出会い
宵闇の森。
アレンがやってきた場所はそう呼ばれ、レグナレス帝国からほどない場所にあるその森は獣や魔物といった存在がひしめく森である。
街でありったけの食糧を買い込んだアレンは一月の間宵闇の森にこもることにした。
「ふう、なんでまぁこうなっちまったかなぁ」
先の戦を含めアレンが参戦する戦では両軍ともに全員が死んでいくのが当たり前となっていた。
傭兵であるため命は使い捨て、といった戦術が起因してはいるがそれにしても異常である。
この森でしばらく戦から離れ自分自身を見つめ直す良い機会だと思っていた。
「とにかく、傭兵団も潰れちまったししばらくはここでのんびり過ごすか」
と今後しばらくを過ごすであろうテントを張ろうとした瞬間、けたたましい雄叫びがすぐ近くで聞こえてきた。
「ふっ、なんだよ。人の次はブタを斬れってか?」
凄まじい速度で突進してきたのは体長二メートルはある猪であった。
アレンはすぐさま背中の大剣を抜き放つと上段から下段へ猪を縦に真っ二つに斬り裂いた。
「おうおう、これは今日から一週間くらいは持ちそうな食糧だな」
そう呟きながら今しがた仕留めた猪を懐にあったナイフで解体しようとした瞬間、アレンはその場から飛び退く。
「ちっ!弓でも使える魔物がいるってか!?」
アレンが仕留めた猪の体に赤い羽のついた弓矢が刺さった。
「おい!何をしやがる!出てきやがれ!赤羽の矢ってことはエルフの野郎か!」
かつて所属していた傭兵団にいた華奢で耳が尖っている容姿の整ったエルフという種族の男が赤羽の弓矢を使っていたことを思い出し、アレンがそう叫ぶ。
すると、森の中から現れたのはアレンの予想通り華奢なエルフであった。
「お、女?だと?」
今すぐに斬り捨てようと考えていたアレンに突然現れたエルフが告げた。
「あなたが欲しい。」