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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
第二章 ゴブリンの襲来
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アリマ

今回はアリマが主役…の筈です

 どうしてこんな事になったのだろう。

 ボクは数時間前まで、リアルでも友人であるアリサと一緒に食事を取っていた筈だ。それがどう間違えたら、無人島に連れてこられて地竜なんかと戦う事態に陥ると言うのだろうか?

 無人島に来るまでの間、酷い船酔いに苦しんだけど地竜と戦う事を了承した覚えはない。

 ボクをこんな事態に巻き込んだのは、有名プレイヤーの『死神ジン』。

 β版を体験したプレイヤーは、みんな口を揃えて言ったそうだ。死屍累々の地獄絵図であったと。その原因となったのは、βイベント『隠滅のアリア』だ。街の中で暴れまわる巨大なイカを討伐するというイベントだ。

 アイテムの引き継ぎは無いからと生産職のプレイヤーは、無料で消費アイテムを配布し、武器や防具の修理を行っていたそうだ。

 当時イベントに参加していたプレイヤーは、接近戦を得意とする人が多かったそうだけど『隠滅のアリア』が操る再生する触手に打ちのめされていた。

 そんな中たった二人のプレイヤーが組んだパーティの独力で、アリアを抑えたという。

 そのパーティの一人が『死神ジン』だった。この時の活躍がジンを有名プレイヤーに押し上げた。

 制限時間いっぱいまで前衛をこなし続けた事から、50人分の前衛とか言われるようになっていた。その手に握られた大鎌から、掲示板では『死神』の二つ名が定着した。

 初ログインの時にそんな有名プレイヤーと出会ったものだから、ついフレンド登録をお願いしてしまったのは仕方がないと思う。

「こんな事態になるなら、フレンドにならなきゃ良かったよ…」

「ん?」

 人の気も知らずに首を傾げるジン。

「もう…全力で行くよ!」

 ボクはグリモワールを開くとスキルを発動させる。

「『魔造召喚』」

 僕のグリモワール(エキドナ)のスキル『魔造召喚』は、一度戦闘を経験したモンスターの中からランダムにモンスターを造り出して召喚する。召喚したモンスターは、ボクに使役されて命じられるままに戦う。

「ジェネラルゴブリンか…」

 ジンさんと初めてパーティを組んだ時は、敵としてジェネラルゴブリンが出てきたっけ。


                        ♪


「『スロウ』『パラライズ』『ポイズン』『ダークランス』」

 アリマがジェネラルゴブリンを召喚すると同時に状態異常を発生させる呪魔法を発動させる。

 地竜に効果があるかどうかは分からないが、戦況が有利になるなら御の字と言ったところか。

「フゥーン!」

 地竜が勢いよく鼻息を鳴らす。

 鼻息を荒くして興奮するという表現をよく聞くが、このステゴザウルス型の地竜に当てはまるのかは疑問が残る。

「クロエ、行きますよ」

「はい、ロックス殿」

 二人の従者は命令を受けるまでも無く、地竜に攻撃を始める。

 クロエは聖騎士らしく西洋風の剣を構えているが、ロックスは白い手袋を両手に着けたまま、左手を後ろに回し右手で拳を作る。

「フッ」

 ロックスが拳を突き出すと拳圧が地竜に突き刺さる。

「ギュ…」

「流石に地竜となると固いですな…」

 拳圧事態にそれほど威力がある筈はないのだが、地竜の背後にある山に岩が砕けたような跡がくっきりと残っている。地竜そのものは、傷を負っているようには見えない。

「私も参加いたしますわね『プリズムアーク』」

 アリサが呪文を唱えると地竜を始め、俺達パーティの周囲に占い師御用達の水晶が散らばる。

「これは…?」

「私の魔法です。この水晶には魔法を反射する効力がありますので、水晶の位置を移動させれば全ての攻撃魔法が、地竜の下へと殺到します」

「アリサ様、えげつない魔法ですね」

「ほっといてください!」

 珍しくクロエがツッコミを入れるが、俺も同意見だ。えげつない。

「ギュゥゥウゥゥ」

 地竜が唸り声を上げると、次第に口の中から光が溢れ出て来ていた。

 デジャブ…前に似たような事があったような気がする。確か盗賊団の時—――――。

「ブレスが来るぞ、避けろ!!」

 俺の声が届いたのか、声がちゃんと発せられたのか、全てはブレスの中に呑み込まれた。

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