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あやかし居酒屋「酔」  作者:
 

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あやかし居酒屋「酔」


其処(そこ)は人に似て、人とは異なる者たちが住まう世界。


ある日、気づくと其処(そこ)にいた。

“綾”という名前以外、自身の記憶を全て失くして。


記憶も、(かえ)る場所も失くした綾を、鬼の統領・羅刹(らせつ)は「異界の迷い人」とそう呼んだ。


恐ろし気な肩書と裏腹に面倒見のいい羅刹に保護され、なんだかんだですっかり世界に馴染んだ綾は店をはじめた。


その名も あやかし居酒屋「(すい)」。


なんせ(かえ)れないなら仕方ない。

一日中なにもしないのはつまらないし、働かざるもの食うべからず!!


幸いにも失ったのは自身に対する記憶だけで、日常の知識や料理のレシピはバッチリだった。

調理師免許を持っていたかは定かじゃないが……異世界だし別にいいよね?



今日もあやかし居酒屋「酔」にはたくさんのお客さまが訪れます。


姿も種族も違う個性豊かなお客さまが求めてくるのは、美酒とお酒がすすむ(さかな)とごはん。そしてなによりこのひと時。


世界は違えど、悩みも愚痴も尽きぬもの。

よもやま話に恋バナに、自慢に説教、なんでもござれ。


今日を生きたお疲れさまと、明日へのエールを料理に込めて。

寛ぎの晩酌(ばんしゃく)タイムを是非どうぞ。



「いらっしゃいませ、ようこそお越しくださいました」


あやかし居酒屋「酔」、開店です。


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