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鬼剣の傭兵〜傭兵戦場物語  作者: 猫拾い
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ハルベルト・ウィスナー

銀翼傭兵団の開戦からの攻勢によりウラド軍右方が完全に壊滅状態となるのに、そう時間はかからなかった。


数では七万対十二万と圧倒的な差があるかに見えたこの戦であったが、開戦から程なく数的な優劣は無くなるほどに銀翼傭兵団の攻勢は見事であった。


「マーキール将軍!右方軍がほぼ壊滅状態とのことです!」

遅まきながらマーキールの元へその情報が伝達されるが、その状態から右方軍を立て直す術をマーキールは持っていなかった。


ただ、一つ。

一方的に攻め込まれている右方軍を立て直す方法を見つけたマーキールであったが、実行に移すことを躊躇う程のものであり戦術と呼べるものでは無いということを理解している。


壊滅的な右方軍を立て直す策。

それは、総大将マーキールが率いる赤鎧隊にて右方軍を攻め立てているレグナレス軍を叩くことであった。


しかし、最奥とはいえ数的有利を覆しウラド軍を一部壊滅させようとしている軍が只者であるはずがない。


その事がマーキールの頭を悩ませ、行動を遅らせた。


「左方軍へ伝達せよ!こちらの主攻は左方である!左方よりレグナレス軍を崩し、大将軍ハルベルトの首を狙え!」


なし崩しにマーキールが出した策は正攻法とも取れる策であったが、同時に現状の先延ばしに過ぎないものである。


その時、レグナレス帝国きっての戦闘狂。

大将軍ハルベルトが動いた。


「ほっほっほっ、左方軍に伝達せよ。あの傭兵団を孤立させるのじゃ。他左方軍は山岳を回り込み、右方の援護に回せ」


ハルベルトと共に数多くの戦を闘ってきた参謀は、その指示を一言一句間違わずにレグナレス帝国軍全体に伝達する。


味方を孤立させ、見殺しにしかねない。

その指示は当然未だ快進撃を続ける銀翼傭兵団 団長エスカーの耳にも入る。


術の隊 アリエフスキを含め、隊員達が驚愕するなかただ一人の男のみ笑みを浮かべた。


銀翼傭兵団 団長 エスカー・ファンブラッドである。


「やはりそう来るか、ハルベルト大将軍。俺の夢は、大将軍というものは、偉大な者だな」


エスカーが諦めや憂いにより、笑みを浮かべるような男では無いことを銀翼傭兵団の団員達は理解している。

この策を聞いてなお、笑みを浮かべながら堂々とした姿を見せるエスカーには見えていたのだ。


この戦場において、今しがたハルベルトが伝達させた策を完全に理解している人物は四人。


策を講じた本人 ハルベルト・ウィスナー

同じ図を見ていた エスカー・ファンブラッド


残りの二人は激戦真っ只中の敵陣中を切り進んで行く、アレンとククルであった。

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