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グリモワール・オンライン  作者: 灰猫
第三章 某国戦争編
110/168

VSグレイウルフ1

 周囲はオーガとジャイアントウルフの戦いで、木々は倒され、俺たちが隠れられる場所は少ない。反面、倒された木々は、奇襲を掛けたウルフ達の姿を隠すのに丁度良い高さである。

「数が把握しきれない…『召喚』『サモン』『コール』」

 相手の数が解らない防衛戦、手数を増やす為にも召喚系のスキルを連発する。召喚するのは召喚魔法の黒猫と、下僕召喚からスケルトン、ゴーストだ。

 久し振りのカード召喚も出し惜しみはしない。ゴブリン、グランブルクラブ、グランブルシザー、水砲貝、コボルト、スケルトンと今まで魔装化で大鎌になったグロノスが、止めを刺してきたモンスターがカードの中から呼び出される。

 街の盗賊団を討伐した時のラージラットが出せればよかったのだが、あの巨大ネズミは毒で倒れたのでカードは持っていない。

「ドーンっと邪魔してやる!」

 一方、ドーンと言えば剣を鞘から引き抜くとオーガ目掛けて駆けて行った。

「…なるほど、狙いはオーガだもんな」

 ジャイアントウルフとその群れは、新しい森の主になる為にオーガを狙っている。つまり、敵であるジャイアントウルフの群れは、オーガに向かって前進していると予想できる。

 咄嗟にドーンの考えを読み取ると召喚したモンスターを散開させる。相手の数が解らない手前、手元のカードを全て消費してしまったが、その分こちらの手数は多い。

「…グルル」

 其々のモンスターに指示を与える中、早速ウルフ系モンスターとエンカウントした。

「…『起動』『魔装化』『識別』」

 俺を警戒する様に声を上げるウルフを前に、慌てず大鎌グロノスを構えるとついでとばかりに識別を掛ける。


グレイウルフ 魔物 レベル10 ランク5


「グレイウルフか……一匹の危険度は低い…かな?」

 グレイウルフの攻撃方法が確認できていないので油断は出来ないが、レベルはそう高くはない。散開させた召喚モンスターは、カード召喚によるモンスターだけである。その為、周囲にはスケルトン、ゴースト、黒猫が傍に付き従っている。

「グルゥア!」

 グレイウルフが大きく一鳴きすると鋭く伸びた牙を覗かせながら、素早い動きで接近する。

「…なっ!?」

 グレイウルフは俺の懐まで潜り込み、その鋭い牙を足に食い込ませた。

 俺の足に。

「グゥゥゥ!」

「ぐっこの『ダークランス』!」

 グレイウルフから距離を取ろうと苦し紛れに『ダークランス』を放つ。魔法が当たるかと言う一瞬の間に牙を引き抜き回避を成功させる。

「…強いな」

 改めてグレイウルフを注視する。

 サイズは巨大とは言えないものの、現実世界の大型犬並みの大きさはある。名を現すような灰色の毛皮を纏い、鋭い牙はプレイヤーの足程度なら悠々と貫き通す。

 そもそも相手がランク5のモンスターである事を考えれば、一人で相手をしているジンが如何に出鱈目な戦闘力を持っているのかが分かる。強さという物は、決してレベルだけで決まる物ではない。レベルが高いからと言って、ドラゴンを倒せるおたまじゃくしがいないのと同じ様に生まれついての強者が存在する。

 つまりランクとは、種族としての強さを示すパラメーターなのである。

「…落ち着け、冷静に組み立てろ…まずは防御だ。『ウインドボール』次は回復…んぐ」

 自分の思考を加速させるように一人声を漏らす。

 前日に購入しておいたポーションを飲み乾して、HPを回復させる。

「次は…『スロウ』スケルトン、ゴーストは攻撃、黒猫は援護だ」

 グレイウルフの最も厄介な点、それは素早さだ。ならその速度を落としてやれば良い、幸いにして呪魔法ならばそれが可能だ。順調に育ってくれた呪魔法は、呪文の飛距離も伸びていた。

「ガウ!?」

 急に体の反応が鈍くなったグレイウルフは、その表情を驚愕に塗り替える。

 速度が低下したと言っても、相手は元々が足の速いグレイウルフだ。並のモンスターなどより余程早い。

 スケルトンが剣を振りかぶり、切りかかるが軽やかに躱される。ゴーストがグレイウルフの視界を遮る様に動き、攻撃に参加してはいるもののダメージを与えるには至っていない。

「もう一手って所か…『ウインドカッター』『ダークランス』『スロウ』『パラライズ』『ポイズン』」

 前衛はスケルトンとゴーストに任せて後衛に回る。ソロプレイヤーに連携を合わせるプレイヤースキルなど無いのだ。

 一方で黒猫は辺りを警戒している。他のウルフが戦闘に参加する様なことが有れば、勝機はかなり遠のくと言って良いだろう。重要なお役目である。

「グルル…ガウ!」

 余程頭に来たのか、グレイウルフの攻撃対象が俺に切り替わる。

「っち」

 ヘイト管理は、タンクやヒーラーがいないと難しい。俺はソロなのでヘイトは全て自分に向く。お陰で難しく考える必要は無いが、その辺りのプレイヤースキルは低い。

「『パラライズエッジ!』」

 俺に向かって飛び込んで来たグレイウルフを体を右に傾けて躱す。躱したグレイウルフを切り払う様に大鎌グロノスで真一文字を描く。

「ギャウ!?」

 グレイウルフから、小さく悲鳴が漏れる。

「…相打ちか」

 大鎌の一線を描く切り払いは、見事に命中した。だが同時にグレイウルフの左足から伸びる爪が体を掠めていた。

 チラリっとグレイウルフのHPを確認する。

「今の攻撃で、やっと三分の一か…」

 今の一撃だけのダメージではないとしても、攻撃力の差に愕然とする。グレイウルフの爪が掠っただけで、俺のHPは半分近く削られているからだ。

 俺が生きているのは、単純に太陽光が木々とマントによって肌に接していないからだ。そうでなければ、攻撃が掠るどころか悪路を進むだけで死んでいたかも知れない。

「グルル」

「…俺は群れを相手にしているんだぞ…勝てるのか?」

 グレイウルフの強さに思わず弱音を吐く。

 単純にグレイウルフだけで構成された群れであったらとしたら、考えるだけで血の気が引いたかの様に指先が震える。

「ダメだ。弱気になっても勝てない、落ち着いて…すぅー、はぁー」

 深呼吸をして気分を落ち着ける。

 戦闘中にも関わらず、こんな事をしていられるのは、ゴーストがグレイウルフの注意を引いてくれているお陰である。スケルトンも参加しているが、未だに攻撃は命中していない。

「…しかし、決め手がない」

 埒のあかない戦いに言葉が漏れ出る。


≪称号『恐怖を知る者』を獲得しました≫

≪スキル【大鎌術】アーツ取得条件をクリアしました≫

≪スキル【大鎌術】アーツ『クリムゾンサイス』を習得しました≫


 このタイミングで新しいアーツだと!?

「スケルトン、ゴースト足止めだ!」

 そう召喚モンスターに指示を出すと新たなアーツの力を確認する。

名前  ジン

性別  男

種族  夜郷族Lv15

職業  死霊使いLv15


HP  136

MP  119

筋力  26+15(41)

体力  25+19(44)

器用  26+9(35)

精神  28+9(37)

知力  30+7(37)

俊敏  26+3(29)

運   27


種族ポイント  0

スキルポイント 36


グリモワール  収録の魔道書 (グロノス)


武器1     フィルカーズ・サイス

武器2     ピーターの杖

頭      

胴       クランブルアーマー

腕       グランブルガントレット

腰       旅人のポーチ

足       グランブルレガース

靴       旅人の靴

アクセサリー  旅人のマント

アクセサリー  地竜の腕輪

アクセサリー


所持金      12870コル


スキル

武器スキル   【大鎌術Lv8】【杖術Lv3】

魔法スキル   【風魔法Lv5】【土魔法Lv5】【闇魔法Lv9】【呪魔法Lv5】

        【下僕召喚Lv8】【召喚魔法Lv4】

生産スキル   【鍛冶Lv3】【木工Lv2】【調薬Lv1】【皮革Lv1】

        【調理Lv1】【道具Lv1】

補助スキル   【魔書術Lv8】【採取Lv1】【採掘Lv1】【伐採Lv1】

        【鑑定Lv3】【識別Lv4】【召喚Lv2】【罠Lv2】

        【幸運Lv3】【剛力Lv3】【巧みLv3】【速足Lv3】

        【気配察知Lv4】【魔力察知Lv2】

固有スキル   【有形無形Lv4】


称号『始原の魔道』『絶望を乗り越えし者』『ゴブリンキラー』『漫才師の勲章』

  『恐怖を知る者』


収録の魔道書

名称  グロノス

階級  第86中階位

タイプ 万能

能力  【コレクションカードLv4】【カード化】【魔物図鑑】【解体】

    【召喚魔法】【販売】

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