表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギヴ アンド テイク for gals  作者: 月岡 愛
19/22

ラストソング

3月3日。 合格発表も終わり、高校は卒業式を迎えた。


私のクラスでは、合格した人もいるがダメだった人もいて、その人たちはまた2次募集で受験をするようだが、希望する大学へ進学できないとなると、その落胆は大きいようだ。就職して社会に出る人もいるが、専門学校へと進む人もいた。肝心の私だが、卒業式当日になっても合格発表は来ていない。担任によれば合格発表は3月上旬になるということで私は大学のある秋田まで行くことが出来ないので学校と自宅に郵送でくることになっている。


教室で卒業式が始まるのを待っていると、担任が来て全員、廊下へ出るようにと言われた。担任もカッコいいスーツでいつもよりキレイだ。


(みなさんの後輩、2年生から胸元に花を飾って貰います。)


廊下で待っていた2年生たちが私たちの制服の胸元に花飾りを挿してくれた。思えば去年の卒業式も先輩たちに同じことしたっけ・・・ 


式の会場になる体育館へと移動となった。いよいよ、高校生活【最後の授業】となる。


保護者会の祝辞や生徒代表の挨拶、来賓の挨拶、卒業証書授与へと進行した。 1年、2年生と後輩たちの他には卒業する生徒たちの母校の中学や小学校の先生などがたくさん来ている。 ピアノの音が鳴り始めた・・・


卒業ソングは、AKB48【桜の木になろう・・】という曲。 私たち卒業生も含め、後輩たちと一緒に合唱した。 辺りからは、一人、二人と涙声になり、ハンカチで口や目を抑えながら合唱してる人もいた。 高校生活3年間というのは長いようで短いのだな・・と思う。入学したときは3年も通うのかよ・・と思ってたけど終わってみれば、3年ってこんなに早いものなのかな・・とも思う。 


卒業ソングも終え、校長先生の祝辞が始まった・・・


(平成28年度の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。 在校生の方、卒業生の方、また保護者の方々他、新聞や報道でもご承知の通り、本校では2つの事件がありました。正直、言いますと今回のこの事件を目のあたりにしたとき、私たち教師はどう対処したらいいか本当に思い悩みました。でも決して背を向けずしっかりと見つめ取り組んでいくうちに私たち教師は改めて教育とは何か?と言うことを学び得たような気がします。


また、今回の事件が再度、起きないように私たちは生徒たちを、しっかりと見つめていこうと決心しました。 貴重な経験を本当にありがとう・・・


さて、みなさん!あなた方は、小学校6年間、中学校3年間の義務教育、そして高校3年間、計12年間の教育課程を本日を持って終えることになりました。本当によく頑張ったと思います。 


これから大学進学、また就職、専門学校へとそれぞれ新しい道へ進むことになります。 でもそんな中で様々な困難や試練にも巡ることもあるかと思います。しかし、そんなときこそ、わが母校で過ごしたことを思い出してください。毎日、朝、通学して一生懸命に勉強をしたことを思い出してください。 人間、生きていると色々なことがあります。楽しいことより辛いことの方が多いです。でも、決して背を向けないでキチンと向き合って生きていける強い人間になってください。 そして何か思い止まった時には、いつでもここへ来てください。なぜならば、ここはあなたたちの母校だからです!


私からのお祝いの言葉にかえます・・・・本当に卒業おめでとう!



ここでみなさんにこの卒業式という晴れ舞台に相応しい朗報をお伝えします。 )



(月岡 愛さん!)


え? 私の事、言った?


体育館にいる人たち全員の視線が私に集中する。


(先ほど、わが高校に一通の書面が届きました。それを今、ここで読ませて頂きます。受験番号 120○○○ 月岡 愛 秋田国際大学 国際教養学部 合格・・・月岡さん、無事に合格したぞ。よかったな。おめでとう!!)


え? 私は耳を疑った・・


一斉に拍手の音が鳴り響いた・・・


私は合格したんだ・・受かったんだ・・そのまま床にしゃがみ込み、顔を手で覆いながら号泣した。 周りにいるクラスメイトたちは(おめでとう!!良かったね!! やるじゃん!!・・・)一緒に泣いてくれてる人もいた。


担任も座りながら顔を手で覆い立てないようだ・・・


後輩たちやクラスメイトたちが続々と私に近づき、体を持ち上げ胴上げとなった。


ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!・・・・





教室へ戻り、担任からの今日で本当に最後の授業・・・


(みんな、この3年間、本当によく頑張った。始まりは遅く感じるけど過ぎてしまえばあっという間の3年間でしたね。今日、この時間で私の授業は最後になります。この教室の扉を開けると、新しい自分の人生が待っています。その人生を素敵なものにしてください。そして扉の先には卒業した、貴女たちの先輩たちが街のどこかで大きな拍手をしてくれています・・・)



クラスメイトたちはハンカチで口や目を覆っている・・・



(みなさん・・・素敵な思い出ありがとう・・・そして・・・さよなら・・・)



(ありがとうございました・・・ )



クラスメイトたちから涙を振り絞る声・・・



高校生・・・・どうやら本当に終わりになったようだ・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ