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鬼剣の傭兵〜傭兵戦場物語  作者: 猫拾い
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レグナレス第一戦終戦


ヨシュドの首が地に落ちた頃。

こちらの一騎討ちも終わりを迎えようとしていた。


「向こうは終わったようね。総大将も斬る、なんて言っていたけど流石にそれでは私の面子が立たないわ」

戦場に似つかわしくない可憐な剣士は細身の剣を鞘に収める。


「私の部下達は血を流し過ぎている。これで終わらせるわ」

初めてアレンと出会った時。

百人を一人で斬り伏せたあの男をなんとか説き伏せる為に使った魔術を使用する為に印を組む。

正確にはエルフであるククルが使う術は妖精術とも呼ばれ、人間よりも魔術の適正が高いエルフが使う術は強力である。



「はぁ、はぁ、それ程までの腕を持ちながら、道を違えるとは…侵略者め…」


「道を違える…?あなたには違う道でも、私達にとっては進むべき道なのよ。安らかに逝きなさい、首は貰うわ」

ククルは手を広げ妖精術を行使する。


濃霧が赤鎧隊全てを包み込む。

しかし、その光景を見てすぐさま対処の為に策を練る者も行動を始める者もウラド軍にはいなかった。

なぜならその者が濃霧の中心にいるからだ。


ヨシュドと同じ様にドサッと鈍い音が響くと、ククルの合図で濃霧が晴れる。



「アレン!首を掲げて!」


「あぁ!」


「剣の隊よ!敵総大将は私が討った!総大将の右腕と呼ばれた男もだ!これ以上お前達に血を流して欲しくない、総員撤退だ!」



「おおぉぉぉぉぉ!」

ククルとアレンが一騎討ちを続ける間、背を守り続けたシュードとその脇で奮戦していたコル。

そして、隊長であるアレンの脇を固め赤鎧隊の精鋭達を斬り続けた遊撃隊員達が一斉に沸く。



「ほっ、ほっ、ほっ、終わりだ。終わりだ、ウラド軍よ。」

レグナレス帝国軍天幕では相変わらず椅子に腰を掛けているハルベルトがこの戦の終結を告げる。



開戦より二刻程で鮮やかな勝利を収めた戦であったが、レグナレス帝国きっての戦闘狂が満足する筈が無い。



「流石に戦の功労者を、敗戦者に殺される訳にもいかんであろう。前線よりあれを退かせ、レグナレス帝国軍本隊で敗残兵を叩け。」

朗らかな老人とは思えない残酷な指示。



レグナレス帝国軍は敗残兵を叩き潰す為、進軍を始めた。

一方で剣の隊は最前線より撤退し、槍の隊と合流しながら銀翼傭兵団の天幕へと戻ってくる。


負傷 四九六人

死者 七八人


決して少なくは無い犠牲であり、隊員千人中半数以上は五体満足で帰還出来なかった状況ではあるが、隊員達の表情は明るい。



死していった仲間達も納得するであろう。

なぜなら自分達が命を懸けてきた剣の隊が、この十二万対七万の戦を決めたのだ。

それも一騎討ちで。

歴史に名を刻むであろう者達と共に闘った。



涙は宴の後で良いのだ。



「お前達、良く付いて来てくれたな…一緒に闘ったならわかるだろ?俺はあんまり人の上に立つのには向いてねぇ。それじゃあ困るってやつもいるだろう。遠慮しないで、ククル隊とシュード隊に移ってくれ」


一方でアレンは遊撃隊員達に問い掛ける。

彼らも最前線に立ち続け、傷を負い死んでいった者もいる。

それは小なり長である自分の責任だ。

そう決めていたアレンであったが、アレンの前より去る者は居なかった。



「お前達…いいのか?この隊が一番、死に近いと思うぜ?」

アレンの素朴な疑問に答えたのは、コルだった。



「アレンさん、良いんです。この遊撃隊が。みんながアレンさんに背を任された、それだけで良いんですよ」

素朴な疑問に返されたのは素朴な答えだった。



「へっ、そうか…よしっ!今日の宴は飲むぞ!亡くした者があるならその数だけ飲め!言ったろ?今日のバッジはどんなバッジか、楽しみにしとけよ!」



傷付き疲れ果てた剣の隊達を、魔の隊達が運んでいく。

エスカー達銀翼傭兵団は夢に向けての一歩を踏み出し、最高の形で走り始めたのであった。

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