カルセドニー王国崩壊の真実
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クロバクの第一王女シードル。クロバクの冒険者ギルドで、どうしてカルセドニーから来た冒険者を優遇している疑問を紐解く鍵ととなる人物。
「シードル王女?」
「現国王であられるドン・ゴッチェ陛下のご息女であり、初代国王陛下のご令孫」
もったいぶった口調で、常識を知らぬ若者をからかう態度を隠そうともしない。
「賢人パラケウスの盟約…クロバク、ネリアン、ファブロ、クンツァイト、ローサイトそしてカルセドニー。当時この大陸に建国された全ての国家間で結ばれたこの盟約は、建国の基礎でもあります」
「当時…建国された?」
ゲーム開始時にプレイヤーが降り立つベネート大陸ではあるが、彼女の口ぶりでは其々の国が建国されたのは同時期であるようだ。同じ年に建国される国が六ヵ国もあるとは、とても偶然とは思えない。
「そこが今回の話に間接的に関わる話……その六つの国が誇る初代国王や女王様がみんな賢人パラケウスの弟子だったの」
「ここで賢人パラケウスが関わって来るのか…」
カルセドニー崩壊前に国王から聞いた賢人パラケウスと初代国王クレイク・ファーバーの逸話。
「種族の枠を超えた仲間…歴史に名を刻む五人の英雄」
国王が語ったカルセドニー建国の歴史を思い出し、大陸の国数と一致する事実に鳥肌が立つ。
「そう…貴方だったのね。カルセドニーを滅ぼしたのは」
憂いを帯びた瞳をした彼女は、どこか此方を気遣う声色で話しかける。
「お、れが?」
俺が宿屋のおっさんや国王、ロックスさんたちが消してしまったのか。
「人口の多いアメシスト帝国は、百年以上も昔か豊穣の大地が広がるカルセドニー王国に目を付けていました。人口が減少傾向にある国であり、住民の多くが人間種。アメシスト帝国には、未開拓の資源に見えた事でしょう」
「…」
「ただでさえ大陸で二番目の大きさを誇る国土を持っていたのですから、それも当然の事でしょう。しかし、アメシスト帝国が侵略する事はありませんでした…なぜなら、時が来れば自動的に譲渡されるからです」
「…譲渡?」
「賢人パラケウスの盟約で、カルセドニー王国はグリモワールの宿主が現れるまでの存続が求められていました。その前に侵攻でもしようものなら、大陸全ての国と戦争になります」
そんな無謀な戦争をする程には、追い詰められていなかったのか。
「しかし、役目を終えたカルセドニー王国を守る条約など無く、このままでは総人口が大きく下回るカルセドニー王国では戦を始める戦力などあるハズも無い」
人口が飽和状態の国と、碌な人数を集める事も出来ない国とでは戦いにもならない。
「そこでアメシスト帝国の侵攻で、国民が血を流す位ならと役目を終えた後の譲渡契約がクロバク立ち合いの元に結ばれた。…はー、一気に喋ったから喉が渇いちゃったわ」
彼女は自分の湯飲みを傾けて喉を鳴らす。
「それで、その役目を終わらせたのが…俺か……」
「人形の町となっていたカルセドニーでは、歴史書は必要ないもの…全て王城に回収されて」
国王はクレイク・ファーバーの遺言で歴史を隠したと言っていたが、王家以外の者にはパラケウスの遺言を伝えてはいないのかも知れないな。
「だから貴方が気に病む必要はないのよ?」
態々遠回りに説明していたのは、最後のトリガーを引いた宿主かを確認してその人物だったなら慰める為だったのか。
「…ああ、すまない」
「……話を戻すわね。その賢人パラケウスの残した弟子一人であるクロバクの建国者ドン・スピリタス陛下は、初孫であるシードル殿下を大層可愛がっておられたの」
確かカルセドニーが建国したのは二百年前だった。建国したのが同時期という話だから、建国してから随分と長く生きている。
「その初代国王陛下が、五年前に亡くなられてね。シードル殿下は塞ぎ込んでいたんだけど、カルセドニー滅亡の報を聞いて「お爺様のご友人が建てた国の方々を放っては置けません!」ってカルセドニーからの移民や冒険者に対して支援活動を初めてのよ」
「良い娘よね」っとのほほんとした笑顔を浮かべる。
「さぁて長いお話の甲斐あってカードの発行が終わったわよ」
手渡されたカードは、木製でも金属でもない材質で作られている。まるでプラスチックで作られたカードだ。
ギルドカード
所有者:ジン 登録:冒険者ギルド(クロバク支部)
冒険者ギルド 0P
生産者ギルド 0P
商業者ギルド 0P
「このギルドカードは、冒険者や商人、生産なんかのギルドの名前。その横の0Pはは、ギルドに対してどれだけ貢献したかを数字で記入する場所ね。依頼を達成したり、ギルドに有益な行動をした際に数字が増えるの。逆の事をすれば減るわ」
「数字が増えると何かあるのか?」
ボス戦で言う処の貢献度報酬に当たる何かが。
「国によって内容は違うけど、おいしい依頼を回されるとかはどこのギルドでもやっていると思うわ。この国だと中町への出入り、ダンジョン探索資格かしら」
「っダンジョン!?」
「あら、やっぱり貴方もダンジョンが目的で来たのね。もう知れ渡ってしまったからら教えるけど、ダンジョンはクロバクの中心地に聳え立つ火山。アクアヘイアウにあるわ」
目的地であるダンジョンの場所があっさりと分かって、肩透かしを喰らった気分だ。地のダンジョンが攻略されてから、もう一週間近く経っているのだから情報が出回っているのは仕方がない。
「アクアヘイアウ…」
「クロバクにとっては枯れない鉱床。文字通りの生命線…だから長い間他種族の立ち入りは厳禁だった。限定的とは言えどうして解放されたのか、詳しい理由は伝わってはないけれど王家が動いたのは間違いないわ」
そう言いながら空になった湯飲みに新しいお茶を注ぎ込む。
「クロバクはアクアヘイアウを中心に金属製の城壁に囲まれている中町と、城壁の外で勝手に出来上がっていた外町で出来た変な形の街でね。外壁の外に捨てる岩石を使って家やら外壁をいつの間にか作られてたの」
「正確には外町はクロバクではないのか?」
「最初はそうだったのだけれど、そのままでは外壁の外に出られないって中町の中でも揉めて大変だったそうよ。元々中町に入れない人たちが作った町だったし、クロバクが管理してくれるならってなし崩し的に一つの町になったのよ。二重の城壁は防衛に有用な物だものね」
金属製の城壁を作り上げても枯れる事のないダンジョン鉱床。そんな物があれば人が集まって来るのも頷ける。
「で、カルセドニーから来た冒険者への優遇措置に繋がる訳だけど…本来はギルドカードの数字で進入の許可、不許可を判断するのね」
ジンの手にあるギルドカードを指さす。
「ああ、言っていたな」
「それが優遇措置で最初から出入り自由になる…一見地味だけど、これって凄い事よ」
ギルドカードを提示するだけで、全ての城壁をパス出来てしまう。本来はギルド引いては各国に貢献し、信用を得る事で通行が出来るようになるのだから、彼女の言う通り凄いことだ。
金属の城壁を超えれば、王族の住まう王城もあるのだから。
「必要な説明はこんな所でしょうか…質問事項などありましたら今の内にお願いします」
「…ダンジョンに挑むには、数字をどれだけ貯めれば良い?」
急に業務に戻った様子でどこか突き放された印象を受けながらも、聞いて置かなければならない事は幾つか残っている。
「合計で一万ほどでしょうか…許可なくダンジョンに近づきますと逮捕される恐れがありますので、真っ当に数字を貯められる方法をお勧めいたします」
「ギルドの依頼は今日から受けられるのだろうか?」
「はい。登録は完了しておりますので、問題なく依頼を受けられます。その際は依頼ボードから依頼書を持って受付までお越し下さい」
その時に思いつく限りの質問を終えると、受付嬢に礼を言い席から立ち上がる。
「感謝する…」
「いいえ、ご栄達を期待しております」
名前 ジン
性別 男
種族 夜行族Lv3
職業 ネクロマンサーLv3
HP 232
MP 180
筋力 40+20(60)
体力 40+90(130)
器用 40+25(65)
精神 39+39(78)
知力 40+12(52)
俊敏 33
運 40+8(48)
種族ポイント 0
スキルポイント 32
グリモワール 収録の魔道書 (グロノス)
武器1 フィルカーズ・サイス
武器2 ピーターの杖
頭 統括者のサークレット
胴 統括者のスケイルライトアーマー
腕 統括者のライトガントレット
腰 統括者のリザードベルト
足 統括者のボトムスケイル
靴 統括者のロングブーツ
アクセサリー 旅人のマント
アクセサリー 地竜の腕輪
アクセサリー
所持金 75970コル
スキル
武器スキル 【大鎌術Lv11】【杖術Lv3】
魔法スキル 【風魔法Lv7】【土魔法Lv5】【闇魔法Lv10】【呪魔法Lv6】
【下僕召喚Lv10】【召喚魔法Lv6】
生産スキル 【鍛冶Lv3】【木工Lv4】【調薬Lv5】【皮革Lv1】
【調理Lv4】【道具Lv4】【裁縫Lv2】
【アンデッド作成Lv5】
補助スキル 【魔書術Lv10】【採取Lv3】【採掘Lv1】【伐採Lv2】
【鑑定Lv7】【識別Lv5】【召喚Lv6】【罠Lv2】
【幸運Lv4】【剛力Lv4】【巧みLv4】【速足Lv4】
【気配察知Lv5】【魔力察知Lv5】【生存術Lv2】
職業スキル 【ネクロマンシーLv1】【死霊術Lv1】
固有スキル 【有形無形Lv8】【暗香疎影】
称号『始原の魔道』『絶望を乗り越えし者』『ゴブリンキラー』『漫才師の勲章』
『恐怖を知る者』『語られぬ英雄』『鉱山の統括者』
収録の魔道書
名称 グロノス
階級 第81中階位
タイプ 万能
能力 【コレクションカードLv4】【カード化】【魔物図鑑】【解体】
【召喚魔法】【販売】【魔石生成】
ギルドカード
所有者:ジン 登録:冒険者ギルド(クロバク支部)
冒険者ギルド 0P
生産者ギルド 0P
商業者ギルド 0P