暴露
「なんであんたなんかにそんな事がわかるのよ」
「わかるとも。お前等の精神と直接俺はつながっている。どんな事でもわかるさ。例えば京子は小学生時代、苛めをして女の子を不登校に追い込んだことがあるとかな」
「いい加減な事を言わないでください!」
京子が真っ赤な顔をしてどなる。
「啓馬は昔恐喝で何人も金を巻き上げていたな。立派な犯罪者だ。里子は……ほうほう。家ではBL小説を読み漁っている変態だな。くくく、他にも言ってやろうか? 」
周囲が今度こそ恐怖に染まる。誰もが知られたくない秘密をばらされるのではと動揺する。
「ついでに言うと、元兄貴の正人は既に俺の罰を受けて、昨日入院した。弓、残念だったな。あいつは一生寝たきりで、プロ野球選手なんかに絶対なれないな。まあでも、弓が自分の人生をかけてせいぜい面倒を見てやればいいだろう。愛しているんだろ?相手がイモムシになったからって見捨てちゃダメだよな」
悪魔の表情で哄笑すると、全員に正志の家族の状態のイメージが伝わってきた。
「ひでえ……」
「普通、自分の家族にあんなことをする?」
容赦のない正志に、改めて恐れを感じるクラスメイトたち。
「あんた……なんてことするのよ」
弓の脳内にリビングに転がる正人の映像が伝わってくる。正志の言葉が真実だと悟り、泣き崩れる弓。
「ふふ、この女を犠牲にしてごまかそうと思ったんだろうが、残念だったな。ご褒美をあげよう」
すっと手を上げて下ろすと、生徒達は周囲が急に暗くなったような気がした。
「なに?なんなの!!なんで暗くなったのよ」
美香がいつもの余裕を失い、喚いている。
「暗くなってなんかないさ。目の機能を停止させただけだ。」
正志の言葉にパニックになり、滅茶苦茶に動き回るクラスメイトたち。
「なんてこと……」
「目が見えないなんていやだ。お願い……助けて……許して……」
理沙が手探りで正志にすがり付くが、正志に蹴飛ばされて床に転がる。
「こういう事もできるってことだ。安心しろ。こんなつまらん復讐程度では満足できないから、元に戻してやる」
パチンと手を叩くと、皆に視力が戻った。
「ま、今のように、俺はいつでもお前等の体をどうにでも出来る。どんなに離れていてもな。逃げられると思ったら大間違いだ。どうなるか……まあ試してみろよ。自殺すらできない生き地獄に叩き落してやるから」
暗い笑いを浮かべる正志。周囲は本物の悪魔の笑顔をみた気がした。
「それじゃあな。俺は校長室にいるから。また何か面白い事を思いついたら呼びに来い。事と次第によっては、俺の許しを得て解放されるからもしれないぞ。せいぜい俺を楽しませてくれ」
そういって教室を出て行く正志。
後には呆然とするクラスメイトたちが取り残されていた。
校長室