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新人類

気が付けば弓は、ヒラヒラに輝く美しい服をまとって病院の屋上にいた。

「私だけじゃないわよ。私の仲間はほかにもいるんだから」

弓は空を飛んで、別の病室の窓から入る。

そこでは二人の少女がシクシクと泣いていた。

「いやあ……こんな顔はいや!」

「吾平正志……許せない。殺してやる」

泣き喚き、呪詛をはく少女は愛季美香と日岡里子。弓の友人である。

いろいろと複雑な感情はあったが、今の弓にとっては心を共有できる数少ない同士である。

「美香。里子。私に協力しなさい。三人であの悪魔を倒すのよ」

弓がダンスを踊ると、手からステッキが飛び出し、やさしい光が二人に降り注ぐ。

みるみるうちに二人の顔が元に戻っていった。

「あ、あれ?」

「痛みが消えた……」

慌てて包帯を取ってみると、元のかわいらしい顔と活発な美少女のものに戻っている。

『弓!』

『弓ちゃん!ありがとう」

二人は弓にひしと抱きつき、涙を流して感謝した。

二人の頭をなで、弓は優しい声で告げる。

「二人とも。私は女神イザナミ様のお告げを受けて、あの偽救世主を倒さないといけないの。協力してくれる?」

「喜んで!」

二人とも首をコクコクとたてにふった。

「ならいくわよ。『進化光』」

弓のステッキからでる光が、二人を包み込むのだった。

美香と里子の傷つき、疲れ果てた体がどんどん治癒されている。

いつの間にか、二人の体は清らかな光を放っていた。

「女神イザナミよ。私たちにもに力を!」

弓から伝わってきた情報を元に、二人は叫ぶ。

二人の体を覆っていた光は、肌触りのいい柔らかな羽衣に変わっていた。

光が薄れると、中から純白の巫女服に身を包み、ステッキを携えた二人が現れる。

「出来たわ……。これが私達に与えられた力。これであの悪魔とも戦える」

三人は、そのままふわりと宙に浮く。

「私達は『高人類(タカビー)』選ばれし優れた人間」

美香がステッキを振りながら、高らかに宣言した。

「この世界を邪悪に染めようとする『魔人類(デモンズ)』め!まっていなさい!神聖なる巫女である私が必ず倒すわ!」

里子は高らかにステッキを掲げてポーズを決める。

三人はうなずきあうと、テレビ局の方に飛んでいった。


夜の八時になり、正志に乗っ取られたマジテレビから緊急放送が行なわれた。

テーブルには有名キャスターや女子アナウンサーがすわり、特別ゲストとして自ら参加を希望した東京69の星美が参加している。

「皆様、これから始まる放送はやらせでも番組でもありません。昨日は学校中が人質になるという事件が起こり、そして今日はテレビ局が乗っ取られるという史上初の犯罪が起こりました。これは嘘でもなんでもありません。すべて現実に起こっていること、たった一人のテロリストによるものなのです」

キャスターの声が硬い。緊張したように一人の出演者をチラチラと見ている。

「えー、それで、前代未聞のことではありますが、我々を人質にとっているテロリストから、全国に向けて放送するようにと要求がありました。我々はそれを受け、緊急放送をさせていただきます」

緊張して声が震えている。

「それでは、紹介させていただきます」

出演している人物を一人一人紹介するが、全国の視聴者の視線は一人の男に集中している。

「……では、最後に我々を拘束しているテロリスト、『吾平正志』さんです」

キャスターが紹介すると、正志は黙って目礼した。

全国民の視線を一身に浴びている。

「えー。今だかつてこのような事はなかったので私も動揺しております。人質が犯人に直接インタビューするなど……。ですが、勇気をもって質問したいと思います。吾平さん。まず、貴方は何者ですか?」

「私は吾平正志。ただそれだけです。今の私に肩書きなどありません。しかし、それでもあえて言うなら、次の時代に生き残るべき『新人類』の始祖であると言えるでしょう」

正志は淡々と話し始めた。

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154878348


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