ゴブリンの将軍
「チッ!?」
ジェネラルゴブリンが右手に持つ大剣を振り回し、召喚したモンスターが屠られていく。
「召喚モンスターは、数秒の足止めが精一杯か…」
「グルルルル」
低い唸り声を上げ、こちらを睨むジェネラルゴブリンの後ろから追加のゴブリンが現れる。
「うわー、増援持ちかー」
「厄介ですわね。普通はボスモンスターの能力ですのに…」
そういえば、魔蜂の森で戦ったクイーンズビィーも配下を呼ぶ能力を持っていた。
「『ダークピット』『ウインドカッター』」
「『ファイアーボール』『フレイムバーナー』」
魔法で牽制するが、やはり数が多い。
ジェネラルゴブリンの能力は、これまで見た限り武器攻撃と増援。もしかしたら指揮能力もあるかもしれない。
「行くよー『大回転』!」
アリマが構えた大剣を振り回し、まるで独楽の様に回転を始める。
「何だあれ?」
「武器系スキルのアーツです。一定行動を繰り返すと習得可能なようですわ」
「アーツ…あれが?」
回転が終わったら、目が回って気分が悪くなりそうなアーツだな。
「ええ、余り使い勝手は良くなさそうですけれど。相手の数が多ければ…」
「まぁ、今回は助かるか」
言葉を交わした僅かな間に増援のゴブリンを次々と光に変える。
「魔法をジェネラルに集める。ゴブリンは頼む」
「分りましたわ」
「お、オッケー!」
二人に声をかけると、全てのMPを攻撃魔法につぎ込む。
選ぶ魔法は個体を標的にした闇魔法。
「『ダークランス』!」
叫ぶと同時に真っ黒な突撃槍が、ジェネラルゴブリンに向かって飛ぶ。
ダークランスに気付いたジェネラルゴブリンが、大剣を構えて防御姿勢をとる。ガンっと鈍い低音が響くと大剣にヒビが入り砕け、ジェネラルゴブリンの体に食い込む。
「…グゥル!?」
識別で体力を確認するが、3分の2を削った所でHPの減少が止まる。
「やっぱり、一撃は無理か…アリサ!」
「お任せください『ファイアーストーム』!」
アリサが呪文を唱えると、ジェネラルゴブリンを中心に炎の竜巻が生まれる。
周りにいたゴブリンを巻き込んで、渦はドンドン大きく広がっていく。
「うわー、目が回るー」
アリマは、ふらふらになった体を大剣で支えている。
「これ、森に燃え移ったりしないよな?」
「どうだろう。放火とか出来る仕様かは、分らないけど…」
PKができる仕様ではあるらしいから、可能性として考えたほうが良いか…。
「あ、倒したみたい」
魔法を止めるように言うつもりだったが、倒したのならその必要もないか。
「あ…レベル上がった」
戦闘の終了と同時にレベルアップを知らせるインフォが頭に響いた。
「ふぅ、終わりましたわ」
「お疲れー、クエスト分のゴブリンは倒したし帰ろうか?」
アリマの提案に否はなかった。
どのみちMPを使い切ってしまったので、狩の続行は出来ない。大鎌を振り回せていないのが、心残りではあるが帰るとしよう。
「ああ」
「そうですわね。今回の事をギルドに報告しませんと」
「そうだね。あ、レベルアップおめでとう!」
「あら、レベルが上がりましたの?」
おめでとうございます。と付け足す。
後は来た時と同じように、雑談でもしながら街に戻ろう。




