第2節「決闘開始」
あれからしばらくして、二人の異能力者が小さなフィールド上で対峙する。戦士だとは思えない程可憐な少年と凛々しく若い女性。そして、その周辺を大勢の八剣学園の生徒が囲んでいる。
「なぁ一秋、これは一体なんだ?」
「俺が聞きたいです」
一秋咲葉は、溜息をついてそう言った。大勢の生徒に見られるなんて事、咲葉は知らなかったのだ。
「多分ですけど、雪菜が情報屋にこの事を知らせたんだと思いますよ」
「アイツのせいか・・・はぁ〜」
『さぁ始まりました、”神極の歌姫”対”無垢なる女神の決闘! 果たして勝利するのはどちらだ!』
会場に響き渡る実況に、生徒達が歓声を上げる。会場全体のボルテージが上がる中、フィールド上に立つ二人は、戦意を喪失していた。
「私達は、今戦わなければならないのか?」
「決闘をするように言った本人が何言ってるんですか」
「そうだよなぁ〜。仕方ない、やるか」
奥寺は目を閉じ、その場で一回転する。途端、フィールド上の空気が一変し濃い魔力に包まれた。
「優しき調べを奏し孤高の詩人よ、汝のその声を聴きし者達を月夜に誘え。人を惑わすその力で世界を深き闇で染め上げよ。きたれ、暴虐なる詩人」
フィールド上に散りばめられた魔力が奥寺の体に集まり、異能魔装を形成する。ドレスの様な造形だが、朱殷の布地は血塗れた様子を醸し出し、禍々しい雰囲気を作り上げる。
「一秋、私は手加減などしない。本気でかかってこい」
優しく微笑みかける奥寺に、咲葉は冷たい視線をなげる。
前回まで、とても長い文章で出していてすみませんでした。なので、今回2部の際で書いていた文を分けて書くことにしました。まだ拙い文ですが、頑張りますので今後ともよろしくお願いします。