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鬼剣の傭兵〜傭兵戦場物語  作者: 猫拾い
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レグナレス軍議

レグナレス帝国とウラド王国。


過去幾度と無く衝突を繰り返す二国であったが、幸いにして未だ嘗て大戦と呼ばれる規模の戦は行われていない。


今回の戦で両軍が相見えることとなった舞台は、国境沿いにそびえる山岳地帯であった。

辺境の村同士の小競り合いより発展した戦火は、レグナレス七万、ウラド十二万の兵を動員する戦となっていたのである。


しかし、「未だ嘗て」行われていない大戦と呼ばれる規模の戦には程遠くレグナレス帝国から見れば小競り合い程度の戦として捉えられているのである。


出立から程なくして今回の戦場となる山岳地帯手前にある野営地に到着したハルベルト率いるレグナレス軍は野営を設営し、軍議を開くことになった。


各軍を率いるそれぞれの将軍達を集め、ハルベルトが口にした情報は端的な物であった。


ウラド軍十二万

戦場となるのは国境沿いのウラド領域

地形は奇襲に有利かつ待ち伏せも有効な山岳地帯

敵総大将は ウラド王国将軍 マーキール将軍

マーキール率いる精鋭部隊は赤色の鎧を纏っている

赤鎧を見た者は報告せよ


この情報だけを端的に告げたハルベルトは、好々爺と言っても差し支えない柔らかな顔で将軍達を見つめる。


「何か質問の有る者はおるか?そして意見は?」


しかし、その目は歴戦の猛者そのものであり意見を述べることができる将軍はその場にはいない。

静寂が続く場を切り開いたのは、銀髪の若い男であった。


「ハルベルト大将軍。質問はありません。意見をよろしいでしょうか?」

その男は胸に銀鷲の紋章の刺繍を入れた軍服を纏うエスカー・ファンブラッドであった。


「ほぅ、小鳥の将か。意見を述べてみよ」

そう笑うハルベルトだがその眼光の鋭さは変わっていない。

将軍達に緊張が走る中、エスカーは続けて喋り始めた。


「意見は二つあります。これより各軍の動きを確認するのでしょうが、どうか我が団の動きは私に一任していただきたく思います。」


突然現れた傭兵団がレグナレス帝国軍の軍門に下ったという噂を聞いていた将軍達が、一斉に不満の顔を浮かべ立ち上がる者もいた。


「おっ、おい、貴様!傭兵の分際で何を言っておる!」

レグナレス帝国将軍の地位まで上り詰めた自分達が、ハルベルトの目に怯え質問すら出来ない状態であるのに、突如現れた傭兵が何を言うか。

その念に駆られた将軍達は次々にエスカーを糾弾する。


「もう一つの意見です。この戦ハルベルト大将軍の号令により戦が始まると思われます。その際の第一陣。それを私にお任せいただきたい」

続けてエスカーから発せられた言葉に、遂に将軍達が罵声を浴びせ始めた。


「不敬であるぞ!この若造を叩き斬れ!」


そう言って抜刀しエスカーに向かおうとした将軍が剣を振りかぶった瞬間、軍議が行われていた机が爆ぜるような音を立てて叩かれる。


「ほっほっ、やめんか童どもよ。この老将ハルベルト、貴様ら全員叩き斬るくらい造作も無いぞ?」

将軍達の動きが止まり、剣を納めその場に座り込んだ。



ハルベルト大将軍。



齢六十七にして未だにレグナレス大将軍の地位に座る者に相応しい男である。


「良かろう、小鳥の将よ。貴様の隊に指示は無い。好きなように暴れるが良い。第一陣も貴様に任せる。しかし、己で言ったことだ。責任は重い」



「はっ、かしこまりました。」

そう言いながら頭を下げるエスカーであったが、その顔からは鋭い犬歯が覗いていたのであった。

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