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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
第二章 ゴブリンの襲来
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家族のゲームライフ

 二本目の作成を作業を終えて時計を見ると、もうすぐ夕食の時間だった。

 ログインしてから約五時間も経過している。

「いったんログアウトするか…」

 夕食の時間に遅れると怒られてしまう。

 母さんは元々医者だったので、健康管理に厳しいのだ。

 ログアウトして直ぐに、リビングに向かう。

「あら、仁。今日は遅れなかったのね」

「怒られたばっかりだからね」

「あのゲームが面白いのは、分るけどね」

 どうやら、母さんも『グリモワール・オンライン』を気に入った様だ。

「母さんはゲーム内で何してるの?」

「そうねぇ、農業かしら?」

「農業…ゆったり出来そうだね」

 作物は売却するなり、調理すればいい。

 まだ空腹度の実装はされていないけど、俺はそう遠くない未来に実現するものと睨んでいる。

「最初は薬草とか育ててみたんだけど、最近は野菜を育ててるの。現実だとついつい水まきを忘れがちだけれど、ゲームだと忘れないのよね」

「私は普通に戦闘メインね。氷魔法は珍しいみたい」

 母さんとゲーム話をしていると、いつの間にか姉さんがリビングに降りてきていた。

「戦いは苦手だわ、戦闘向きのスキルも持ってないもの」

「農家だっけ…確かに戦闘スキル向きじゃないかな。あ、でも水魔法とか土魔法なら使えるかも!」

「そうね、あったら水まきや耕しが楽になるかもね」

 どこまでも戦闘をする気は、無いらしい。

「姉上、母上に荒事を求めても意味がありません」

「楓も降りて来たか」

「はい、兄上」

 楓の姿を確認した母さんは、急いで台所に向かう。

「ご飯はもう出来てるからね」

「はい、お腹が減っています」

 朝、昼、晩と食事を取る時間が決まっているので、お腹も減るだろう。

 特に俺や楓は育ち盛りだ。

「私たち三人は、ギルドのクエストを消化しながらレベル上げですね。職業も種類があって、面白いです」

「あー、職業な。正式版になって追加されたんだけど結構種類あったよな」

「珍しいところだと、母さんの『農家』かしらね」

「姉さんは?」

「私はそのまま魔法使いよ。ただし氷が付くけど」

 氷魔法使いか…氷自体が水の上位魔法だった筈だ。

 初期職が氷魔法使いとなると既に二次職になるのだろうか?

「私は魔法剣士です。基本的に三人でのプレイが通常のプレイ方針なので、器用貧乏と名高い魔法剣士にしました」

「魔法剣士ってそうなの?」

「そうねー、剣を振りながら魔法を使えるなら強いわね」

「出来ないのか?」

 職業の名前から察するに両方使えそうだが。

「できるけどゲーム外スキル、要はテクニックが必要なのよ。魔法はとにかく種類が多いわ、同じ魔法でもMPの消費を変えれば効果が変わるし、何より自分で作りあげた魔法よ?」

 全員が同じ名前で魔法を登録する訳でもない、それにどれだけの効果や種類があるのかも現状は不明。

 何処までも我流で進むことができる反面、誰かに習うことが困難なのだろう。

 ゲームにおいて、ステータスやスキルの内容を聞くのはマナー違反だ。

 教えを乞うにも、敷居が高すぎるのであろう。

 俺も自分で作った魔法を人に教えたいとは思わない。

「うーん」

「我流で出来るから難しくないとか思ってない?」

「まぁ」

「普通の職業には、魔法と武器両方の適性はないのよ。まぁ、適性がなくてもスキルは取れるし使うこともできるわ」

「しかし、兄上。適性のないスキルを習得するには、相応のポイントが必要なのです」

 スキルポイント、スキルの習得や進化に必要になるポイントだ。

 今まで気にしなかったが、俺の職業死霊使いは武器と魔法の適性があるのだろう。そうでなければ土魔法をポイントで取得は出来ないだろろうし、今にして思えばゾンビを召喚するのに土の適性があってもおかしくはない。

「気にせずポイント使ってたな…」

 俺の言葉にため息を吐く二人。

「ゲームの概念上レベル制限はありませんから、特に問題ないかと思います。兄上」

「いや、序盤だからマズイかもしれないわ」

「まだレベル4だから大丈夫だろ。何も考えずに、土魔法取っただけだしな」

 そんな話をしている間に夕食の最後の仕上げが終わり、おいしいパエリアを堪能した。

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