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ラディオル

 国立図書館は三階建ての極めて近代的な建物だった。

 庶民の家のほとんどは未だに灯りにランプを使っているこの国にあって、館内の全ての空間に電気による照明がついているこの施設のような存在は稀だった。夜でも昼のように明るくすることができる電気の照明を使っているからか、国立図書館はいつもかなり遅い時間まで開館している。学院の授業もあり、いつも夕暮れを過ぎないと図書館が利用できないリーシャにとっては非常に有り難い話だった。もしもこの電気の照明というものがなかったなら、リーシャはせっかくのこの国いちばんの大図書館の恩恵を、ほとんど学問に生かすことはできなかっただろう。

 国立図書館に入ると、アリシェイルは真っ先に物語本や遊戯本の並んだ区画に向かっていったが、リーシャは彼女とは反対に歴史関係の書物が並んだ書架に向けて歩を進めていった。図書館には新聞社が発行する日刊新聞や週刊、月刊の雑誌なども保管されているが、そうしたものは全て歴史の書架に保管されているのだ。昨日起きた出来事も、数年も経てば歴史の一部になる、ということなのかもしれない。

 リーシャは書架に歩み寄ると、まず最初にリラナに聞いた、マアラが失踪した日の翌々日の日付の新聞を一部、棚から抜き出した。リラナの言葉が真実なら、この日の新聞には必ずマアラが失踪したことを報じる記事が掲載されているはずだ。リーシャは閲覧台までその新聞を持っていくと、端々まで丹念に読みながら記事を探していった。

「――あった」

 リーシャは思わず、小さく呟いていた。隅のほうだが、確かに小さく、記事が出ている。マアラの名前も年齢も、顔を映した写真も掲載されていた。写真はおそらく、施設にいた頃に撮られたものだろう。写真機は高価で、写真スタジオでもなければまず所持していないが、リーシャは施設にいた頃に一度だけ、写真というものを撮られたことがあった。院長の知人が何かの用事で孤児院を訪ねてきた時に、写真師だというその知人が好意で撮ってくれたのだ。リーシャはその時に生まれて初めて写真というものを撮られて、現像した写真というものも見ることになった。写真に写った自分というものに何とも不思議な感じがしたのをリーシャは今でも覚えている。マアラも、確かその時に写真を撮ってもらっていたはずだ。この写真はその時のものだろう。マアラが自分の手許で保管していた写真を、リラナが新聞社の記者に提供したに違いない。

 記事にはリラナの言葉がほとんどそのまま記されていた。施設から突然、いなくなったことがやけに強調されている。失踪したことを記事にしているのに扱いが小さいのは、おそらくこの記事を書いた記者も、マアラの失踪は夜遊びの果ての事故か事件であって、本人の浅慮が招いた事態だと考えているからなのだろう。そうでないのなら、記事はもっと大々的なものになっていておかしくはないし、それならきっと、自分が記事を見落とすようなことはなかったはずだ。

 もっともマアラの記事がたとえ一面の政治報道を押しのけて大々的に掲載されていたとしても、状況は今と何も変わらなかっただろう。もしもそうなっていたら、リーシャはマアラが失踪した事実にもっと早く気づけていたはずだが、マアラの失踪の事実からエリシア王国の作家に彼女の作品が盗まれたことを知ることはできない。そもそもリーシャがレイムから原稿の翻訳を任されることがなかったなら、リーシャはこの記事を見ても何も考えはしなかったはずだ。リーシャは単純にマアラの失踪の事実だけを知り、マアラの無事を祈りつつ忙しなく過ぎていく日常に忙殺される、今もそんな日々を送っていただろう。

 新聞記事からは、マアラの行方は探れそうになかった。元より、リーシャもあまり期待はしていない。記者はリラナから受けた連絡を基に記事を書いたはずだから、リラナが知りえないことは記者も知らないはずだ。

 それでも、リーシャは記事の末尾に記された、この記事を書いた記者の名前だけは手帳に控えておいた。ラディオルという記者がこの記事は執筆したらしい。名前からすると男性のようだ。明日にでも、学院の帰りにこの記者を訪ねてみようかと思う。施設とは無関係の彼が、マアラの失踪について当時どう考えていたのか、それを知りたかった。

 新聞を元通り棚に戻すと、次にリーシャが向かったのは外国の書物ばかりを集めた区画だった。新聞も保管されている歴史の書架とは異なり、こちらは建物の三階の閲覧室にある。そこまで階段を上って閲覧室に入った。

 閲覧室は閑散としていた。物語本など、気軽に楽しめる読み物も収めた、一階とは比較にならないほど少ない。それも当然かもしれなかった。三階の閲覧室に収められている書物はどれもこの国の言語で書かれたものではない。物語本や詩集も揃っているが、全て外国の書き手が書いたものなのだ。誰もが気軽に読める本などないのだから、利用者が少なくて当たり前だろう。

 それでリーシャは人気のない室内を歩いて、物語本の収められた書架に近づいていった。棚に並んだ書名を眺めながら歩くと、すぐに探していた書物が見つかる。著者名としてディルム・エルファスという名前が確認できた。書名は間違いなく自分に預けられた原稿と同じものだった。自分が翻訳を任された作品が、ここにある。この国では未だ売られていない本だが、エリシア王国では三年も前に出版されているのだから、外国の本だけを集めたこの書架には、保管されていても不思議はない。

 その書物を書架から抜き出した。裏表紙をめくってみる。この国では裏表紙の裏に、本を書いた著者の名前と最初に発行した年、それになんという書籍商人がどこの印刷所で刷ったのかまでが記されているのが普通だった。よって、それを見れば誰でもその書籍商人を経由して著者に連絡をとることが可能で、それでリーシャは期待を込めて裏表紙をめくったのだが、残念ながら落胆しか訪れてくれなかった。どうやらエリシア王国には、そうした習慣はないらしい。そんな記述はどこにも見当たらなかった。著者名は、表紙と背表紙に書かれているだけで、これでは著者が現時点でどこにいるのか、リーシャには知りようがない。連絡をとる手段もない。

 ――旦那様にお願いしても、無理よね、絶対。

 当然だろう。レイムは単に翻訳出版の権利を買っただけだ。彼がその際に著者が若い男であると知ったのは偶然のことで、権利を売ったエリシアの書籍商人に著者に会わせろと要求することなんかできない。リーシャが三年前にあの孤児院のマアラの許で、あの物語を読んでいたことなど、証明することはできないのだから、そのことを盾にとって書籍商人を訴えることもまた、できなかった。下手なことを言えば、リーシャのほうが根拠もなく他国の書き手を侮辱したと受け取られ、逆に訴えられてしまう。

 ――なら、やっぱりなんとしてでも、マアラを捜し出すしかないんだわ。

 それしか今の自分にできることはなさそうだった。著者を直接、問い質すことができないのならば、なんとしてでもマアラを見つけて、彼女に訊くしかない。あの物語がなぜディルム・エルファスなる男の名で出版されることになったのか、マアラなら全ての経緯を知っているはずだ。


 翌日、リーシャは学院の授業が終わると、さっそく院内の電話ボックスから新聞社に電話をかけた。

 電話は高級品だ。ほとんどの者は自宅に電話など持っていないし、誰でも硬貨さえ落としこめば使える電話ボックスだってそうどこにでもはない。レイムは自宅に電話室を設けているが、それは彼が大商人だからだ。電話を所有できるのはよほどの富豪か、大きな商家と相場は決まっている。その電話が、新聞社にはあるらしいことをリーシャは当の新聞で読んで知っていた。新聞には、その新聞を発行している新聞社の電話番号というものが記載されている。新聞の記事にしてほしいものがある者は、その電話番号というものを使って新聞社に電話をかけ、記者に連絡をして代金を払い、記事を書いてもらって掲載してもらうのだ。今まで使ったことのない新聞社の電話番号だったが、今回初めてその電話番号というものを使ってみることにした。リーシャは朝、家を出る前にレイムに頼んで手帳に書き写させてもらった新聞社の電話番号を見ながら、電話ボックスの電話機に硬貨を入れ、かつてアリシェイルに教えてもらった通りにダイヤルを回していく。ひどく緊張した。そもそもリーシャは普段、電話なんて使ったことがない。遠方の者に連絡をするのは専ら手紙か電報だった。しかし今は、慣れないこの電話に頼るしかない。手紙や電報では、届くまでに時間がかかるし、相手が見知らぬ人間であることを考えると、いつ返事をもらえるものかも分からなかった。電話なら、機械越しとはいえ直接話ができるぶん、無為に時間だけを浪費することはないだろう。

 ダイヤルを回し終えると、耳に当てた受話器から何やら機械的な音が響いてきた。正しくダイヤルを回せれば、呼び出し音というものが受話器から聞こえてくるはずだ。これがその音だと、そう信じたい。

 リーシャが呼び出し音だと信じたい機械的な音は、すぐにやんだ。それと同時に女性の声が耳もとに聞こえてくる。リーシャは安堵で思わず全身の力が抜けそうになった。どうやら自分は、無事に電話をかけることができたらしい。女性が放ってきた言葉は、間違いなくリーシャが電話をかけようとしていた、当の新聞社の名前だった。

 リーシャは受話器を握りしめ、応対にでた女性にラディオルという記者に繋いでほしいと頼んだ。女性が、少々お待ちくださいと告げると、再び機械的な音が響いてくる。今度は呼び出し音よりも長いあいだ音が続き、そして唐突に止んだ。見知らぬ男の声が耳に直接、響いてきた。

「はい。私が記者のラディオルですが」

 その途端にリーシャは再び緊張した。慌てて自分の身元と、なぜ電話をかけようと思ったのかを簡潔に伝える。マアラが失踪したことを記事にした記者に、その当時感じていたことを教えてもらいたいのだと伝えた。

 するとラディオルという記者は即答してきた。

「分かりました、いいですよ。リーシャさん、ですね?差し支えがなければ、これからすぐにお会いしましょうか?今日でしたら、リーシャさんのほうでこちらに来ていただけるのでしたら、リーシャさんの都合のいい時間に合わせて私は時間を空けてあげられますが」

「有り難うございます。今日で大丈夫です。これからすぐにそちらに伺わせていただきます」

 リーシャは緊張に若干声を上擦らせながらラディオルに対して礼を述べ、おおよその訪問時刻を伝えた。すると受話器の向こうから彼の了承する言葉が聞こえてくる。彼は非常に事務的な感じでリーシャの言葉を復唱していたが、自らの言葉を終えると、ふいに苦笑し、極めて軽い感じの口調に改めてからこちらに語りかけてきた。意識的なものだと、すぐに分かった。

「リーシャさん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。電話も新聞社も、そんなに怖いものじゃないからね」

 は、はい。リーシャは焦って頷いた。目の前にあるのは電話機だというのに、思わず頭を下げてしまう。するとその瞬間、まるでその様子を見ていたかのように電話は切れ、受話器からは何も聞こえなくなった。


「君がリーシャさんだね?」

 リーシャはそう訊ねられて、大きく頷いてみせた。

 リーシャが約束通りの時刻に新聞社まで行くと、受付という場所にいた若い女性に応接室まで通された。受付の女性の声は、先ほど電話で聞いた声と同じものだった。自分がかけた電話は、この女性の手許に繋がっていたのだと、それで初めて分かった。

 新聞社の応接室は意外なほど簡素な部屋だった。孤児院を訪ねた時にリラナと話した応接室も簡素で飾り気の少ない部屋だったが、新聞社の応接室もまた同様で、どちらかといえば殺風景な感じさえする。もっとも全く何の装飾もないわけではなかった。壁際の飾り棚には花瓶があって花が活けられていたし、壁にはどこかの風景を描いた絵が、きちんと額縁に収められて飾られている。新聞社というものは、来客を迎えることも多いのかなとふとそう思った。だから日常的に飾りつけにはそれなりに気を配っているのかもしれない。

 応接室に案内されて、一人で静かにラディオルという記者を待っていると、しばらくして一人の若い男が室内に入ってきた。若いといってもリーシャよりはずっと年上の男性だ。おそらく二十代か、あるいは三十歳くらいに見える。彼は室内に入ってくるなりリーシャにそう言って身元を訊ねてきた。それでリーシャは彼に王立学院の学生証を提示する。すると、男は目を見開いてその学生証を眺めだした。

「へえ、君は王立学院の学生さんか。すごいね、若いのに。私の周りには大勢いるんだよ。王立学院を受験して、落ちた人。その若さで王立学院の学生なら、君の将来は有望だ」

「あの、貴方が、ラディオルさん、なんですか?」

 そうだよ。男は屈託ない顔で笑った。まるで友人と話しているような、実に親しみやすそうな笑顔だった。意識してそういう表情を心がけているのだろう。思えば室内に入ってきた時からずっと口調は砕けている。たぶんこれが彼なりのリーシャへの気遣いなのだと、リーシャはそう思った。形式的な応対をするよりも少し砕けた物言いをしたほうが、リーシャのような少女は気楽に話せるかもしれないと考えてくれているのかもしれない。

「紹介が遅れてしまったね。私はこういう者です」

 男は上着の懐から小さなケースのようなものを取り出して、何か小さな紙片のようなものをリーシャに渡してきた。リーシャはその紙片に視線を落とした。新聞社の名前と、社章。それにラディオルという名前と、肩書きらしきものが印刷されている。名刺というものだとリーシャは直感で分かった。レイムの書斎には、こういう名刺が、専用の棚のなかに山のように収まっている。

 リーシャはその名刺を手に持ったまま、ラディオルに向き直った。

「あの、私が今日、ここに来たのは、ラディオルさんに訊きたいことがあるからなんです」

「分かってるよ。電話でも言っていたよね。三年前に突然、孤児院から失踪したマアラという女の子のことが聞きたいって」

 リーシャは頷いた。

「そうです。マアラが失踪したこと、記事にしたのは貴方ですよね?」

 ラディオルも頷いてきた。

「そうだよ。あの失踪のことはよく覚えてる。ちょっと印象深い出来事だったからね」

「その時、貴方は彼女が失踪したことをどんなふうに感じましたか?」

 言ってしまってから、リーシャはかなり大雑把な訊ね方をしたことを少し後悔したが、ラディオルはそんな訊ね方をしても、少しも考えた様子もなく答えてくれた。

「どんなふうに、か?――そうだね、少し、というより、かなり奇妙な事件だと思ったよ」

 奇妙な事件。リーシャはラディオルのその言葉にひっかかるものを感じた。

「奇妙、というと、どんなところを奇妙に思われたんですか?」

「まず、マアラという女の子が施設の、自らの居室の窓から夜中に密かに抜け出したという点が奇妙だった。君は彼女と同じ施設で暮らしたことがあったんだよね?それなら私が何を言いたいのか、すぐに理解してもらえるかもしれない。彼女の部屋は施設の二階にある。つまり彼女が窓を使って外に出ようと思えば、飛び下りるか、窓辺からロープか何かを垂らして伝い降りるか、さもなければ庭木に枝伝いに移るしかない。どれもかなり不自然な、無茶な外出の仕方だ。なぜ彼女にそこまでして、深夜に密かに外に出なければならない必要があったのだろう?」

「夜遊びのため、ではないんですか?」

 リーシャは首を傾げた。リーシャはラディオルとは異なり特に何の疑問も抱かなかった。リーシャにとってはラディオルの疑問のほうが疑問でもある。確かに、あの部屋は二階にあるから、窓から外に出るのにはかなりの危険が伴う。しかし深夜外出を目論む子供たちにとっては、その危険こそが大きな目的なのだ。

「孤児院にも規則というものがありますし、違反すれば叱責されてしまいます。その規則で外出できる場所も、できる時間も決まっていますから、どうしてもその時間以外に外に出たいと思ったら、人目を避けないといけません。けど人知れず外出できるような手段はそれほど多くありませんし、その手段はどれも多少なりとも危険なものばかりです。ですが夜遊びに行こうとするような子供たちは誰もがそんなことは承知しています。というより、その危険な外出方法に伴う緊張感を体験するということも目的のひとつなんですから。貴方は、そうは考えられなかったのですか?」

「考えたよ、勿論。私も最初はそう思った。だから記事もあえて小さくした。夜遊びが理由の、一時的な外出なら、あまりに仰々しく騒ぐと、後でマアラさんが気まずい思いをするんじゃないかと思ったからね。けど――」

 ラディオルはそこでいったん言葉を切った。

「それで外に出たとしたら、街で彼女を見た者が誰もいないというのは、どう考えても妙だった」

「誰も、いない?」

 ラディオルは頷いた。

「私は孤児院の副院長からマアラさんの失踪のことを聞かされて、そのことを記事にしてから、時間の空いた時にはできるだけマアラさんのことを捜してみた。こういうこと言うと、あまりいい気分はしないだろうけど、そういう無断外出をするような子供が向かう場所って、あまり健全なところはないからね。だからそういう申し出があったら、私はできるだけ記事を書くだけじゃなく、積極的に子供本人も捜すことにしている。――まあ、子供が心配だから、というのは正直建前だけどね。子供が消えた辺りを集中的に捜索すれば、稀にその過程で、けっこういい掘り出し物が見つかることがあるから」

「けど捜してみたら、外に出たはずのマアラを目撃した人は、誰もいなかった、ということですか?」

 リーシャは静かに言葉を紡ぎ、彼の言葉を補足した。リーシャはラディオルの言葉の言外の意味を悟っていたが、特に言い返したりはしなかった。もしもそれで彼がマアラを見つけることができていたら、いまリーシャがここにいることもなかったはずだからだ。

「そう。マアラさんが外に出たとされている時間帯は、もう公共の乗り物が動いている時間じゃない。彼女が夜遊びのつもりでちょっと外に出ただけであるならば、あの孤児院から徒歩で行ける範囲のところに行ったはずだ。それも、陽が昇る前に戻ってこられる場所でないといけない。そうでないと見つかってしまうからね。すると彼女が夜遊びを目的に外出したとしたら、彼女が行くような歓楽街は一か所しかないことになる。ところがその街をどれほど隈なく歩きまわっても、彼女の姿を見た者は誰一人としていなかったんだ。そうなると、マアラさんが本当に深夜に施設の外に出たのかということすら、怪しく思えてくる」

「隠している、ということはないのですか?マアラが行った店が、例えば違法に商いをしているような店だったとしたら・・」

「それは勿論考えられるけど、そうだとしても私にはどうしても疑問が残るな。そもそもマアラさんには普段から、こっそり施設を抜け出して深夜に歓楽街に遊びに行くようなことがあったんだろうか?」

 リーシャは首を振った。

「私が知る限りではありません。私は四つの頃から彼女とはずっと同じ部屋で暮らしてきましたけれど、彼女の興味や関心は、ほとんど文芸にあったんです。物語を読んだり、書いたり、そういうことが好きでした。空き時間もいつも机に向かっていて、無断で外出したところなんか見たことがなかったです」

 言いながらリーシャは、そもそも女の子には深夜の歓楽街で遊べる場所なんてないかもしれないと思うようになってきた。あの孤児院では施設内の労働が、自立援助の名の下に子供たちに割り振られ、行った仕事の量に応じて小遣いという名の賃金が貰えることになっているが、その金額はそれほど高くはない。金銭があっても使えるところも買える物も限られているし、ほとんどの子供はあまり値の張らない玩具やちょっとした菓子を買うぐらいしかできなかった。そして、深夜に歓楽街で営業しているような店はたいてい酒場か賭場、さもなければ遊女宿だ。マアラは女なのだから遊女宿になんか行くはずがない。酒は高額だし、賭博だって、自分たちに与えられていた小遣い程度では賭け金はかなり限られてくる。ほとんど楽しめないだろう。なによりマアラにそんな趣味はなかったはずだ。そして酒にも賭博にも女遊びにも興味がなければ深夜の歓楽街なんか、行っても楽しいものは何もないのではないか。そもそも施設の子供たちが深夜にこっそり赴く場所など、普通は歓楽街ではなくごく近所の遊び場だ。肝試しと称してできるだけ闇の深い場所にある廃屋まで行き、探検感覚で散策するのが常で、リーシャもそうだった。歓楽街まで足を伸ばす子供なんか滅多にいなかったはずだし、いたとしても行くのはたいてい、比較的安い酒を売ってくれる露店で、好奇心のある者が味見程度に飲酒するだけで、概ねすぐに帰ってきた。

 なるほどね、とラディオルはリーシャの言葉に何かを納得したような顔になった。

「そうなるとひょっとしたらこういうことも考えられるんじゃないかな。マアラさんはそもそも、無断で外出なんかしていない、と」

「ならマアラはどこに行ったというんです。まさか」

 リーシャは背筋に冷やりとしたものを感じた。

「貴方はまさか、誘拐、されたというんですか?マアラが、孤児院で?」

 ラディオルは頷いた。

「そういうことも考えられるんじゃないかと私は思っている。マアラさんは孤児院で誰かに連れ去られたんじゃないかとね。確証のあることではないから、安易に記事にするわけにはいかないけど。証拠もなしに犯罪の疑惑なんか書けば、君のいた孤児院から訴えられてしまうから。そうなったら裁判で、私に勝ち目はないし」

 リーシャは息を呑んだ。

「・・どんな確証が、あったらラディオルさんは記事を書いたんですか?」

 リーシャは思わずそう訊ねていた。マアラの物語が他人に盗まれたことを知っているリーシャにとっては、ラディオルの推測は決して無視できないものだった。孤児院の人間がマアラをどうにかしてしまったなどとは思えなくても、あの物語がマアラごと、誰かに奪われた可能性は充分にあると思えた。

「どんな?――そうだね」

 ラディオルは、リーシャの問いに僅かに考えるようにしてから、口を開いてきた。

「・・たとえば、何か具体的な証言があったら書いたかな。彼女が自分の意思で施設を出たわけではないことを、噂であったとしても証言してくれる人間がいたら、私は記事にしていたかもしれない。なんでもいい、何か疑惑があれば、記事は単なる中傷文にはならないからね」

「――それなら、あるかもしれません」

 リーシャが思わず呟くと、今度はラディオルのほうが息を呑んだようにした。

「ある?どんな?」

 ラディオルはリーシャが予想した以上の大きな興味を全身で表してきた。あまりの反応の大きさに、リーシャは思わず後込みしてしまう。しかしこうなったら全てを語っておいたほうがいいかもしれないと思い直して、口を開いた。

 リーシャは今までの経緯を全て、目の前の記者に話して聞かせた。エリシア王国のディルム・エルファスという作家の書いた物語が、マアラの書いていた物語とそっくり同じものであることを。


「――そうか」

 リーシャが話し終えると、ラディオルはしばし唖然としたような表情を浮かべていたが、やがて何かを考え込むような顔になると、溜息とともに神妙にそう呟いた。

「君が翻訳を任されたというその物語は、確かにマアラさんが失踪前に書いていた物語と同じものなのか?」

 確かに間違いないのかと確認するような口調だった。リーシャは頷く。間違いありません、と答えた。

「同じものです。言葉や慣習の違いからくる表現の差異が若干、見られますけれど、そうでなければ全く同じ内容だったはずです。こんなことは偶然では起こり得ません。ごく一部が重なっているだけなら、偶然に同じことを考えた者がいただけだという可能性もありますけれど、全てが完全に同じであれば、盗作と判断するのが当然だと思います。ディルム・エルファスという作家はほぼ間違いなく、マアラの作品を盗んだんです」

 断言すると、ラディオルはなぜか目に見えて狼狽した様子を見せ始めた。かなり動揺しているらしいことがその表情から窺い知れる。あまりにも急激な様子の変化にリーシャは訝しく思ったが、そのことを訊ねるよりも前にラディオルに問い質されて、リーシャは口を噤んでしまった。

「君はそのことを、誰かに言ったか?たとえば、そもそも君にその作品の翻訳を依頼してきた人とかに」

 言ってません、リーシャは首を振った。

「ラディオルさんが初めてです。簡単に口にできることではありませんから。私がマアラの許でマアラの作品を読んだ時、マアラはまだあの作品を書籍として出版してはいなかったんです。未発表作品でしたから、エリシアで出版された本と同じ内容の作品が、出版前に本の著者とされている人物とは別人の手許にあったと主張しても、それを証明できません。ましてやマアラの場合は、書いた本人の行方が分からなくなっているんですから」

「――下手なことを言えば、単なる難癖と受け止められる、著者を不当に侮辱したとされて逆に訴えられるから、恐ろしくてまだ誰にも言えていない?」

 ラディオルに自分の言葉を補足されてリーシャは頷いた。すると彼はなぜか安堵したような表情で微笑んでくる。

「賢いね。やっぱりさすがは王立学院の学生さんだ。私もそうしたほうが賢明だと思うよ。証拠がないなかで下手に告発なんかしたら証言自体が疑われてしまう。そして一度疑われたら、次はもう何を言っても信用されなくなるからね。告発するのは全ての証拠が揃った、いちばん最後だ。それは鉄則だよ」

「なら、どうすれば私は証拠を得られるでしょうか?エリシアまで、直接著者に会いに行くこともできませんし」

「そうだね。いちばん確実なのは、やっぱりマアラさんを見つけることかな。彼女を見つけて、自分の作品をどうしたのか聞くことがいちばん早くて確実だと思う。けどたぶん、それは難しいだろうね。なにしろ三年も行方不明でいる人だから、今から捜しても簡単には見つからないと思うし」

 それを聞くと、リーシャの心は重く沈んでいった。三年間行方不明、という事実が重い。それほど長い間、いっさい消息の分からなかった人間を、今から捜し出すなんてことができるのだろうか。しかもマアラは誘拐されたかもしれないのだ。彼女が自分の意思で失踪したわけではないのなら、今もなおマアラが無事でいるという可能性は、とても低いのではないか。

「――今からそんなに悲観しないほうがいいと思うよ」

 優しげな声で呼びかけられて、リーシャは再びラディオルを見つめた。彼はいかにもこちらを安心させるような優しげな微笑みを浮かべて、リーシャを見つめている。

「私の知っている例では、失踪して十年後に無事に見つかった人もいる。マアラさんは三年だ。まだ諦めるべきじゃないよ」

 そうだろうか。その人は単に運が良かっただけなのではないか。あるいは自分から行方を眩ましていただけだったのではないか。リーシャにはそう思えたが、しかし口には出さなかった。口にすればどんどん悪いほうへと想像が膨らんでいくように思えたからだ。かつて毎日のように見ていたマアラの笑顔が、彼女の才能が、人知れず不当に奪われていたなんて、そんなことは考えたくもない。

「――ああ、もうかなり暗くなってきたな」

 ふいにラディオルは窓の外に視線を向けた。唐突な感じで声を上げる彼につられてリーシャも窓の外を見る。確かに空はもう半分以上が夜の色に染まっていた。

「すっかり遅い時間になってしまったね。車を出すから、家まで送ってあげるよ。今日はもう帰りなさい。リーシャさんはどの辺りに住んでいるのかな?」

「ええと、タラス地区に・・」

 リーシャは半ば戸惑いながらもそう応じた。なぜだか急に話を切り上げられたような感じがしたが、ラディオルの様子に特に変わったところは見られなかった。彼は意外なことを聞いたように目を見開いてくる。

「タラス地区?へえ、あんな高級住宅地に。じゃあ、君は志生さんかな?それなら先に君の寄宿先に連絡したほうがいいよね。君の帰りが遅いことを心配しているかもしれないし」

「いえ、大丈夫です。私の帰りが遅くなるのは、いつものことですから。それに旦那様の御邸は、ここからそれほど遠くありませんし、陽が落ちてからでも充分、一人で歩いて帰れますから」

 答えながらもリーシャはなぜラディオルが急に、強引ともいえる感じで話を終わらせたのか、気になっていた。

 ――何か、会話を続けていたら困ることでも、あったかしら・・?


 あの物語を書いたのはマアラさんだったのか。

 ラディオルは自分で言ったとおりにリーシャを寄宿先まで車で送り届けると、人通りの少ない路地まで車を走らせてから路傍に停車した。それから後部座席に手を伸ばして、座席に置いておいた鞄を手許に引き寄せる。中から一枚の写真を引っ張り出した。三年前に自らが書いた記事に添えた、マアラという少女の写真だ。

 生きていれば彼女は現在、十八歳になっている。この写真を撮った時はまだ十四歳だったはずだ。大人びた表情をしているが、顔にはまだあどけなさが残っている。誰がどこからどう見たって子供だった。なのにそんな子供が今もなお、どこでどうしているか分かっていない。そんなことは断じてあってはならなかった。ラディオルは憤りを感じる。なんとしてでも彼女を無事な姿で見つけ出さねばならない。

 ――彼女が姿を消した理由が、盗作の件と無関係ということはないだろう。

 ラディオルは今や確信していた。三年前にあの孤児院の副院長であるリラナから連絡を受けた時には、本当に単純に夜遊びの末の事故か何かだと思っていた。しかし今日、リーシャの口からあの物語が彼女のものであったことを知った今となっては、そんなことはありえないと断言できる。そもそも彼女はあの年の冬には施設を退所することが決まっていたのではないか。夜中に遊びたいのであれば、施設を出てからいくらでも遊べばいいはずで、あの時期にわざわざ窓から抜け出してまで外出するなど妙だ。彼女が姿を消したのが、エリシアであの本が出た直後といっていい頃のことであることを思うと、なおさら彼女の失踪には彼女の意思が感じられない。人の作品を盗んで本を出したら、その直後に本当の作者が失踪したなど偶然が過ぎるだろう。彼女は姿を消したのではなく消されたと考えるべきだ。あの作品が盗作であることが発覚しないよう、彼女がそのことに気づく前に彼女の存在を消した者がいるのだ。

 いたたまれなくなって、ラディオルは思わず俯いてしまった。三年前に人知れずそんなことが行われていたとしたら、いったい自分がしたことは、なんだったというのか。

 しかし今さら過去を悔いても、もう時を戻すことはできない。過去を現在にはできないのだ。ならば全てを知った今、自分にできることはもはや償うことだけだろう。なんとしてでもマアラを無事な姿で見つけ、公の場で謝罪し真実を告白する。自分にできることはそれしかない。

 ラディオルは写真を鞄に戻すと、リーシャが寄宿している邸のほうを振り返った。すでに邸の姿は見えなくなっているが、どこにあるのかは彼の記憶に残っている。

 ――リーシャさん、ごめん。あと少しだけ待ってくれ。

 ラディオルは心のなかで、今日会ったばかりの少女に呼びかけた。十五歳にしては大人っぽい、知的で端整な美貌が、今も彼の心に焼きついている。

 マアラさんは必ず、私が見つけてあげるから。


リーシャは邸の自分の部屋に戻ると、一気に疲れた気分で寝台に倒れ込んだ。侍女たちの意味深な目線が堪える。彼女たちはおそらく、レイムが帰宅してきたら真っ先に彼に報告するだろう。リーシャが見知らぬ男の車で帰宅してきたことを。そのことについてレイムに問い質されることを思うと今から頭が痛かった。いったい彼にどう説明すればいいのだろう。

 ――だから、送ってくれなくていいって言ったのに。

 思わず愚痴りたくなってくる。しかし無論、ラディオルに悪意は全くないのだ。彼は純粋に単なる善意で、自分を送ってくれたにすぎない。そのはずだ。彼は暗いなかを若い女の子が一人で歩いて帰るのは物騒だと心配したのだろう。だからリーシャとしても文句は言いにくかったのだが、少しは自分が帰ってからのことも察してほしかった。十五の娘が男と車で帰宅すれば、周囲にどう思われるかぐらいは理解してほしい。

 勿論、レイムはリーシャが自分の知らない男と帰宅してきたことぐらい、なんとも思わないだろう。防犯のためにも自宅に自分の知らない人物が来たとなれば、それが誰なのか確認しようとするだろうが、それが志生の知り合いであれば気にも留めないはずだ。自分はレイムの娘でもなんでもなく、あと一年もすればこの邸から出て行くことが確定している。たとえ恋人だと言ったとしたって笑顔で恋の進展を応援してるとか言われるだけだ。むしろそう言ったほうが未だ事情を話していないレイムは納得させやすいかもしれない。しかしリーシャにとってそんなことは本意ではなかった。何が悲しくて今日会ったばかりで次に会うことはおそらくないだろう男と恋仲と思われなければならないのだろう。

 ――マアラは誘拐されたかもしれない。

 気を紛らわすためにもリーシャは今日会ったばかりのラディオルの推測を繰り返し反芻してみた。ラディオルはマアラの失踪を、マアラの自発的なものと受け取ってはいなかった。

 そもそも今日、自分がわざわざ新聞社まで赴いたのは、ラディオルがマアラの失踪のことをどう感じているか、彼の考えを確認するためだったのだから、彼の意思が明確に分かった以上は目的は果たせたと言える。だがそのことで、却ってリーシャは大きな混乱に陥ることになってしまった。いったい誰が、何のためにマアラを誘拐などせねばならなかったのだろう。

 誘拐なんて言葉、今までリーシャは新聞か物語本のなかでしかお目にかかったことがない。そのぶんだけ現実感がなかった。自分のよく知っているマアラが誘拐されたかもしれないと考えるなど、まるで自分が下らない空想に耽っているかのように思えてくる。しかしこれは決して空想ではないのだ。現にマアラは突然、姿を消している。実際、あの物語がエリシアで人気作になっていることを思えば、マアラに誘拐するだけの価値も、あったのではないかと思えてきた。

 ――けど、だとしたら、どうしてマアラを誘拐した誰かは、マアラが物語を書いていることを知ったの・・?

 気がついたらリーシャは寝台に寝転がりながら自分の思考にだけ耽っていた。マアラが誘拐されなければならない理由なんて、自分にはあの物語以外思いつかない。

 しかしあの物語は、書かれ始めてからずっと、マアラの手許にだけあったはずだ。誰でも気軽に覗き見れるところにあったわけではない。マアラは孤児院で、授業と施設の仕事をする時以外はたいてい、居室の自分の机で文芸に没頭していた。外出するところも、ほとんど見たことがない。孤児院は無関係の他所者が気軽に入ってこれるところでもなく、居室にあるものが、そう簡単に外部の他人に見られるはずもなかった。内部の人間だって、あれを見るのは難しいはず・・。

 ――内部。

 リーシャははっとしてその場に起き上がった。自分の心に浮かんだ思いつきに、一気に疲れも吹き飛んだ気がする。

 ――内部の人間も、本当にあれを見るのは難しかっただろうか?

 突然に浮かんだ疑問だった。わざわざ考えずとも、内部の人間なら彼女の作品を見る機会は、誰にでもあったのではないか、と思える。あの孤児院は居室に鍵がついているが、鍵は全て内側から掛け金を下ろして施錠する代物だ。室内に人間がいる時でなければ使用できない。リーシャもマアラも居室にいない時であれば部屋に入ることなんか容易い。そして部屋に入れば、マアラはたいてい、机の上に自分の作品は置きっ放しにしていた。無断で読もうと思えば、誰でも読めたはずだ。

 ――あの孤児院の人間なら、誰でもマアラの作品を読めた・・。

 極めて重大な事実を見つけたように思った。マアラの作品が誰でも見られたのなら、誰が盗んだとしても不思議はない。あの孤児院にいた誰かが、マアラに無断で自分も気づかぬうちに彼女の作品を盗み読みし、それをエリシアのディルム・エルファスとかいう人物に提供、あるいは売ったということは、充分に考えられるのではないのか。

 ――だとしたら、マアラは・・。

 ふいにリーシャの身体に悪寒が走った。マアラの作品が孤児院の誰かに盗み出されたとしたら、その孤児院からマアラが突然、消えたことはいったい、何を意味している?

 ――マアラは、あの孤児院にいた誰かに、攫われた・・?

 そんなことがありえるのだろうかと思った。しかし他には考えられないとも思える。マアラの失踪は時期的にあの物語が本として出版された頃のことだ。彼女の作品を盗んだ、あのディルム・エルファスとかいう人物にとって、あまりにも都合が良すぎる時期に失踪している。こんなことが、偶然になんか起こるはずがない。マアラは間違いなく、誰かの手によって意図的に失踪させられたのだ。そのことに、疑いの余地はないだろう。そして、マアラの作品を盗み出したのがあの孤児院の者なら、マアラをどこかに連れ去ったのもまた、あの孤児院の者ということになるのではないか。

 ――けど、それなら、マアラはいったい、どこに行ってしまったの・・?

 どこに連れ去られてしまったというのだ。孤児院には、身寄りのない、行き場のない子供たちしかいないはずなのに。


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