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ギヴ アンド テイク for gals  作者: 月岡 愛
15/22

秋田へ

1月も終わり2月になりいよいよ本番が近い。大学だけでなく高校も、また私立中学を受ける人たちも私と同じ、【受験】に挑まなければならない。


私は直接、志望校の大学まで行かなければならないため、学校も休みをもらうことになった。 他の生徒は、1月のセンター試験を受けており、後は合格発表を待つだけ。一方、私はこれから秋田まで行かなければならないため、準備に追われていた。その日がいよいよ明日に迫っていた。担任から相棒(iphone6s)に着信・・・


(月岡さん、いよいよだけど、焦らないようにね。大学受験って言っても今まで学んだことをどれだけ理解してるか?ってことを見るんだから。気楽に行こう。ね。)


担任はそう言ってくれるが、受験する私から見ればとてもそんな気になれない。でも、もう、やらなければいけないんだ。


(でも、なんだか迫ってくるうちに、どんどん不安になってきて・・ちょっと・・)


(大丈夫よ。そんなことより、秋田のお土産、ちゃんと買ってくるのよ。笑。あ、今の時期、なまはげなんてのもいるわよ。フフフ)


まったく、気楽なもんだ。でもこんな風に気を紛らわせてくるれる担任も嫌いではない。



週末の休みも明け、秋田への出発の日が来た。 早朝の秋田新幹線に乗り、秋田駅まで向う。祖母が私と一緒に品川駅まで来てくれることになった。


(愛、頑張っておいで。 お母さんたちも見守っていてくれてるよ。ほら、これ、持っていきな。)


祖母からは、秋田に滞在してる間に必要だろうとお小遣いと手作りのお弁当を渡してくれた。 受験が終わったらまたすぐに帰ってくるのに、何だかとても寂しくなり涙が出てきた。


(ほら、何泣いてるんだい。試験が終わったらまたすぐに会えるだろう?笑。しっかりして頑張っておいで。)


祖母を見ながら、新幹線に乗った。指定された席は、ホーム側でちょうど祖母も見える。出発のアナウンスが流れ、もう直に新幹線のドアが閉まろうとしている。


(愛・・頑張っておいで・・・)


ドア越しに小さく聞こえた・・・とその時・・


祖母の横から、窓をたたき、手を振る人がいた。


玄さんたちだ。 


(愛ちゃん! しっかりな! 自信持って行って来い!)


ドアも閉まるだろうとときに、車内に入り、走りながら私の席まで来てくれた。


(愛ちゃん、これ持っていきな。頑張るんだぞ。いいな。)


そう言うと玄さんはすぐにホームに出た。祖母と話ながらお辞儀をしている。祖母も玄さんたちに頭を深々と下げお礼をいってるようだ。


発車のベルが鳴る・・・


ゆっくりと新幹線が動きだした。玄さんたちも新幹線とともに私に向ってきた。手を振りながら私に何か言っている。その後ろには手を振ってる祖母が少しづづ小さくなっていき見えづらくなっていく。私も窓越しに手を振り続けた。 私が乗る秋田新幹線は品川駅を離れた・・・



玄さんに渡された小さな袋を開けると、白い【合格守】と、1万円札が入っていた。


涙が溢れた・・・


しっかりしなきゃダメだ。メソメソ泣いてなんかいられない。まだ戦いは始まったばかりなんだ。私は誓った。絶対に合格してやると。


東京から秋田まで、私が乗っている、秋田新幹線【こまち】だと約4時間30分くらい。ちょっと時間も長い。品川駅を離れ、埼玉、栃木と通過して行く。祖母や玄さんたちも、こんな私に会いに早朝の時間に駅まで来てくれるなんて本当に嬉しかった。関東を離れて宮城、山形と東北になるにつれ雪も見えるようになってきた。秋田に着くころには辺りは雪景色だろうか・・・


秋田駅に着き、辺りは想像通り、雪一色。 宿泊先の旅館までタクシーで向かうことにした。祖母からもらった滞在費とお小遣いでこの秋田で一週間、過ごすことになる。


旅館から、受験する【秋田国際大学】までは、それほど遠くはないがこの雪だと徒歩では無理だろう。幸いにも旅館には送迎バスがあり、大学まで送ってもらえるようだ。


旅館に着き、部屋に案内されると一人にしては結構、広く、ゆっくりと出来そう。祖母も私のためにこんな豪華な旅館を予約してくれてたんだ。 仲居さんによると私の他にも【秋田国際大学】を受験する人が宿泊しておりこの時期だと受験生が多いそうだ。


試験は、1日目、2日目と2日間、その翌日に、面接がある。3日間の日程だが、私は学校見学も兼ねており一週間という日程にした。 


夜は良く寝れずに、朝を迎えた。いよいよ試験当日になった。


旅館の送迎バスで【秋田国際大学】まで送ってもらった。バスの中には私と同じ受験生がいる。大学に着いて驚いた。 学校というのは広くて大きいもんだがこの【秋田国際大学】は規模が全然違う。学校という感じがしなく、どこかの研究所と美術館がくっ付いたような建物でそれにとても広い。キャンパス内は自転車でもないと移動が大変のようだ。また、今は雪で分からないが周りは緑が豊かなようで大学も近代的なモダンな感じで作りも今までにないものだ。 正門から校内へ入り、受験会場とされる教室に向うなか、周りを見て尚、驚いた。 外国人留学生がとても多い。アジア、ヨーロッパ、中東、見てるだけで本当に日本か?と思わせる感じだ。中には黒人の女の子もいる。 本当にグローバルな大学だ。 


受験番号のある教室に入るとそこは教室というより、会議室のようなカッコいい感じだ。私が座る席も書斎にあるような豪華な感じで座り心地がとてもよい。試験時間までまだある。トイレにいくことにした。


このトイレも私の高校のようなものではなく、高級なところにあるような洒落た作りだ。用を足し、洗面台で手を洗ってると私に語りかける人がいた。


(It is examination today.)


・・・・?


(Is it from Tokyo?)


???


振り返りビックリ! 黒人の女の子が私に話をかけてきたのだ。でも私は何を言われてるのかさっぱり分からない・・

苦笑いをしてトイレを出てきた。 そうか!この大学はたしか英語が公用語になっていて授業もすべて英語だって担任から聞いた。 もし、合格したら私もこういう風に毎日、英語で皆と話すことになるのだろう。 そう思うとますます不安になり、心配になってきた。


試験時間が近くなり教室も緊張感であふれている。試験問題が配られ、試験官の説明が始まり、これが終わるといよいよ試験開始だ。 第一日目がスタートした。


第一日目は、地理 公民 国語 英語の4科目。朝9時にスタートした。 国語と地理は比較的得意だけど英語のリスリングだけはマジで分からない。しかしこうなったら感でも答えなけばならない。あーでもない。こーでもないと考えながら第一日目は終了した。大学を出て旅館の送迎バスに乗り宿に向った。時刻は午後6時。東京もこの時間なら暗いが秋田は雪のせいもあるのか更に暗く感じる。 


第二日目は、理科と数学。 私は数学ほど嫌いなものはない。あの暗号的な計算がまるっきしダメなのだ。そんなのが出たらマジでアウトだ。理科は小学生のときから実験が好きで意外に得意科目だ。それでもなんとか問題を解かなければ合格への道はないのだ。昨日とは30分遅い、朝9:30に始まった。頭を抱えながらも何とか終了。 残すは明日の面接だけとなった。 でもようやく肩の荷が下りた感じだ。試験前は不安と緊張でどうしようかと思ったけどでも今、こうして終わるとホッとした気持ちになる。 2日間の試験も終わり、旅館に戻ると力が抜けて部屋で寝ころんだ。お風呂に入ってご飯を食べて早く寝たい。そう思いすぐにお風呂に行った。試験が終わっての入浴は最高。部屋に戻ると食事の支度がしてあった。仲居さんが用意してくれてると思うと本当に旅館というのは最高の宿泊だ。祖母に感謝!


布団に入りながら明日の面接のことを考える。どんなことを聞かれ、話せばいいのだろう・・試験も不安だったけど、こっちの面接も尚、不安になる。でも2日間の試験も終わったしお風呂にも入り体も楽になったんだから早く寝るか・・・そう思い明かりを消した。時刻は午後10時を回っていた。





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