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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
七つのダンジョン編
154/168

ゴブリンの集落

 クロバクが誇る海の玄関口ゲルマ町を旅立ち、徒歩でゆったりと進む首都への道のり。数多くの人々が通り過ぎた道は、しっかりと踏み固められている。

 深く息を吸い込むと、首都への第一歩を踏み出した。

 ドワーフの国は海に面しているとは思えないほどの荒れた土地が続いている。砂漠とまではいかないが、乾燥した岩肌と時折見えるやせ細った林がここが荒野なのだと印象付ける。

「港周辺は緑が多かったが…」

 首都を目指し、歩き始めて二時間。歩くだけの道中に早くも飽き飽きしていた。

 時おり横を通り過ぎる馬車を操る御者は、呑気に鼻歌を空気に響かせながら目が合うと会釈をして通り過ぎてしまう。

「今の御者、ゴブリンだったが……」

 以前、カルセドニーを襲ったゴブリンの軍勢。その尽くを殲滅し、軍を率いる王からの一騎討ちを騙し討ちで打ち取った。

 今思い返して見れば、王は今際の際に何か話していたような気がする。近くにゴブリンの集落があるのなら、ゴブリン鉱を手に入れられるかもしれない。妖精のハンマーに鍛冶スキルの修正があったのだから、他の生産スキルに対応する道具を作ることが出来ればスキルが向上修正を受けられるかもしれない。

「正確な場所が分かる訳でも無いし、道なりに進むしかないよな」

 もし集落を見かける事があれば、寄って行くのも悪くない。そんな事を考えながらも、踏み出した足は止まること無く軽やかに大地を進んでゆく。

 緩やかにとばりが降りて、空が闇色に染まり始める頃。ジンは真っ赤に染まる大地を視界に収めながら、野営の準備に取り掛かっていた。

「しまったな…ハウスオーブは島に置いて来たのを忘れていたか」

 島での暮らしに拠点は必要だろうと両親の拠点にイベントで手に入れたハウスオーブを譲り渡していた。食料やポーションなどの物資は手慣れた様子で準備していたジンだったが、今は肝心なキャンプ用品であるテントを忘れたマヌケであった。

 ここが現実のキャンプ場であったのなら、管理小屋にテントを借りるか近くの宿泊施設を宿に決めれば解決する話だ。しかし、現状ではそんな便利な施設の恩恵を受けることは出来ない。

「…夜になれば真っ暗になる物だと思っていたんだけどなぁ」

 新円を描く月の輝きに魅せられて足が止まる。彼女を一人にはさせないと、無数の星が夜空で瞬いている。

「おっと見とれている場合じゃなかった。野営は仕方がないとして、焚火でもなんでも暖をとらないとな」

 塩風の影響か港町を出たばかりの頃は草木も少なかったが、半日近く歩き通した甲斐あって、焚火に使う枝を探すのに苦労するほどに木々が少ない場所は既に遥か後方である。

 周囲の様子を一巡して、薪となる小枝を拾おうと前屈みに膝をひざを折る。いくらか背丈の高い草が群生している場所で、焚火に丁度良さそうな小径木しょうけいぼくを見つけ歩み寄る。

 茂みに近づくと、ガサガサと音を立てて茂みが揺れ動いた。

「…誰だ?」

 慌てて後ろに飛び引き、大鎌を呼び出して構えながら茂みに向かって呼び掛ける。

「…モンスター相手に言葉では通じないか。それなら魔法で茂みから追い出して…」

 言葉とは裏腹に茂み全体を岩出圧し潰す土魔法のアースグレイブを繰り出そうと分かりやすい構えを見せる。

「わ、まま、まって!」

 慌てた様子で茂みの奥から飛び出して来たのは、小学生位の背丈をした緑色の皮膚を持つ魔物。

「ゴブリンだとッ!」

 イベントで戦ったゴブリンキングの顔が記憶から蘇り、上擦った様な声でゴブリンを迎える。

「そうだけどモンスターじゃないよぉ…」

 飛び出して来たゴブリンを良く見てみれば、カルセドニーの住民が着ていたようなしっかりとした衣服を身に纏っている。それは人から奪った様なサイズの合わない物ではなく、誂えたようにピッタリと体に馴染んでいる。

「あ、ああ、ゴブリン族か…確か妖精種の一種族だったか」

 以前にゴブリンのドロップ品を生産ギルドで弄っていた時に、そんな記述を目にした記憶がある。

 コクコクと小さな首を懸命に縦に振るゴブリンに対して、謝罪の言葉を口にしながら大鎌グロノスをしまう。

「はー、死ぬかと思ったよぉ」

「済まないな…以前ゴブリンの軍隊に襲われたことがあってな」

 こちらの姿が見えれば少しは不安も和らぐだろうかと、闇魔法のブラックライトを使って灯りを創り出す。

「俺はジン…夜目が利くので灯りも出していなかった。驚かせて申し訳ない」

「う、ううん。ゴブリンも星灯りの下ぐらいなら、ちゃんと見えるんだっ!」

「そうなのか、モンスターのゴブリンは見えていないようだったし、本当に別の種族なんだな」

「そ、そう。エルフと人間のハーフがゴブリンなんだ…だから、人間族とエルフ族から嫌われてる」

 昔に読んだファンタジー関連の本に、そんな生き物がいた。

「それはオークの事だろう…確かエルフを監禁して、堕落させる事で生まれるとか」

「へ、へぇ」

「そんな事より、こんな夜更けにどうして草むらに潜んでいたんだ?」

 無駄話は嫌いじゃないが、そろそろ脱線した話を戻したい。

「そ、そうだった。急いで薬草を探さないとっ!」

 そう言うとゴブリンは、足元に這いつくばるような姿勢で何かを探し始めた。

「どうしたんだ…薬草がどうかしたのか?」

 ゴブリンに向かって問いかけるも、余程焦っているのか返事が返って来る事は無かった。

「違う…違う、違う、毒草いらない…この薬草違う」

 話を聞けないなら話が出る状態にしてやればいい。ゴブリンと同じ姿勢を取るとゴブリンに再び問いかける。

「探している薬草の名前は?」

「…?」

 急にしゃがみ込んだジンを見て、小首を傾げるゴブリンに言葉をぶつける。

「俺は『鑑定』のスキルを持っている。名前が分からなければ手伝えない」

「手伝ってくれるの?」

「手伝って欲しかったら、探し物の名前を教えてくれ」

「う、うん。探しているのは薬草で、名前はレモングラスって言うんだ」

「レモングラス…香草の?」

「知ってるの!?」

 ジンは記憶の中を遡って観るも、レモングラスが薬草だなどとは聞いた事が無かった。自分が知らないだけなのか、ゴブリンにのみ効果があるのかは置いておくとして、買って出たからには最後まで付き合う心算だ。

「料理に使う位しか知らないが、兎も角レモングラスだな。探してみよう」

「うん、お願い!」


≪クエスト『ゴブリンの小さな頼み事』を受領しました≫


「さーて、探しますか」

 それから十数分の間に地面に生い茂る雑草の鑑定を何度かけたのか、鑑定のレベルが二度も上昇していた。

「見つけたぞ…レモングラスだ」

「ホント!?」

 レモングラス 分類 素材 ランク5 品質B-

 ゴブリンに掛った微弱な毒を中和する。

 年中を通して繁殖している香草。

「ああ、幸いな事にレモングラスの群生地になっている様だから、両手いっぱいに持って帰っても全滅はしないだろう」

「あ、ああぁ…これで、これでみんな…きっと助かるよ!」

 ありがとうと大声で叫ぶと、ゴブリンは走り出した。

「…レモングラスが必要な訳…まだ聞いていないんだけどな」

 鑑定結果からある程度の予想は出来る。

「毒か…解毒ポーションは持ってないんだよな」

 これまで毒を使う敵と戦う事が無かった故の見落としであった。自分が病気をばら撒く魔法を創り出しておいて、何故その発想に至らなかったのかと疑問が過る。

「…クエストは終わっていない?」

 ゴブリンの後を追って、走り出した。追いかけた先にクエストの終着点があると予感して、何かが起き来ている焦燥感を感じながら。

 ゴブリンを見失ってしまったが、所々に出来た真新しい痕跡(草が不自然に折れていたり、レモングラスが落ちていた)が真っ直ぐ突き進んでいるのが分かる。

「ん、集落…いや村か?」

 踏み固められた地面の上に、井戸や二十程の家屋が立ち並んでいる。ドワーフの村なのか、ドアのサイズがやけに小さい。

「止まれい!」

 村の様子を探ろうと村に入ったジンに、長槍を突き付けた緑色の肌の守衛。

「ゴブリン…」

「我らの集落に何の用だニンゲン!」

 ここはゴブリンの集落で間違いないようだ。

名前  ジン

性別  男

種族  夜行族Lv3

職業  ネクロマンサーLv3


HP  232

MP  180

筋力  40+20(60)

体力  40+90(130)

器用  40+25(65)

精神  39+39(78)

知力  40+12(52)

俊敏  33

運   40+8(48)


種族ポイント  0

スキルポイント 30


グリモワール  収録の魔道書 (グロノス)


武器1    フィルカーズ・サイス

武器2    ピーターの杖

頭      統括者のサークレット

胴      統括者のスケイルライトアーマー

腕      統括者のライトガントレット

腰      統括者のリザードベルト

足      統括者のボトムスケイル

靴      統括者のロングブーツ

アクセサリー 旅人のマント

アクセサリー 地竜の腕輪

アクセサリー


所持金    75970コル


スキル

武器スキル   【大鎌術Lv11】【杖術Lv3】

魔法スキル   【風魔法Lv7】【土魔法Lv5】【闇魔法Lv10】【呪魔法Lv6】

        【下僕召喚Lv10】【召喚魔法Lv6】

生産スキル   【鍛冶Lv3】【木工Lv3】【調薬Lv3】【皮革Lv1】

        【調理Lv2】【道具Lv3】【裁縫Lv2】

        【アンデッド作成Lv5】

補助スキル   【魔書術Lv10】【採取Lv3】【採掘Lv1】【伐採Lv2】

        【鑑定Lv7】【識別Lv5】【召喚Lv6】【罠Lv2】

        【幸運Lv4】【剛力Lv4】【巧みLv4】【速足Lv4】

        【気配察知Lv5】【魔力察知Lv5】【生存術Lv2】

職業スキル   【ネクロマンシーLv1】【死霊術Lv1】

固有スキル   【有形無形Lv8】【暗香疎影】


称号『始原の魔道』『絶望を乗り越えし者』『ゴブリンキラー』『漫才師の勲章』

  『恐怖を知る者』『語られぬ英雄』『鉱山の統括者』


収録の魔道書

名称  グロノス

階級  第81中階位

タイプ 万能

能力  【コレクションカードLv4】【カード化】【魔物図鑑】【解体】

    【召喚魔法】【販売】【魔石生成】


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