テレビ局
「見えてきました。アレが凶悪犯が乗っているヘリコプターです。あっ、高度を下げました」
マスコミが正志の乗ったヘリコプターを追跡している。
ヘリコプターはマジテレビの庭に降りた。
パイロットが真っ先に飛び降り、外に向かって走る。
「さて、ゆっくりとアピールするか。『キングダム』」
正志が呪文を唱えると、地面に光が走り、魔法陣が描かれる。
マジテレビの半径1キロメートルの人間にはソウルウイルスが注入された。
その時、 テレビ局の中は大騒ぎだった。
いきなり今まで報道していた犯罪者が正面から乗り込んできたのである。
「き、君は何をしにここに来たんだね?」
たちまちカメラに取り巻かれる正志に、有名な報道キャスターが問いただす。
「布教活動さ。そして新しい人質がアンタ達だ。ふふ、今まで人様を他人事みたいに報道していたけど、今度はあんた達が当事者だな」
「ふん。馬鹿な事を! いったいどんなヤラセなんだ。人の顔を変えることなんて、できる……わけ……なんだ?!」
ゆっくりとキャスターの首が伸びていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「どうだ?俺の力が嘘でもトリックでもないことを実感したかな?」
いきなりテレビの前で首が伸びた有名キャスターに、正志は冷たく告げる。
「し、信じる!信じるから、元に戻してくれ」
「有名人は辛いな。有名人に呪いをかけると、これを本当の事だと信じる人がどんどん増える。全国の国民に真実を知らせるための犠牲になってくれ」
「ば、ばかな……痛い!苦しい!この体を治してくれ」
泣き喚くキャスターに、周りの者が蜘蛛の子をちらすように逃げ出す。
「ふふ、逃げられんよ。この建物からは出られん」
その言葉の通り、玄関から外に出た者は激痛を感じ、あわてて引き返す。
「ま、ゆっくり話そうぜ。これから『最後の審判ゲーム。第二章』が始まるんだからな」
笑う正志。テレビ局にいる者たちは一転して自分達が報道される側になったことを知り、恐怖に震えた。
テレビ局。
第一スタジオを占領する正志。
「ふむ。このテレビ局には、東京69のメンバーがいるな。全員こちらにこい」
局内をスキャンして超人気アイドルグループが隠れているのを発見し、思念波で命令する。
「い、いや!」
「怖い……」
アイドル達はすでに恐怖に震えている。
「さっさとしろ! 死にたいならすぐにあの世に送ってやるぞ!」
激痛と共に命令されると、皆泣きながら正志の前に集まった。
もちろんその姿も全国に放送されている。すでに視聴率は90%を超えていた。
「そこに四つんばいになれ」
豪華な椅子に腰掛けている正志の命令により、全員がその前に跪く。
正志は一番前にいる少女の背中にどかっと足を放り出し、その上に乗せた。
「お、お願い。何でもするから助けて!」
背中に足を乗せられている少女が泣きながら命乞いをする。
「そういえば、アンタの名は?」
「い、いちおうセンターしている、笹宮星美っていいます。お願い。殺さないで!」
可憐な少女が必死に訴える。
「ふっ。俺にとってはアイドルもそこらの不細工な女も変わらん。人類皆平等さ。だから、お前も助かりたかったら俺に価値を示さないといけない」
「な、なんでもします!」
「まあいい。別に恨みがあるわけじゃないからな。……全国のこの姿を見ている奴等に言っておく。俺のように新人類になれば、昨日まで指をくわえてテレビ越しに見るしかなかったアイドルもこうやって足元にひれ伏させる事ができる。チャンスは平等だ。金も社会的地位も意味はない。ただ自らの決断のみだ。今の社会では生きづらい者、踏みつけにされている者、女の一人すら手に入れられない者に告ぐ。私の元にくれば、新人類に昇格し、すべてを手に入れられるだろう」
魔王のように轟然と呟く。
正志の甘い誘惑に、心を惹かれた者は全国に現れた。
「ほ、本当にこんなことができるんだ……」
『俺、金なし職なし学歴なしだけど……信じれば!正志様のところに行けば!」
テレビの前の満たされない者たちは、目をギラギラさせてその光景を見る。
「ふふ。我々新人類はまさに原始人だ。欲しいものを力ずくで奪う。そこに善悪などありはしない。我々のルールは我々で作っていくのだからな。いわば外敵である人間からは切り取り放題奪い放題だ。進化した者は、土地も女も食料もすきなだけ奪うがいい」
高笑いする正志。
テレビの前の人間の受け取り方は様々だった。
苦しめられているアイドルをみて怒りに震えるファン。彼を犯罪者として嫌悪する一般人。そして、暗い欲望を刺激され、目を輝かせる者たち。
「『最後の審判』ゲームの第二章を始める。ただし、今度は審判を受けるのはお前たち自身だ」
正志はテレビの前にいる者たちに呼びかける。
「私がいるマジテレビまでたどり着け。そこで審判を下す。新人類に昇格したものは、命と生きる権利と次世代に子を為す資格を与えよう。それが出来なかったものは死が与えられる。与えられたチャンスをどう使うか、お前たち次第だ」
その言葉で放送が一旦締めくくられる。
日本中に不穏な空気が立ち込めていた。
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154878348
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