ガリ勉と呼んだ口で、好きだと言えない
最新エピソード掲載日:2026/03/22
私立星海学園高校一年H組。学年二位の鈴木叶には、どうにもならないことがひとつある。隣の席の男子、高橋陽大のことが、好きでたまらない。
陽大は学年首位の秀才で、名門塾「銅黄会」に通い、誰よりも早く教室に来て数学を解いている。面倒見がよくて、誰にでも優しくて、そして致命的なくらい鈍い。叶が毎朝わざと早いバスに乗っていることにも、「褒め言葉として受け取ってくれ」と言ったときの叶の心臓の音にも、一切気づいていない。
さらに陽大には、幼馴染の女の子・ゆずきがいる。毎週、叶が密かに「ばったり作戦」を仕掛ける四々木駅を、二人は並んで歩く。嫉妬に振り回されながら実際に会ったゆずきは、嫌いになれないどころか、大切な友人になりかけていた。
好きな人に勝ちたい。好きな人の隣にいたい。好きな人に、素直になりたい。
三つの気持ちを抱えたまま、叶は今日も早いバスに乗る。
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これは、素直になれない女の子の、長くて遠回りな恋の話だ。