第1節「理由」
「という訳で、勝手にエントリーさせてもらった」
書類に目を通しながら、奥寺藍那は咲葉にエントリーカードを渡す。
「理事長、二つだけ質問させてください」
「私に答えられるものは、答えよう」
タバコを吸いながら、そう言って咲葉の目を見る。
「じゃあ、まずはじめに”七つの大罪”は、二年前に全員捕まったんじゃないんですか?」
「ああ、そのはずだった。だが、嫉妬だけが捕まっていなかったそうだ」
奥寺はタバコを灰皿に置き、二枚の書類を咲葉の前に置く。
「その二人は、お前の知り合いだっよな」
「えぇ、柊先輩に瀬山さんでですよね」
咲葉がそう言うと、奥寺はまた二枚の書類を置いた。その書類は、二人が死亡したことを知らせる報告書。
「一秋、お前は嫉妬の異能力を知っているか?」
「”偽りの自分”」
奥寺は、無言で頷く。
「恐らく、奴は八刀戦武祭の何処かで姿を現す、そこで、お前に奴を叩いて欲しい」
「でも、俺は・・・・」
咲葉の顔を見て、奥寺は呆れた様子で声をかける。
「お前は、知り合いの敵討ちをしようとは思わないんだな」
「何で俺なんだよ」
咲く葉は静かに呟いた。
「”純白の王冠”。それが唯一嫉妬の異能力に対抗出来る力なんだ」
「俺に拒否する権利は?」
深い溜息が漏れる。
「そこまで、選抜戦にでるのが嫌なら、私と決闘をしろ。それで勝てたら出場を取り消そう」
そんな提案に咲葉は驚く。だが、躊躇うことなく口を開く。
「分かりました。その条件で、決闘をしましょう」
「即答か、余裕があるのかな? ならば、敗者は、勝者の命令を一つだけ聞くというのを追加しようか」
奥寺は、そう言って咲葉の背後を見る。
「そういえば、空加が目を輝かせてで行ったが、放置しておいていいのか?」
初めまして、鹿平 澪〈かひら みお〉です。この物語は、趣味で書いていた物なのでおかしな所が沢山あると思いますが、これからも頑張って作品を作るので是非見てください。宜しく御願い致します。