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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
第二章 ゴブリンの襲来
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未使用『リンクス』の行き先?

 ログアウトして、時計を確認する。

 最近は時計ばかり気にしている気がするんだ。

 なんでだろうな。

「仁ー!」

「何!?」

「ご飯出来たよー」

 相変わらずな姉さんのざつ呼び出しに苦笑いしながらも、一階に降りて行く。

「いただきまーす」

 今日の晩御飯は、お好み焼きでした。


                  ♪


 受付を素通りして、研究所に入り込む。

 昔は止められて注意もされたものだが、今では日常の風景となりつつある。

 すっかり見慣れてしまった研究所の中をゆっくりと進む。

 学校より通いなれた父さんの研究室に入った。

「おお、仁来たのか?」

「ああ、うん」

 俺の姿を見つけた父さんが、驚いた様に声を上げた。

「確か今日からイベントだろう、お前がゲームを置いて研究所に来るなんてな…。何かあったのか?」

「いや、別段特別な事じゃないよ。ちょっとコレが余っちゃって…」

 俺は持ってきていた『リンクス』を取り出す。

「これは…『リンクス』だな。余ったって?」

「実はさ…」

 手短に事情を説明する。

「ああ、引継ぎ要素か…。別に初期スタートでもとは行かないか…」

「さすがにな。後になって分ったんだけどβテスター特典の称号もあったみたいでさ」

「ほう…あったコレか。『絶望を乗り越えし者』…ふむ」

 モニターに映し出された掲示板を見ながら唸り声を漏らす。

「全ステータス+1は凄いな。種族ポイントが、7ポイント分じゃないか!」

「小説で有名なVRゲームだからな。『アライン』は高いし、デスゲーム風作品の影響で手が出しにくかったらしい」

「夢の新技術なのにな…」

「俺にとってはそうだけど、一般ユーザーにとっては未知の領域なんだろうさ」

 実際に二度もVRゲームをモデルにしたデスゲームの作品が、大ヒットしたのが災いしたとも言える。あ、片方は少し違うか。

「それで『リンクス』なんだけど…」

「別にバイトを雇っても良いぞ?」

「それで良いの?」

「元々脳波計測のモニターとして協力を依頼する形を取っていたからな。予定通りの人員が確保できなくて、モニターの募集を新たにかけると言うのは珍しくないんだ」

 俺としては誘う相手もいないし願ってもない事だが、こちらの一存で取り寄せておいて申し訳ない気持ちになる。

「『リンクス』については貸出。バイト料は…期間が決まってるから定額かな?」

「期間?」

「長い間モニターをする訳にもいかないからね。まずは一か月プレイして貰って、続けるかどうか聞こうかと思う。というより、一か月おきに聞いて行こうと思うよ」

 確かにゲームだけを年単位でさせる訳にはいかない。

 この条件なら学生の応募も可能だし、こぞって応募してくれそうだ。

「今月中からは無理だろうし、仁の友達を連れてくるならその間にね」

「友達ね…」

 いないんだが。

「わかった」

「それから、仁は普段アッチでは何をしてる?」

「あっち?」

 学校の話だろうか?

「『グリモワール・オンライン』で普段何してる?」

「ああ、ゲームの話か。学校の話かと思った」

「それはそれで聞きたいけどね?」

 学校について話すことは、本当に少ない。

 精々テストの結果や表彰の有無ぐらいではないだろうか。クラスメイトとは距離を置いているので、最近の流行などは知らない。

「何をか…戦闘したり武器作ったり?」

「普通にRPGだな」

「一応、アクション体験型MMORPGだからな」

 モンスターを倒すのが一般的なRPGという物だと思うのだが。

「折角のVRなんだから、戦いばかりじゃ勿体ないだろう?」

「まぁ、そうだな」

 俺も時間が許してくれるなら、一日中釣りとかしてみたい。

「こっちは母さんと一緒に農家プレイを楽しんでいる。私は動物を入れて、畜産にチャレンジしてみたいのだがな。中々ログインする時間が難しくて、NPCを雇わないと難しそうだ」

「へぇ、NPCって雇えるのか…」

「ああ、今は土地の購入が先だな」

 土地も買えるのか…装備よりも先に拠点を確保しておいた方がよかったかな?

「俺は取り敢えず、普通にゲームをプレイする積りだよ。気に入った場所を見つけたら、そこに家でも建てようかな…」

「ああ、色んな楽しみ方をすれば良い。その為のゲームなんだからな」

 その後、礼を言って別れると直ぐに家に帰った。

 楽しみなイベントの始まりである。

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