ククル・アルキドシア
「おい。殺すのか殺さねぇのかはっきりしやがれ。殺すなら殺せ。」
そう答えたアレンに
「先のレグナレス帝国とウラド王国の闘いを見ていたわ。あんなに苛烈で強引で一人な剣士を私は他に一人しか見たことないわ。私はあなたよりも強い男に言われてここに来た。」
「さっきから訳のわかんないことを言ってないで何がしたいのか言いやがれ。殺す気が無いならまず名前を言えよ!」
「私の名前はククル。ククル・アルキドシアよ。あなたを試しに来たの。結果は合格、おめでとう。」
「はぁ?」
あまりの展開にさらに混乱が増してきたアレンにククルと名乗ったエルフが告げた。
「試しにってどういうことだ?」
「あなたの先の戦を見ていた私達は、あの戦がどういうものであったか知ってる。両軍が総員死に、あなただけがなぜ生き残ったのかも」
「かなりの劣勢を強いられ、頼れる味方もいない。百人殺し。正確には百五人、一人でその大剣で斬り殺した。」
アレン曰く椅子から動かない将軍とやらが
「逃げ惑った結果であろう」
と鼻で笑った話であったが、事実アレンは百五人を一人で斬り伏せていたのであった。
「何が言いてえんだ」
「私はククル。銀翼傭兵団 剣の隊、隊長のククルよ。あなたを私の部下にする。」