出立
「くそっ!なんだってんだ、このだるさは」
勝ち戦の後に開かれた宴が終わり、朝日が昇った。
未だほとんどの団員が眠りにつく中、アレンは体のだるさを嘆きながらも銀翼傭兵団の一員となってから夜は毎日宴であったことに気が付き一人でため息をついた。
先のアケドニア連邦軍との戦で敵総大将を一騎討ちで討ち取り、エスカーから銀翼賞を与えられたアレンはひとまず顔を洗うためにテントから出た。
隣のテントではもっと早く起きていたのであろうコルが剣の手入れをしていた。
「相棒、お前はいつもこの時間に起きてんのか?」
「そうです!朝は剣の手入れをしないと落ち着かなくて…」
コルは慌てながらもアレンの元へ駆け寄り朝の挨拶をしてきた。
その様子に弟を見るような顔で答えたアレンは水飲み場へと向かう。
「おはよう。アレン。どうやら飲み過ぎたみたいね」
そこにいたのはククルであった。
淡い銀髪に整った容姿、朝日を浴びるククルの姿はやはり可憐であった。
「おう、隊長。昨日は旨い酒が飲めたかよ?」
「えぇ、あなたのおかげでね。昨日の宴は鼻が高かったわ。功を私が独り占めできるなんて」
そう言いながら笑うククルを見ながらアレンはため息をついた。
「おいおい、あんなもんで満足してもらってちゃ困るんじゃねぇのか?レグナレスへ行くんだろ?」
アレンは両手を上げやれやれといった感じで肩をすくめてみせた。
「えぇ、出立よ。荷物をまとめなさい。アレン、そしてコルは剣の隊最前列へ来て欲しいの。今後の戦においてもそうしたいと考えているわ」
「おう、了解だ」
やけにあっさりと返事を返すアレンに少し驚きの目を向けたククルであったが、すぐにその顔を笑みに戻すとククルもまた出立へ向けて荷物をまとめるのであった。




