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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
第二章 ゴブリンの襲来
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譲渡

 しばらく廊下を進んでいると突き当りにたどり着いた。

「こちらの扉の奥で陛下がお待ちです」

「分かった」

「それでは、また後程…」

 ロックスは深々と頭を下げると今来た廊下を引き返して行った。

「冒険者ジン殿にございます。陛下」

「うむ」

 扉を抜けて前に進むと門番らしき兵士が、入場した俺の名を告げる。

 俺の用事を済ませる相手である国王は、玉座にどっしりと腰を下ろしているのが見える。一応の礼儀なのか、システムにより体が勝手に腰を低く下げ、首を垂れる。

「冒険者ジンよ。息災であったか?」

「はい、陛下。戦闘後の疲労も癒え、この通り壮健にございます」

「さようであるか…では、本題に話を移そう。前回のゴブリン軍による攻撃に対する防衛戦、その報酬の件だったな」

「はっ」

 国王が手を振ると国王の傍で控えていた兵士が、一礼し何処かへ向かって行った。

「報酬であるそなたの『土地』であるが、事前に希望を聞いていたお陰で候補を絞る事は容易であった。しかし、最後にはそなたに直接選んで貰おうと思ってな」

 国王の話が途切れた所に先程退場した兵士が、台の様な物を国王に差し出した。

「そなたに譲渡する『土地』の権利書だ。候補の土地は三つまで絞り込んだので、権利書も三つ用意した。それぞれの地域の説明を行うゆえ、自ら選ぶのだ」

「ご配慮いただき、ありがたく」

 因みに俺は、謁見の間に入ってから一度も自分の意志で発言していない。プレイヤーに因って言葉使いが悪い者もいるのだ。報酬を受け取りに来て、言葉使いが悪いからと牢に入れられたのでは哀れだし、運営側の配慮だと思っておこう。

「まず一つ目の島だが、島の名前は『アウゲイト』その外見は、島全体が苔で覆われているような島であるな。島からは良質の石材が取れ、周辺海域には島の苔を餌にしようと大きめの魚が集まっている様だな。出現するモンスターは、スライムを始めとする無固形モンスターと海を根城にする海洋モンスターが主だ。カルセドニー近くの砂浜でも良く見かけるグランブルクラブも確認されている」

「…ふむ」

 『アウゲイト』で魅力的なのは、石材と魚だろうか、俺の要望した『土地』は島である事と生活が可能な環境である事の二点なので、食料である魚を自力で確保できるのならば、条件を満たしていると言えるだろう。

「二つ目の島は『デマイド』であるな。この島は、島の周りを森が囲っている珍しい地形の島だ。ただ島の中央には沼が広がっていて、一度沼に嵌まると生きて戻っては来られぬので注意が必要だ。この島では木材と果実そして、豊富な種類の魚が取れる。出現するモンスターは、ゴブリンやピクシーなど妖精族のモンスターが確認されている」

 木材で家を建てて、木の実を取りながらゴブリンを討伐して鍛冶に勤しむ。完全にスローライフ生活である。

「最後の島は『スファレ』か…」

「陛下?」

「ああ、いや。この島は、島の中央に高い山があり、周辺には豊かな森が広がっている島なのだ。砂浜もあり、先に説明した二つの島とは違い岩がむき出しの土地も少ない」

 聞くと住みやすい良い土地に聞こえるが、俺に報酬として渡す島の候補になっているのならば町や集落などの人が住んでいる場所では無いはずだ。

 何か人が住めない理由があるのだろうか?

「何か問題が?」

 国王が口ごもるのは、初めて見た。何か島に人が住めない問題があるのなら、今の内に聞き出しておきたい。

「うぅむ。そなたも気づいているのであろうが、この島は人が暮らして行くのに十分な資源が眠っている。であるのにどうして、人が暮らしていないのかとな?」

「…はい」

「それはなこの『スファレ』には、ドラゴンが住んでいるのだ」

「ド、ドラゴンですか!?」

 島の中にドラゴンが住み着けば、余程の強者以外は住めそうもないな。

「それ故ギルドにドラゴンの討伐依頼を発注しておるのだが、一向に進んでいないのだ」

「ドラゴンの他に魔物は確認されていないのですか?」

「木精霊やフォレストタイガーなど凶悪なモンスターの存在を確認している。これは他の島にも言える事だが、海の魚に紛れて水生モンスターの存在も懸念される」

 ドラゴンの印象が大き過ぎて、島の調査に踏み出せていない様だ。その分、カルセドニー側で把握できていない未知の資源が入手できる可能性があるな。

 幸いドラゴンを如何にかする当てはある。

「では、その『スファレ島』を頂きたく」

「良いのか?」

 国王はまさかと言うような顔をしたが、俺の考えは変わらない。

「はい」

「そうか…そなたが決めた事だ。我らに異議はない」

 国王が言葉を切り上げると兵士が権利書を持って、こちらに向かって歩を進める。

「こちらが『スファレ』の権利書となります」

 権利書を受け取ると、脳内に響くようにインフォメーションが聞こえた。

≪『権利書』はアイテムとして使用する事によって、記載されている土地、家などの持ち運び不可能なアイテムの所有権を得ることが出来ます。また『権利書』は使用後消滅し、別の人物に譲渡する際は新しい『権利書』の作成が必要になります。新しい『権利書』を作成するには……≫

 インフォメーションの案内通り、一度権利書をインベントリに仕舞ってから使用する。

≪自分の土地を入手したプレイヤーが現れました。これによって土地の購入が可能になります≫

 このパターンは、久しぶりな気がするな。

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