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媚びへつらい

「お・おかえりなさい。私たちから話があるの」

いつもの見下した表情ではなく、引きつった笑顔を浮かべているが、内心は恐怖に震えていた。

「話?俺にはないがな」

冷たく付き放す正志だったが、弓に取りすがられる。

「そ、そんな事言わないで。あれから、私達も反省したの。考えてみたら、私たちも悪かったとこもあるわ。今後、苛めもやめるし、昔みたいに友達になってあげるから、皆にかけた呪いをといて。お願い」

手を前に合わせて正志に訴える。

「はあ?悪かったところもある?苛めもやめてあげる?おまけに友達になってあげるだと?どれだけ上から目線なんだよ。というか、お前,俺なんか幼馴染じゃないんだと必死に言いまくってたじゃん。今更何言い出すんだよ」

楽しそうに言う。この期に及んでプライドを捨てきれない謝罪をする弓が滑稽でならなかった。


「そんな事言わないでください。それに、弓さんが今後あなたの彼女になってくれるみたいですわよ」

井上京子が上品な顔に卑しい笑いを貼り付けて言う。彼女からは、自分以外の者が犠牲になるなら、どうでもいいという気持ちが伝わってくる。

「ち・・ちょっと」

「照れない照れない。みんなも、二人がお似合いだと思うよね」

周囲から拍手が起こると、弓は泣きそうな顔になった。

「ふふ……彼女か。面白い。そういや、初恋の相手でもあったな」

正志はあえてそれに乗った振りをして、にやりと笑う。

それを見て、クラスメイトたちは成功を確信した。

「はは、決まりだね!皆拍手~。二人の幸せな未来を祝福しようよ~」

里美が作り笑いを浮かべてはやし立てると、周囲は安堵したような顔をして拍手する。

(い、いや!こんな奴と付き合うなんて。誰か助けて……)

弓はそれをみて絶望の表情を浮かべた。

「ね、ねえ。だから、私達にかけた変な呪いを解いてください」

山崎美沙が媚びるような声で正志に話しかけるが。しばらくたっても正志は沈黙したままだった。

沈黙したままニヤニヤしている正志をみて、痺れを切らした光利が声を荒げる。

「何とか言えよ。俺らが許してやるって言ってんだよ!」

たった数分の我慢もできない彼の幼稚さに、さすがの正志も呆れてしまった。

「まったく……。予想通りだが醜いものだな。ふふふ、だが断る。こんな女、今の俺の彼女になる資格はない」

しばらく間をおいてから返答する正志。

「なんでよ」

「贅沢言うなよ。ナメクジのくせに」

その言葉を聞いて弓は安堵するが、他のクラスメイトは罵声を投げかける。

「なぜなら、こいつは既に俺の元兄である正人の女だからさ。誰かのお下がりをもらうほど、俺は安い男じゃないんでね。弓など、腐臭を放つゴミにしか見えんよ」

周囲がどよめくと、弓が顔を真っ赤にして言い返した。

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