金髪の少年
剣の隊全員に集の号令が掛けられた。
「彼はアレン。今日から剣の隊員になるわ。」
「よろしく頼むぜ。」
ククルとアレンがそう述べると、辺りがざわつき始めた。できそうな男じゃないか、という声とだがこんな男とコルは上手くやっていけるのか?と隊員達から声があがりはじめた。
「おい、隊長。コルってやつは何者だ?」
時々聞こえてくるコルという名前が気になり、アレンが尋ねた。
「そうね、事情を説明するわ。コル、前へ出なさい」
「は、は、はいっ!」
今にも折れてしまいそうな声を上げたのは、アレンの腰元までしか無いような背丈の金髪の少年であった。
「私達銀翼傭兵団は一隊千人。減ることはあっても千人より増えることは無いわ。その中で五百将と呼ばれ、五百人を指揮する副長が二人。その下は百将。それより下は…」
とここで話を区切るククルにアレンは不審な眼差しを向けながら問う。
「なんだってんだ?傭兵団と言ったら百将、十将、五将だろう?」
「いいえ。銀翼傭兵団は百将の下は二人一組。ツーマンセルという仕組みを取っているわ。ここまで言えばわかるでしょうけど…」
「お前が俺の相棒ってわけか?」
「は、は、はいっ!アレン…さんですよね?よろしくお願いしますっ!」
「おい、相棒。歳はいくつだ?」
「十二です!」
「そうか、よろしくな」
コルとの短いやりとりを終えると、他の隊員達は酒や飯やと騒ぎながらも拍手と歓声を送ってくる。
ククルはコルの頭を撫でながら
「アレン。コルは剣の隊皆の子供のような子よ。よろしく頼むわ」
「あぁ、任せてくれ」
アレンはたどたどしい少年の目を真っ直ぐに見つめ、そう宣言するのであった。