2学期も終わり
警察の聴取も、ひと段落し私はようやく自由の身になった。麻薬も殺人も第一発見者になると共犯ではないか?と、まず疑わられてしまう。その取調室での時間がとても長い。 実際にやってなくても、やりました!と、言ってしまう気持ちが本当によくわかる。
瞳もおじさんも【容疑者】になってしまっているから尚更、厳しい取調を受けていることだろう。
まだ、面会は出来る状態ではないが、少し時間を置いて2人に会わなければならない。そうでもしないと私の気持ちが収まりつかない。
こんな状態でも、私は学校へ行って授業だ。他の子たちは、大学受験や就職、専門学校やら進路も決めてる。私はまだ何もしてない。何やってんだ・・・
卒業まであと3カ月ほどしかない。こんなんでいいのか? 瞳のことも、おじさんのことも先生や校長先生などにも、詳細を伝えなければならない。加えて自分の進路だ。頭の中がパニックになってしまう。
学校に着き、真っ先に校長室へ。
校長室の中には、担任の先生、教頭先生もいた。
(月岡さん、色々と大変だったね。疲れたろう?本当に。)
(あ、はい・・・でも、自分が第1発見者だし・・・)
(いや、事件のことは、警察からも月岡さんと一緒にいた方からも詳しく聞いてるからね。今後のことは流れに任せよう。それでね、月岡さん自身のことを話そうかと呼んだんだ。)
私のこと?
(卒業まであと少しだろ?進路のことはどう考えているの?)
(まだ、何も決めてないし、考えることもしてないんです。)
(そうか・・・月岡さん、大学に進学する気はないか?)
(え? 大学に?ですか?)
(そうだ。大学だ。実は月岡さんに是非、勧めたい大学があるんだ。)
(でも、全然、受験勉強もしてないし、私なんか無理です。)
(推薦入学というのがあるんだ。それに国立だし、受けてみないか?)
担任も私にプッシュする。
(月岡さん、やってみなさいよ。これも一つのチャンスよ。)
先生たちの話も、悪くはないがまだ何も決めてない段階で、いきなり大学受験のことを持ち出されてもいいのか、悪いのか、全く判断出来ない。
(大学と言っても、お金がかかることだし、私の家は裕福な家庭では無いんですよ。だから、行きたくてもお金に余裕がないので無理です。)
(大学進学にはたしかにお金がかかる。そういう人の、ために、奨学金制度というのがあるんだ。それを利用してみたらどうかな?)
(奨学金制度?ですか?)
校長先生や担任によると、大学進学にはまとまったお金が必要になる。そのお金を、JASSO、日本学生支援機構というところから借りて学費に当てるらしい。借りたお金は、卒業後、返済しなければならない。結局は、お金を借りて大学に行き卒業したら返済するということだ。 私はお金を借りてまで大学など行きたくはない。
仮に進学し卒業して返済出来るのか?と考えたら、正直、? だ。 だって、無事に卒業して就職も決まってお給料もたくさんもらえれば返済も出来るだろうが、今のこの時代、そんな保証は皆無だ。
(ちょっと考えてみます。)
(時間もあまりないからね。悪くない話だと思うんだ。良い返事を期待してるよ。時間取らせて悪かったね。)
校長室を後にして、担任と教室に向かった。