言葉に、アレンは諦めの表情を浮かべつつも
「仕方ねぇ。俺のいた傭兵団は全滅だ。森で大人しく暮らそうとも思ったが、コイツはどうも獣よりも人の方が斬りやすいらしい」
背中に大剣をしまい直し、ククルへそう告げると
「あんたの言う傭兵団へ連れて行ってくれ。飯炊きだろうが、鍛冶屋だろうがなんだってやってやるよ」
まぁ、俺の負けだしな。と呟きながらククルとともに宵闇の森を抜けるのであった。