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鬼剣の傭兵〜傭兵戦場物語  作者: 猫拾い
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剣の隊の宴


レグナレス軍での行賞とは、各将軍などの部隊長が天幕へ呼ばれ、そこで纏めて部隊の功を言い渡されるというものである。


夕暮れ時を迎え、ハルベルトの天幕へと呼び出されたエスカーであったがふと違和感を感じた。

戦の功を言い渡される場であるこの天幕には、ハルベルト大将軍と銀翼傭兵団団長のエスカーしか居なかったのである。


「大将軍。これは…?」


「此度の戦で功を与えるような働きをした者はいない。精々お前さんの隊くらいじゃよ。」

ゆったりとハルベルトは告げた。


「はっ!ありがたき幸せでございます!」

エスカーは最敬礼をするとハルベルトの前に跪く。


「此度の戦にて、ウラド軍に壊滅的打撃を与えた銀翼傭兵団の戦術。そして、敵総大将を一騎討ちで退ける実力。お前達の功をここに記そう」


ハルベルトがエスカーに渡したものは、賞状にも似たような書面であった。

その中には今回の戦の功が細かに記されており、まるで最前線で闘いを見ていたかのような精密さであった。


「レグナレス軍本部にはワシの方から伝えておく。これだけの功を残せば軍直下の指揮となるのも時間の問題ではあるがな。よし、退がってよい。後の者どもには銀翼傭兵団が第一功であると伝えておこう。」


エスカーはもう一度ハルベルトに最敬礼をすると、銀翼傭兵団の天幕へと戻った。



「各隊長達を集めろ!その他の者たちは宴を楽しんでいてくれ!」

天幕へと到着したエスカーはすぐさま隊長達を招集する。

そこでハルベルトの書状をもとに各隊長達に告げられた功は


英功賞 ククル・アルキドシア

銀翼賞 剣の隊 遊撃隊


剣の隊 アレン・アックスフォードを正式に、剣の隊副長とする。


この三つであった。


戦の最前線で闘う分、功も受けやすいと思われがちな剣の隊であることから、何かしらのやっかみが出ると考えていたエスカーであったが、不思議とそれは無かった。

なぜなら、あの苛烈な闘いぶりを銀翼傭兵団の皆は目にしているからである。


その功を聞いたククルは、レグナレス軍としての初めての戦が成功に終わった安堵感と、剣の隊が実力を示した高揚感でいっぱいになっていた。

早く剣の隊の皆とともにこの功を分かち合いたい、と思うククルであったがエスカーと目線が合う。


おもむろに口を開いたエスカーはこう告げた。

「皆、聞いてくれ。俺の夢は大将軍になることだ。小さな積み重ねかもしれんが、今日確実に積み重なった。これからも頼む」


エスカーのその言葉をもって行賞は終了となり、天幕へと戻るククル。

ようやく重圧から解放され、家族の元へ戻ってきたククルの表情は花が咲いたような笑顔であった。


「みんな、今回の戦の第一功はもちろんウチの隊よ!さぁ、宴に混ぜてもらえるかしら?」


隊員達から歓声があがり、すでに出来上がり始めているアレンも笑みを見せた。


「早く座れよ、隊長殿!まだ酒がたんまりあるぜ!」


またいつもの宴が始まる。

死んでいった者を弔い、その魂を胸に刻み込みまた闘うのだ。


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